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迷子の記憶 森の中

作者: aira

目の前にいるのは…俺…





朝…か…

今日も仕事だな…


ニュース観ながら着替えて

そして仕事に向かう

毎朝 同じ

今日も何も変わらない…



ん…?

なんでこんなに明るいんだ?


雪?…キレイだなぁ…

いやいや!

なんでこんなとこにいるんだ?!


目を開けると、いつも見ていたはずの天井は無かった

そこには、綺麗な雪景色と雲一つない空

そこに俺は立っていた…


「これって夢…なんだよな?ここどこなんだ?」


辺りを見回すと近くに建物を見つけた

「家…か?」

…あの家…何処かで見たことあるような…

あっ、誰か出てきた


ふわふわマフラーにニット帽を身に着けた少年

小学生くらいだろうか?


「おはよう!雪だるまさん!」


「お、おはよう」


とびきり元気な挨拶に反射的に返したが…

雪だるまさんってなんの事だ?


「夜は風強かったね。大丈夫だった?」


困惑している俺をよそに少年は言葉を続ける


「あのね、今日、ママとパパとお出かけするんだ!」


自由な子供を前にどうしたものかと考えていると声が聞こえた


「つかさー

 あら、雪だるまさんにご挨拶してるの?」


「凄いなぁ

 昨日の吹雪にも耐えたんだなぁ」


声の主は少年の両親だったようだ

この子も “ つかさ ” っていうのか


呑気にそんな事を考えていたが

近づいて来た2人を見て固まった…

幼い頃の写真に写っていた両親にそっくりだったのだ




俺には幼い頃の記憶が無い

事故にあい、俺だけが奇跡的に生き残ったそうだ

そのショックか、記憶が全て消え…

何か思い出せればと渡された写真がそれだ



「そうだ!行く前に写真取るか」


父親がカメラをセットし3人で俺を囲んだ


「見て見て!ほら!」


少年が画面をこちらに向ける

両親と少年と…雪だるま

あの写真と全く同じ…


そうだ…

この2人は俺の両親…

それから…目の前にいるのは…俺…

そしてこの後…!!?


「そろそろ行こうか」


「ダメだ!」

必死に叫び、手を伸ばそうとするが届かない

車が遠ざかるのと同時に目の前が暗くなっていく

気がつくとベットの上

手は空を掴み

いつもの天井は涙で歪んでいた…

やっと思い出せたよ…



病弱だった俺を気遣いあの家で暮らすようになった

冬にはよく雪だるま作ったっけ…

毎日家族3人で暮らせる

それが嬉しかった

あの日…俺の誕生日…

久しぶりに遠出しようと出掛けた…

そして・・・


出掛けたいと言わなければ

病弱でなければ

俺がいなければ、両親は…

耐えきれなくなった俺は

記憶を…手放した…


忘れてごめんね…



あれから何度目かの誕生日

会いに行こう

大切な思い出達に

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