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少年風景  作者: 砂臥 たまき
17/45

虫の死骸

玄関を開けたら虫が死んでて

カナブンなんだけども

裏っ返しにひっくり返ってたのが

風が吹いて表に戻った


生きてる時と大差ない姿で

その身体は光沢がある

鎧みたいな ブローチみたいな


動いているとヤツらは

馬鹿みたいにすごい速さでぶつかってきて

恐怖を感じるだけなんだけど

動かなくなってみると

案外カッコイイフォルムをしているな とか

そんなことを思う


俺が死んだら腐敗が進んで

悪臭を発した俺の身体からは

体液が染み出していくのだろう


思考とか感情とか

肉体以外の不確かなものの総称を

仮に 魂 というとして


それが肉体から離れた場合


肉体から受けていた俺の衝動的なそれらは

どうなってしまうのだろう



転んだ傷の痛みは

肌で感じた水の冷たさは

密度の高い夏の空気の息苦しさは


心臓が高鳴る走り出したいような気持ちは



仮に俺の身体が虫ならば

肉体から分離して

魂なるものがあったとしても

おかしくないような気がするのだが


生きてる虫は苦手だけれど、標本は結構好き。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 突然、カナブンさんの詩がずきゅん! と入りました。 一言一句好きです。 詩、の正しい味わいかたは、実はまだよくわからないのですが。 今、とても個人的にはぼんやりしてまして。 たまきさんの…
[良い点] すいません、いきなり最新部分から読んでしまいました。 虫とはあまり関係ないのですが、若いころは適当に人生楽しくなればいいし、死んだら死んだ、だと、軽く考えていました。 でも今になって、死…
[一言] ぐっときました。 この詩は心にストックします!! カナブンのところも好きだったし、なんかふと幼い頃も、今生きてても死んだらどうなるかとか思ったりしますよね。 こういうことを切り取って詩にでき…
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