表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お隣さんが引っ越してきました  作者: おみくじ
5/20

齋藤さんと急接近

私は、齋藤大翔さいとうはるとさんから目が離せなかった。

 両手には、花束がいっぱい入った紙袋を持っている。

 

(急にくるかも知れないわよ~)

 

 脳裏に突然、穂乃花さんの言葉を思い出した、頭が冴えていく。


(花束を持って希望先輩の前に……)


 美羽ちゃんの言葉も蘇る。鼓動が大きくなる。

 

 ば、ばか! 何考えてんの、私は!? そんなことあるわけないでしょ!?


 「ガサ」とまた音がした。齋藤さんが、階段をゆっくり降りてき始めた。緊張した表情で、私に近づいてくる。


 告白。


 う、うそ、でしょ? ま、まさか、今日話してた冗談が……、げ、現実に!?


(そして、告白を断る希望先輩。その事に怒り狂った齋藤さんは、手にしている花束を振り回して……)


 美羽ちゃん……!?


(最後には、無残に散った花びらが辺り一面に……)


 穂乃花さん……!


 わ、私、どうしたら良いの……!?


「あの」

「ひっ!?」


 齋藤さんが強ばった声で私に話しかけてきた。

 思わず立ち上がった。そして彼から逃げるように階段を降りようとして―。


「あっ……」

 

 気付いた時には、私は全身が浮遊感に包まれていた。

 つまづいた右足のヒールが、私より先に階段下へ落ちていく。

 手すりに伸ばした右手は空を切った。視界がゆっくり流れた時、何かが私の右手を力強く掴んだ。


 えっ……?



 下へ落ちる感覚とともに、前へも引き寄せられる不思議な感覚。

 視線には、あっ、齋藤さん。


 ぎゅっ。


 無数の花びらが宙に舞うなか、私は彼に抱き抱えられてた。そして、そのまま重力に引き寄せられるように、階段下へと落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ