表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/396

81話 飲み会 二軒目

用語説明w

魔導法学の三大基本作用力:精神の力である精力じんりょく、肉体の氣脈の力である氣力、霊体の力である霊力のこと


魔力:精力(じんりょく)と霊力の合力で魔法の源の力

輪力:霊力と氣力の合力で特技(スキル)の源の力

闘力:氣力と精力(じんりょく)の合力で闘氣(オーラ)の源の力


サイモン分隊長:MEB随伴分隊の分隊長。巨人族の血を低く巨漢で丸坊主。蒼い強化紋章を使う(固有特性)

カヤノ:MEB随伴分隊の女性隊員。思念誘導弾を使い、飛行ユニットによる空中戦が得意なサイキッカー(固有特性)


フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している

セフィリア:龍神皇国騎士団に所属、B+の戦闘力を持つ。ラーズの遠い親戚で、五歳年上の憧れの竜人女性


いい感じに酔っぱらっていたが、まさかの二軒目に行くことになった


「必要な話は終わった。せっかくラーズの身内がいるんだ、次はラーズの昔の話でも聞かせてもらおうぜ」


「あ、いいですね! フィーナちゃんもいいでしょ?」


「ええ、行きましょう! ラーズ、前に行ったあのお店ならお酒の種類多くていいんじゃない?」


三人ともが大酒飲み

いい感じに酔っぱらったのは俺だけで、この三人はエンジンがかかってきた所みたいだ


フィーナが言うあの店とは、前にフィーナが凹んだ時に行った店だ

店の名前は、完全に忘れていたが「ゴシップ」という名だった


「お、焼酎多いな」


「ここ、ワインも結構あるわね」


二人共、早速酒を注文


「ラーズはホワイトビールでいいの?」


「…はい」


フィーナもさっさと頼んでいく

本当によく飲むわ


「で、ラーズは学生時、どんな感じだったんだよ」


「普通の大学生でしたよ。トウデン大学で、先史文明を専攻していました」


「先史文明って、紀元前の文明史ってやつぅ?」

カヤノの語尾がちょっと怪しくなってきている気がする


「そうですね。ギアの先史文明が主でした」


約四千年前にペアが出来て天地歴元年となり、それ以前をギアの紀元前、ウルの紀元前として扱っている

俺は、ペアを構成する前のギアの紀元前の文明を専攻していたのだ


「ラーズは格闘技にはまって、試合とかにも出ていたんですよ!」


フィーナが、相変わらずワインを飲みながら言う

自分の過去を話されるのは何とも恥ずかしい


「ほう、そうだったのか! 確かにお前の格闘技はなかなかのものだよな」


「いや、毎回サイモン分隊長にボッコボコにされてますけど!」


「そりゃ体重差もあるからしょうがないだろう。高校はどこだったんだよ? 部活でも格闘技やってたのか?」


「高校ですか…」


正直、あまり言いたく無かったりする


「ラーズは高校まで、ギアにあるボリュガ・バウド騎士学園に通ってたんですよ」

フィーナが躊躇無く答える


お、おま、勝手に言うなよ!


「え? 秘密だったの?」


「いや、秘密ではないけど…」


「ボリュガ・バウド騎士学園って、あのBランク以上の騎士を養成する学園のこと? それじゃあ、ラーズってBランクの戦闘職だったの!?」

カヤノは、ボリュガ学園を知っていたらしく食いついてくる


「俺も聞いたことあるな。学生時代から闘氣(オーラ)を学ぶって学校だろ?」


「まあ、そうですね。ただ、卒業生なのは間違いないんですけど、今の私は闘氣(オーラ)とか全て使えないですからね?」


二人が信じられないという目で見てくる


闘氣(オーラ)が使えれば問答無用でBランクとなり、銃弾や魔法を跳ね返すスーパーマンになれるんだ


防衛軍は闘氣(オーラ)の使えない一般兵士で構成される

当然、何でお前が防衛軍(ここ)にいるの?って話になるだろう


だから、あまり話したくなかったんだよな



「…私は才能が無かったんですよ。どっちかといえば器用な方でしたけど、ただそれだけで。魔力も輪力も闘力も少なかったんですよ」


そう、俺はほどほどの実力しかなかった

魔力も輪力も闘力も少ない

ゲームで言えば、圧倒的にステータスが足りなかった


高校まではなんとかやってこれた

だけど、このままどこかの騎士団に所属しても、実力が頭打ちになることは明らかだった


「…」 「…」

サイモン分隊長とカヤノは黙って続きを促す


「…」

そしてフィーナもだ


いや、おまえは知ってることだろうが!


「…そうやって進路を悩んでいたときに、ある竜騎士に出会ったんですよ。その人は、ある方法を使って魔力や輪力、闘力の総量を引き上げたって言っていまして」


「そんな方法があるなら凄いことだけど…」

カヤノが言い淀む


そう、そんな都合の言い方法が簡単にできるはずがない


「それは…」


自分自身の霊力と氣力を封印することだ


人間の霊体の力である霊力、肉体の力である氣力を意図的に九割ほど封印すると、生存に支障が出てくる

霊体と肉体は何とか霊力と氣力の量を増やそうとし続け、どんどん総量が上がっていくというのだ


この二つの総量が上がれば、霊力を使う魔力、氣力を使う闘力、この二つを使う輪力の総量も必然的に上昇が見込まれるのだ


但し、当然すぐには効果が出るわけはなく、約十年間この封印をしたまま生活する必要がある


この鍛練方法を、チャクラ封印練という



「霊力と氣力の九割を常に封印なんて、そんな方法で体は大丈夫なの?」

カヤノが心配そうな表情を見せる


「最初の半年は、結構辛そうだったよね? 吐き気止め飲んだり、回復魔法かけてもらったりしてたし」

フィーナが懐かしそうに言う


「最初はエネルギー不足の影響でキツかったんですが、今は体が慣れたのか特に問題ありませんよ。霊力や氣力が人より少ないだけで健康体です。このチャクラ封印練は、十年続けて効果があればっていう鍛練方法なんで、気長にやろうかと思っています」


そう言って、俺は残っていたビールを飲み干す


「…まさか、お前が元Bランクの実力を持っていたとは驚いたぜ」

サイモン分隊長は俺に酒を注いでくる


「ええ、本当にビックリね」

カヤノも頷く


「高校生が闘氣(オーラ)を使えたからって何もできませんよ。防衛軍に入ってそれが分かりました。連携、戦術、敵の弱点や手法の研究とか、防衛軍で学んだ経験は闘氣(オーラ)より貴重な俺の財産ですよ」


「嬉しいこと言ってくれるじゃねえか」

サイモン分隊長が、また俺に酒を注いでくる


ヤバい、これは潰されるパターンだ


「ラーズが騎士にならずにチャクラ封印練をやるって行った時、私は必死に止めたんですよ。でも決心が固くて全然聞いてくれなかったんですよねー」

フィーナがため息をつく


「騎士に未練はなかったの?」

カヤノは顔が大分赤くなってきている


「まぁ、無いと言えば嘘になりますけど。でも、俺がボリュガ・バウド騎士学園に入ったのは、親戚の姉ちゃんの存在があったからなんです」


セフィ姉は龍神皇国のB+の騎士だ


この人の力になりたい、一緒に戦いたい

でも、このままじゃ実力が足りない…


だから、十年を賭けてチャクラ封印練をやってみる決心をした

十年たって霊力と氣力の量がしっかり上がっていれば、改めてセフィ姉と働く道を目指そうと思ったんだ


「へー、カッコいい! やっぱり男の子ねぇぇ…」

カヤノの語尾が怪しいぞ? 大丈夫か


「ラーズは、最終学年の個人総合闘武大会で優勝もしたんですよ」

また、フィーナが余計な情報をぶっ込んでくる


もうやめろや!

酔払って口がフィーバーしてるじゃねーか!


「優勝って学園で一番強いってことだろう? 凄いじゃねぇか」

サイモン分隊長は自分でも飲みながら、どんどん俺に酒を注いでくる


やばい、俺もそろそろ飲みすぎかも


「運に恵まれて一回だけ勝てただけですよ。学科は中の上、戦闘能力は中の下で全然自慢できる成績じゃないですよ」


「ラーズは、風を身に纏ってドラゴンエッグって呼ばれてたんですよ! それに、パワーや闘力は少なかったんですけど、重属剣っていう必殺技があって…」


「おいぃ、もういいって! やめて! 過去にめっちゃイキッてた人みたいだからホントにやめて!」


「え、いいじゃん? ラーズはあの時…」


「今は全部使えないんだよ? 過去の栄光にしがみついてるみたいじゃん! 俺は前を向いてるの! Dランクになってしっかり前を向いてるの!」


「えー…」


その時、ちょうど全員の酒が無くなっていた


「…さて、どうするか?」

サイモン分隊長がニヤリと全員を見回す


「えー、私はフィーナちゃんともっと話したいな」


「あ、私もです!」




…まさかのもう一軒、バカなんだろうか?



ブクマ、評価、ありがとうございます

モチベが上がりました

読んでもらえて嬉しいです


ラーズは学園時代、闘氣(オーラ)特技(スキル)、魔法を学び、使うことができました

(風属性が得意でした)

しかし、卒業後にチャクラ封印練を施して、霊力と氣力が極端に低くなってしまいました


結果として、魔力・輪力・闘力を練りたくても、材料となる霊力と氣力が足りないため練ることができず、闘氣(オーラ)特技(スキル)、魔法の全てが発動できない、普通の一般人となっています(現在は私生活に問題はない)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ