表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/396

80話 飲み会

用語説明w

ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

サイモン分隊長:MEB随伴分隊の分隊長。巨人族の血を低く巨漢で丸坊主。蒼い強化紋章を使う(固有特性)

カヤノ:MEB随伴分隊の女性隊員。思念誘導弾を使い、飛行ユニットによる空中戦が得意なサイキッカー(固有特性)

リロ:MEBパイロットの魚人隊員。現在は消防防災庁に出向中


フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している


いろいろあって疲れた

俺は帰り支度をする


仮設の更衣室はハンガーラックが有るだけで、私物は段ボールに入りっぱなしだ

早く隊舎の改装をしてくれないかな…


「あ、サイモン分隊長。俺に付く先生ってどんな人か知りませんか?」


「あー…、先生な。ちょうどいい、今から飲みにいこうぜ。ちゃんと話しておいた方がいいと思うんだ」


「え、今からですか? 今日は疲れすぎて…。それに妹と飯食いに行く約束してるんですよ」


「お、じゃあ連れてこいよ。カヤノも呼ぶから話し相手になるだろ? お前、しばらく生活が一変するだろうから妹にもいっといた方がいいぜ」

サイモン分隊長が真顔で言う


「え…、生活が一変ってどういうことですか?」


「いいから妹に連絡しとけ。俺はカヤノを誘ってくるからよ」

そう言って、サイモン分隊長は行ってしまった




・・・・・・




飲み会の場所は、サイモン分隊長行きつけの居酒屋「四季」

俺も何度か来ているのですっかり慣れた


ここの「ねばねば爆弾」が美味しいんだ

とろろ、卵、納豆、オクラが入ったねばねばの小皿

これに、たこわさと醤油をぶちこんで食べるのが俺のお気に入りだ


「お前もここに慣れてきたな」

サイモン分隊長が、俺のオリジナルおつまみを見ながら言う


「居酒屋の料理って美味しいですよね。あ、妹のフィーナです。こう見えても、龍神皇国の騎士団でBランクの騎士をやってます。で、こちらがサイモン分隊長とカヤノ、いつもお世話になってる上司と先輩ね」

簡単にお互いを紹介する


「フィーナです。ラーズがいつもお世話になってます」


フィーナがペコリと挨拶する

うむ、さすが社会人だ


「サイモンだ、呼び出して悪かったな。妹さんにもちょっと話を聞いてほしくてな」


「カヤノです、フィーナさんよろしくね」


こうして、和やかに飲み会が始まった


「じゃあ、早速だが酔っぱらう前に言っとかないとな」


「え、何ですか?」


「おいおい、先生の話だろ。そのために妹さんにも来てもらったんだからよ」


「あ、そうですね。お願いします」


「はい」

フィーナも頷く


サイモン分隊長とカヤノには、先生が元暗殺者ということだけはフィーナに秘密にしてもらった

暗殺者ってのは、何かいろいろ心配させてしまうかもしれないと思ったからだ


「結論から言うとだな、お前はしばらく帰れなくなる可能性がある。訓練時間も長時間になるだろうからな」


「そうなんですか!? サイモン分隊長はその先生のことを知ってるんですか?」


「いや、知らないな」


「私も知らないわ」

カヤノも首を振る


「知らないのに分かるんですか?」


サイモン分隊長とカヤノが顔を見合わせて苦笑いする


「…まあな。お前、うちの小隊がリサイクル工場って言われていることを知ってるか?」


「少しだけ話を聞きました。ゼヌ小隊長がスカウトしてきた人は才能を開花させるとかって」


「その方法は聞いた?」

カヤノはワインを飲み始めた


俺は首を横に振る


「ゼヌ小隊長が、自分のつてを使って先生を用意するんだよ。この先生の人選が的確でな、俺やカヤノも芽が出たってわけだ」


「へー、凄いじゃないですか! それで、みんなCランクに上がったって聞きましたよ」


それだけの先生に教えを受けられるとは、とても幸運に思える


「その先生全員がね…」


「…ああ、凄いんだよ」


二人共に妙に歯切れが悪い


「…何か指導方法に問題でもあったんですか?」

フィーナも、酒をワインに変えて口を挟む


「まあ、問題があるっていうか…。俺達は軍人だ、極限まで鍛え上げられなくてはならない職業だろ? それを言葉通りやらされるだけだだな」


「…極限まで、ですか?」


「そうだ。これが死ぬほどきついんだ。うちで指導を受けた俺とカヤノ、そしてリロは地獄を見た。お前は四人目ってわけだな」


「リサイクル工場のリサイクルって再生だけじゃないのよ。一度壊して砕いて、再生できる状態にしなきゃいけないでしょ? それを人間にも行うからとっても辛いのよね…」


サイモン分隊長とカヤノは遠い目をする


「前衛職やサイキッカー、MEBのパイロットと、それぞれの専門職を先生として呼んでくれたんだが、指導が共通して半端じゃなかったんだ。それこそギリギリ死なないくらいの追い込みだったな…」


「でも、心配しないで。ゼヌ小隊長が選んだ先生の指導に間違いはないわ。リサイクルされた私達三人ともがCランクになっているわけなんだから」


「は、はい…」


そんな壮絶な訓練なのか…

もっと、学校で習うような技術「講習」みたいなのを想像していたんだけど、どっちかと言うと「修行」って感じに近い印象だ


「だから妹さんよ。ラーズがボコボコにされてたり、何日も帰ってこれなかったとしても心配だけしてくれればいいからよ」


「サイモン分隊長、心配だけって言うのもおかしいですよ?」

カヤノが笑う


「心配するなって言うのも無理な話だろうが。だが、ゼヌ小隊長は俺達も信頼している。暫くは信じてラーズのフォローをしてやってくれ」


「はい、分かりました。私もテロリストとかって話になると怖いですし、あらかじめお話を聞けたので安心です。ラーズをよろしくお願いします」


「いえいえ」 「よろしくな」


フィーナが、サイモン分隊長とカヤノに頭を下げる


俺も、あらかじめ話を聞けてよかった

サイモン分隊長とカヤノが声を合わせて言うぐらいだから、とんでもない訓練なんだろう


気を引き締めないとな









…と、思ったら飲み会は一軒で終わらなかった


バカなの?




飲み会はこれから

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ