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75話 テロリスト3

用語説明w

データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI。明るい性格?

ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長


シグノイア純正陸戦銃:アサルトライフルと砲の二連装銃

ホバーブーツ:圧縮空気を放出して高速移動ができるブーツ

偵察用ドローン:カメラ付きドローンで、任意の場所にとまらせて偵察カメラとして使い、PITで画像を受信する

集落内には簡単に入り込めた


集落の中心部から少し西側に行ったところにその工場は位置していた

倉庫のような構造をしていて、すりガラスの窓が並んでいる


向かって左側に出入口があり、今は両開きの扉が開け放たれて不審な人間達が慌ただしく出入りをしている


急がないと、魔法陣の搬送が始まってしまう

そもそも魔法陣は何に描かれてるんだ!

床に直書きか、シート状のものに書いているのか、板状のものなのか…どうやって運ぶ気なんだ?


「シエラ、工場の右側の家の屋根に登って、範囲魔法の発動準備と監視をお願いします!」


「分かったわ! ラーズは?」


「工場正面の商店から監視、動きがあったら足止めをします」


俺は、偵察用ドローンを再度飛ばす

近くの電柱の上に着陸させ、俯瞰の偵察カメラの完成だ

これで正面入り口に死角は無い



俺は商店の角に身を潜める



ドガガガガガガ! ボボォッ!


「うわっ!」



工場の中から、窓ガラスを割って銃弾と火属性投射魔法が飛んでくる


「ご主人! 敵は四人、アサルトライフル2、杖2を確認だよ!」

データが偵察用ドローンの映像で確認してくれる


ダメだ、やっぱり警戒されてた

撃ち合いになっちまった


たった二人でどのくらい足止めできるか…!



道路を挟んで反対側の工場まで、距離は約15メートル

俺はハンドグレネードを工場方向に投げ込む



ドガガガガガガッ ドガガガガガガ…



弾幕が張られるが、ハンドグレネードは壁際に上手く転がった



ドガァッッ…!



工場の壁に大穴が空く

すかさず、工場の中からいくつかの魔法弾が放たれて地面に当たり土壁が作られた


視界が遮られ、弾除けになる土壁…、やっぱり、モンスターより人間相手の方が手強い

こっちの狙いを対策してくる敵ってのは厄介だ



「ら、ラーズ!」 「ご主人!」

シエラとデータが同時に声を出す


「ミ、ミサイルが…!」 「ミサイルがあるよ!」

やっぱり同時にシエラとデータが叫ぶ


ミサイル?

ミサイルランチャーならこの商店も半壊してしまう


一人じゃ弾幕も薄くしか張れない

どうするか



ゴオォォォォォォーーーー!



突然、工場の残った窓ガラスを貫通し、ミサイルが飛び出してくる


な、何!?

ミサイルがでかい!



ドガァッ!


「ぐはっ!」



突然飛び出してきた大型ミサイルに、俺は「轢かれ」た

横に吹っ飛ばされ、俺は転がって民家の壁にめり込む


体感で二秒後



ドッゴォォォォォン…!!



後ろで大爆発が起こる



ドシャッ…! 「がはっ…」


俺は前の通りまで爆風で吹っ飛ばされた



ブロロロロロォォン!!



俺の視界の端で、引っ越し用の小型トラックが工場の入り口ドアを突き破って走っていく


「ぐ…、やられた、逃げられた…!」


トラックの荷台に乗っているものは、おそらく召喚の魔法陣だろう



カシャシャーーーーーーーーン!


「ギャアァァァァ!」



突然、工場内から冷気が放たれる

シエラが冷属性魔法を唱えてくれたらしい


「ご主人、ミサイルは後三本あるよ! サイズからして戦闘機が搭載する空対空ミサイルだよ!」


「なんで、そんな物をテロリストが持ってるんだ!?」


ダメだ、逃走車両を追うどころじゃない

さっきのミサイルは発射場所から距離が近すぎて、安全装置が働いて爆発しなかったんだ


戦闘機用の空対空ミサイルをまともに使われたら、誘導性能から逃げられる気がしない

爆発力も歩兵用のミサイルランチャーとは比べ物にならない


撃たれる前に何とかしないと!



偵察用ドローンの映像を確認

工場内に二名の人影

ここに残った人数は少なそうだ


「シエラ、工場内に入ります! 援護を!」


「了解!」


ミサイルに轢かれて脇腹がめちゃめちゃ痛い、肋骨が折れてる気がする…

しかし、工場を制圧しないと


すると、工場の前の道路に霧が降ってくる

シエラが魔術で霧の目隠しを作ってくれたようだ

魔術版スモークだ、便利だな!


俺はホバーブーツのエアジェットで霧に突っ込み、一気に工場の壁の穴の前に出る



ガガがッ!



アサルトライフルを撃ちながら着地、一気に…



ズブッ… 「え!?」



踏み込んだ左足が地面に埋まった


やられた!

土属性範囲魔法の泥化魔法が地面にかけられていたらしい

地面に足を取られる、地味だが効果が高い魔法だ


狙われていたのか、工場の中から女が飛び出してくる

槍を振りかぶり、俺めがけて振り下ろす



ボッ! ビュン!



俺はエアジェットを吹かして脱出

肩を槍の刃が掠める


すぐに陸戦銃を向けてアサルトライフルを撃とうとするが…

女の槍から土属性投射魔法が放たれる


よく見ると、槍の刃の根本に魔玉らしい宝玉がつけられている

杖を近接武器化した槍だ



ガンガンッ ガンッ!


「うわっ!」



石の楔が三発襲ってくる

身を捻って交わし、なんとか路地に逃げ込む



カシャーーンッ!



その時、冷属性魔法が女を包む


「ラーズ、工場の表はクリア!」

シエラの援護魔法だ


「シエラ助かった! 中に突入する、データ何人だ!」


「ご主人、中入って左奥に1人は確認済みだよ!」


俺は工場の入り口まで行き、中を伺う


右奥はシエラの冷属性魔法が炸裂し、霜だらけで二人ほどが倒れている


工場のど真ん中には、個人が携帯するミサイルランチャーの三倍はあろうかというミサイルが、三本並んでいる

一つの発射台に二本づつ、それが二期あり、一本は発射済みだ

発射済みのミサイルは、先ほど俺を轢いていったやつだろう


左奥には何かの端末が置いてあり、男が操作をしている


さっきトラックに逃げられている

できれば生け捕りにして情報をとりたいよなぁ…

でも反撃も怖いし…


三秒ほど悩んで、一度だけ生け捕りを試みることにした



ダダダッ!


「ぐああっ!」



端末を操作している男の足をアサルトライフルで撃つ

同時平行で周囲を確認、敵なし


…ふぅ


「ぐあぁ…」


もがいている男に銃を向ける


「動けば撃つ」


「うぅ…」

男は、足を押さえながら必死に動きを止める


端末の先には下り階段がある

どうやらこの工場には地下があるようだ


「シエラ、工場内はクリア、一名捕虜。降りてきて入り口の警戒をお願いします。あと、この工場には地下があるようですね」


「了解。すぐ行くわ」




・・・・・・




地下室は鋼板のタイルが張られていた

魔導計測危機や情報端末、魔石やインク類が乱雑に残されている


「地下室は無人です。タイルが敷かれてて、それを持ち出されています。魔導師のシエラに見てもらったら、タイルは魔力伝導性の高い黒銀板らしいので魔法陣である可能性は高いと思います」


「足止めもできないのか!」


「二人で搬送の阻止なんて、頭数が…」


「言い訳するな! 命令を遂行するのがお前達の仕事だろうが!」


「…」


「いいか、今回召喚魔法陣なんかを持ち去られたのはお前達のミスだ。処分は覚悟しておけよ!」


ブッ


凄い剣幕で無線通信電話を切られる



「…何だって?」

シエラが心配そうに聞いてるてくる


案の定、逃走されたことを報告したら作戦本部から激怒されたのだ


捕虜が一名いるとはいえ、末端の人間でろくな情報も得られていない

尋問の時間もない



「逃げられたとはいえ、二人だけで拠点を制圧して生け捕りまでできたって結構すごいよね?」


「敵が逃走組と拠点組に別れたんですよ? 二人で二兎を追ったらこっちが狩られますよ…」


「しかも、拠点の防衛が戦闘機用のミサイルをぶっぱなしてくるのよ? もう一回撃たれてたら危なかったわ」


「考えてみたら、よく生き残れましたよね。頭数も火力も負けてましたからね」


二人でため息をつくが、くよくよしてもしょうがない

集落内の人達が学校の体育館で人質のなっているのだ


「オズマと合流しましょう。可能なら人質の救出ですね」


「ラーズの小隊長にも状況説明してるんでしょう? 何かやってくれそうなの?」


「ご主人、ゼヌ小隊長にテロリストの逃走の経緯は連絡済みだよ! 出来る事はやっておくわ、生き残ることを優先しなさい、ってメッセージが来ているよ!」


データは言われた通り、ゼヌ小隊長にこまめに状況報告をしてくれていたみたいだ


「そっちも望み薄そうね…。そもそも作戦本部が様子見してたから部隊を送ることさえできてないのよ!? なんで私たちの責任になるのよ!」


俺はもう一度ため息をつく


大量破壊兵器である召喚魔法陣を持っていかれた

使われたらどれだけの被害が出るのか


今さらどうしようもないが…辛い


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