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71話 進路

用語説明w

データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI。明るい性格?

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している

セフィリア:龍神皇国騎士団に所属、B+の戦闘力を持つ。ラーズの遠い親戚で、五歳年上の憧れの竜人女性


データのアバターショップに来てみた


現状、データのアバターでは可視光での映像確認しかできない

これでは、見える範囲の敵しか認識できない

だから夜間の赤外線、ゴースト対策の霊視、熱源のサーモのカメラをそれぞれ導入しようと思っているんだ


「結構高いな…」


アバターの拡張が、総額五十万ゴルドほど

軍用にしては安いのかもしれないが、簡単には出せる金額ではない


更に店員にオプションで電磁波検知と魔素検知を勧められている

電磁波検知は電磁波を感知した場合の発生方向、魔素検知は魔法が発動した場合の発生方向がそれぞれ分かる


安全を考えるなら確かにほしい



だが、そもそも俺は何を目指してるんだろう

戦闘職か? だが、アバターの拡張は情報職の分野だ


自分の予算は無限じゃない

自分の役目に合った装備を揃える必要がある


防衛軍は軍隊で組織だ

それぞれが、役割に合った能力に特化していく必要がある


戦闘職なら火力や機動力、防御力など、支援職なら回復、補助魔法、回復アイテムなど、情報職なら、索敵、センサー系統だ


特化できずに器用貧乏になってしまうと、チームの総合的な戦闘力が下がることになってしまう


このまま戦闘職でいくのか、情報職に手を出すのか、MEBにも乗ってみたいし…

隊で、自分の進む方向を相談してから何の装備を買うか決めた方がいいかもしれないな



今日はフィーナと待ち合わせをしている

俺は待ち合わせ場所へ向かった




・・・・・・




「いい肉は違うねー…」


「年頃の娘がその顔はダメだぞ?」

よだれを垂らしそうなフィーナを嗜める


今日はちょっといい焼肉屋に来ている


ランクアップをして、隊でサプライズでお祝いしてもらったことをフィーナに話したところ、「私も祝う!」と言ってくれたのだ


さっそく焼き肉を頬張り始めるフィーナ

つられて、俺も箸を伸ばす


「うっまっ!」 「美味しい~!」


いい肉っていうのは口の中で溶けるものなのか…

二人で無言で食べ進む


「はっ!? あまりの美味しさにお酒を飲むのを忘れてた!」


「そういえば! ビールの泡がなくなっちゃう!」


「お肉にはワインの方が良くない?」

フィーナがグラスを口に運ぶ


「そうか? 焼き肉にはビールだろ」


酒と肉を交互に口に放り込む

旨すぎて箸が止まらない

上品な肉に合った食べ方は出来そうにない




……







「美味しかったー」


フィーナはワインをガブガブ飲んでいたので、さすがに目がとろんとしてきている

…ちょっと色っぽい


「なーにー?」


気がついたら、フィーナがこっちを見ていた

つい見すぎてしまった


「ん、あ…、いや、ありがとな、今日は」


慌てて俺は目をそらした


「ふふ…、お祝いだしね。怪我ばっかりして心配してたけど、ラーズが昇進なんて偉いね、よく頑張ったね」


「…俺はお子様か? それに階級が上がった訳じゃないから昇進とは違うぞ」


「そうなんだ。でも、ラーズが私と関係ないところで戦友とか作ってるのがちょっと寂しいな…」


「何で? お前だってセフィ姉とかいるじゃん」


フィーナは龍神皇国の騎士団に所属している

龍神皇国はシグノイアよりも大国であり、それだけ騎士団の規模も大きく、Bランク以上の戦闘員も多い


「昔は私と組んでたのに。本当は、防衛軍なんか続かないと思ってたんだけどな…」


「組んだって、授業の話だろ? 何度も言うけど、俺なんかと組んだってフィーナに得るものはないし、俺は戦死するだけだってば」


闘氣(オーラ)もない、魔法も特技(スキル)も使えない、そんな俺がフィーナと組めるわけがない

Bランク戦闘員には、当然ながらBランク相応のミッションやモンスターを相手にする


騎士団や防衛軍のような戦闘が絡む仕事において、能力は絶対なのだから


「ラーズとフォウル、そして私で組んでた時が楽しかったんだよね」


「楽しかったのは認めるけどな。今さら無い物ねだりしたってしょうがないよ」


フォウルは俺が飼っている子竜だ

サンダードラゴンで、普段は肩に乗るサイズの可愛いやつだ

一瞬だけ大きくなってサンダーブレスを吐くことが出来、竜だけあって意思の疎通も出来る


今は俺の実家でゴロゴロと生活しているはずだ

戦争が落ち着いたらフィーナと会いに行きたいものだ



「うん、分かってるんだけどね。ただ、勝手に防衛軍に就職してやりがい感じてるラーズにちょっと嫉妬してるんだよ…」


だめだ、フィーナが愚痴り始めた

お腹もいっぱいになったし、そろそろお開きだな


「そういえば、本当に奢りでいいのか? 凄い高そうな肉だったけど」


「大丈夫だよ、セフィ姉がラーズのお祝いだから美味しいもの食べてきなさいってお金くれたの」


「なんですと!? 初耳なんだけど!」


「足りない分は私が出すから、私の奢りだよ?」


「…何でセフィ姉のお祝いでお前までいい肉食ってるんだ?」


「…お祝いだから? それに二人で食べた方が美味しいもんね」

フィーナが目を潤ませながら言う


…確信犯だな


ま、フィーナはなんだかんだ言って、いつも俺を応援してくれる

たまには二人で贅沢するのもいいもんだ


次の閑話で第二章終わりとなります

読んで頂き感謝です

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