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6話 初非番

用語説明w

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹


初陣での俺の活躍の評価はかなり高かった


初陣で、アイテムも持たずに(これはハメられただけだろ)、オーガ三体を負傷させての足止め

時間を稼いで生き残れば充分な成果なミッションで、ここまでやるとは思ってなかったらしい


といっても、サイモン分隊長はオーガリーダーとオーガ二匹を撃破寸前までいっていた

…強いんだな、あのおっさん


結果、味方の損害は0

戦車が壊されると、次回出撃で遠距離火力が足りなくなり損害が増える悪循環を防止できたってことだ



ま、それよりも…

非番だ! 休みだ! 休日だ!


初陣を終え、俺は休みを勝ち取ったのだ

しかし、連日の疲れが出て、何もする気が起きない…


「ラーズ、午前中終わっちゃうよ? そろそろ起きたら」

フィーナに声をかけられ、ゆっくりと布団から出る



フィーナは、二歳下で俺の戸籍上の妹だ

戸籍上…というのは、なんと血の繋がりがない兄妹なのだ


ドキドキすると思うかもしれないが、そんなことはない

理由は、フィーナの背負ってる境遇が重すぎるから


俺とフィーナは、小学校二年生頃からの幼馴染みだ

ありふれた一般家庭出身の俺と違い、フィーナはクレハナという国の領主の娘で俗に言う「お姫様」だ


だが後継者争いが勃発しており、リアルで暗殺の危険がある

母親はフィーナが幼い頃に出ていっており、その影響で父親の束縛が凄い


そんな境遇なのに領地の継承権は4位と微妙な順位にいるフィーナは、安全を理由に継承権を辞退

父親を説得し、養子縁組を組むことで領主の家系から離れ、名実共に領地継承権を辞退したんだ

四年前の、俺達が大学入学前のことだ


その養子縁組の相手が俺の両親ってわけだ

もちろん、いろいろな駆け引きがあっての養子縁組なんだろうけど、一番の理由はフィーナが俺の両親を熱望したことだろう


フィーナが俺の地元に引っ越してきてから、一人っ子だった俺の両親はフィーナをめちゃめちゃ可愛がってた

フィーナは家族愛に飢えてたから嬉しかったんだろう



1つ問題があるとすれば、こいつが俺の姉になると言いやがったことくらいだ


いやいや、おかしいだろ! フィーナは2歳下だぞ!

…と普通なら思うが、俺とフィーナは同級生だったんだ


フィーナは天才系で飛び級を2年していた

だから、年下の幼馴染みなのに同級生だったんだ


とりあえず、兄とは先に生まれた方という当たり前の定義を掲げて兄の座を勝ち取ってやった


養子縁組後、俺達は大学に通うために一緒に親元を離れた

まあ、そんな訳で二人で暮らしている



といっても、俺は大学卒業後に防衛軍に入隊し、最近はずっと研修のために防衛軍学校の寮に入っていた

実際、顔を合わせるのは半月ぶりくらいだ


フィーナも龍神皇国に就職したばかりで、なかなか帰って来れてないらしい

それでも、大学時代に過ごしたこの部屋が居心地いいらしい


スゲー分かる

俺も隊に泊まると楽だけど、やっぱり帰りたいもんな



「今日はどうする?」

フィーナが聞いてくる


「久しぶりの休みだし何かしたいよな」


「でもゆっくりしたい気もするよねー」


確かに家でまったりもいいな

「久しぶりに昼間から酒でも飲もうか。大学生みたいに」


「卒業して数ヶ月なのに社会人気取りだね。あ、ホワイトビールがあるよ」


「最高じゃん。じゃ、つまみ買ってきてよ」


「何でそうなる。私着替えたくないからやだし」


「俺も着替えるの面倒だからお願い!」


「男だから着替えなくていいでしょ! それに私は午前中に洗濯やりました」


「うぐっ…。洗濯は有難うございます」


「ナッツ系と漬物お願いします♪」


「フィーナってお姫様のわりに、庶民のつまみ好きだよね」


「もう姫じゃないし、姫だった記憶もないし。六歳には国出てたでしょ」


「確かに。それにフィーナは白馬に乗った王子様待つより、自分で白馬に乗って城を飛び出すタイプだもんな。がさつな所あるしね」


フィーナがジロッと睨む

「なんかイラッとする言い方するね? 確かにラーズを白馬にして乗りこなすのが楽しいから間違ってはないけどね」


「誰が乗りこなされるか! 兄に敬意を持ちやがれ!」


「ラーズが先にがさつな女呼ばわりしたんでしょ!」


俺はファイティングポーズを取り、軽く右ストレートを放つ


それをフィーナが左に頭を振ってダッキングしてかわし、左ボディを撃つ


俺は右腕でガードをする…


「うぐっ…!」


なんと、フィーナの拳は俺の金的に食い込んでいた…!




・・・・・・




「ごめんなさい」


「ねぇ、バカなの? 背小さいのに角度間違えたら金的いくじゃん。ねぇ、しかも前もやったし二回目だよ? 飛び級するのにバカなの?」


「だってラーズが…」


「確かに俺の言い方は悪かった。ただ、十分も悶絶させるほど悪かったか? 金的だよ? 非人道的な行為だよ? 子供出来なくなったらどうすんの? ねぇ?」


「もうわかったから、一緒につまみ買いにいこう? 痛み分けでいいからさ」


「痛み俺だけだろうが!」



何気ない日常って素晴らしい

休日最高、自宅最高


そして、フィーナとの久々の宅飲みは楽しかった

気疲れしない、家族ってやっぱりいいな


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