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60話 塔の崩壊

用語説明w

魔石装填型小型杖:使いきり魔石の魔法を発動できる

ホバーブーツ:圧縮空気を放出して高速移動ができるブーツ

偵察用ドローン:カメラ付きドローンで、任意の場所にとまらせて偵察カメラとして使い、PITで画像を受信する

ロケットハンマー:ハンマーの打突部にロケットの噴射口あり、ジェット噴射の勢いで対象を粉砕する武器


データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI。明るい性格?



Bランクの戦闘は凄かった


俺とテスノトリウの距離が離れるや否や、Bランクの一斉攻撃が始まった

一人がテスノトリウの攻撃を防御し、残りの三人で攻撃

包囲して準備していた分、圧倒的だった


俺は塔の先端付近で、まるで映画でも見るような気持ちでそれを眺めていた


闘氣(オーラ)で纏った大盾で防御すれば、攻撃をガッツリと防ぎ、高熱も体を纏う闘氣(オーラ)で遮断している

闘氣(オーラ)で纏った剣で突けば、攻撃がバリアを貫通し、更に衝撃波がダメージを与える

闘氣(オーラ)で纏ったハンマーで殴れば、攻撃がバリアを貫通し、更に衝撃波がダメージを与える

とどめは大魔法が炸裂し、更に衝撃波が…もういいや


うん、俺が巻き込まれていたらミンチになってたのは間違いないな


俺のロケットハンマーでノーダメージだったのに…

簡単にテスノトリウを貫く、闘氣(オーラ)を纏った近接攻撃に大魔法

俺の火力じゃどうしようもない現実だ


Bランク以上の戦いは、防御力が段違いに高くなる

Bランクの防御力にダメージを与えられる手段が必要だ


軟化の魔石か…?

でも、弾速遅くて当てにくいしな


ロケットハンマーは今回無理だったし

後はロケットランチャーや、スナイパーライフルで疑似アダマンタイト芯徹甲弾を試してみるか…、俺の最高火力だし


ロケットハンマーの機構を超振動ブレードに組み込んで瞬間火力を上げるとか出来ないかな?

でも、カスタムは金かかるしなぁ


いや、そもそも俺は見習い卒業してないFランクだぞ?

むしろ俺がBランクと戦うのが間違ってるのか…



その時、突然討伐されたテスノトリウが輝き出す



キュウゥゥゥゥゥ……



何? 何の音!

俺が塔のてっぺんにいて逃げ場無いの知ってるよね!?








ドオォォォォォォォォォォーーーーーーン!!




………




……







…予想通り、テスノトリウが大爆発を起こした



塔の先端から下を見るとよく分かる


塔の真ん中の高さにある展望台に大穴が空いている




ギ…ギギギ……



「ご主人!倒れるよ!」


データが叫ぶ



うん、そうなるよね

倒れないわけ無いよね


塔の中央部分から、鉄骨が曲がり始める音がする


倒れます!倒れます!…、という鉄骨の悲鳴が聞こえる


この塔はちょっとした公園に建っているため、周囲に飛び移れそうなビルなどはない

展望台の高さまで降りて、倒れるであろう塔の上層部から展望台側に飛び移るしかない


確か、先端の高さが三百メートル、展望台の高さ百五十メートル…

約百五十メートルを駆け降りろってことだな



ギギギ…ギギ…ギギーーーーーーーー


グラッ…



塔の上半分が、展望台が消失した側に倒れ始める

塔の先端にいる俺からすると、世界が斜めに傾いていく感じだ




「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!」




俺は、角度が90度から徐々に浅くなっていく鉄骨を、ホバーブーツのエアジェットで全速力で滑り落ちる



ボヒュッ… シュゥゥ……


「エアが切れた!? ここでか!」



後は自分の脚力しかない

角度が45度くらいになった鉄骨の坂道を駆け降りる



「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!」



ヤバイヤバイヤバイ!

角度が0度!もうこれ、水平だよ!



「うおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」



鉄骨が登り坂になり、後ろは百メートル下の地面!

もう展望台が俺より上に見える



「届けぇぇぇぇ!」



俺は小型杖を振る

引き寄せの魔法弾が展望台に着弾


やった!



ビョォォォォォォォォォンッ!


ドサッ…

「がはっ!」



着地の勢いで、一瞬息が止まる



ドガシャアァァァァァァァァァ………ン………



塔の上半分が倒れた大音響が響き、土煙が上がる

俺は展望台の上で、大の字で仰向けになった


「はぁ…はぁ…」


た、助かった…




・・・・・・




やっと息が整ってくる


ふと見ると、崩壊した展望台の中心に不思議な支柱が見える

塔を構成する鉄骨の束のど真ん中が露出しているのだ


そこに、不思議な輝きを持つ1.5メートルほどの細い支柱があった

まるで隠されるかのように、鉄骨の束の中に配置されている


何だろう、この金属は

凄く神秘的な輝きをしている気がする

この塔の大黒柱的な物なのかな?


先史文明を専攻してた俺としては、こういう歴史ある建造物の隠された謎とかにドキドキするんだよな

どうせ、この塔は解体するんだろうしもらってもいいよな


俺は、謎の金属の支柱を取り外して倉デバイスに入れた




しばらくすると、空から人が降りてきた

Bランクの先輩方だ


「やあ、ラーズ君お疲れ! 大活躍だ、よくテスノトリウを誘きだしてくてたよ!」

テラが爽やかに声をかけてくる


「死にかけましたけど…」


「自爆するとは思わなかったんだ、すまない俺達のミスだよ」


ミスばっかじゃねーか!

Bランクの作戦って大味すぎないか!?


「よくやってくれた、俺はボルドーだ。お前の使った拘束魔法、結構効いてたぜ」

ハンマーを持ったドワーフっぽい男が、気さくに声をかけてくる


「逃げながら撃ってみたんですが、効いてましたか? 良かったです」


「ハラハラしながらお前を見ていたんだ。最後にハンマーで一発ぶん殴っただろ? 同じハンマー使いとして誇らしい一撃だったぜ」


なるほど、ボルドーはハンマーという共通点で親近感を持ってくれたらしい


「でも、やっぱり効きませんでした。やっぱり闘氣(オーラ)が無いとBランクモンスターのバリアは越えられないんですかね…?」


「そんなことはないさ。そもそも奴の防御は力学属性のバリアで闘氣(オーラ)じゃない、やりようはあるさ」


「ど、どういうことですか…!?」


力学バリア

高ランクモンスターが持ち、自身を中心に周囲数メートルの位置に展開している

通過する物体から一定量の運動エネルギーを奪うもので、バリア外から放たれた矢や銃弾がバリアに触れると、運動エネルギーをゼロにして止めてしまう効果を持つ


バリア範囲内に入って近距離で攻撃するか、運動エネルギーを使わない強力な魔法で攻撃するかが基本的な対処法だ


だが、ロケットランチャーのような推進機構なら、推進力が続くため一度止まってもそこからまた動き出せる

推進力が一時的にゼロになる分、通常よりも威力は落ちてはしまうが当てることは出来るのだ


「では、ロケットハンマーが効かなかったのは単純にテスノトリウの攻殻が固かったからってことですか?」


「そうだ。奴のバリアは半径2メートルほどだった。ロケットハンマーはその範囲内で使われたから、力学バリアは作用していない」


「ロケットハンマーで壊せない攻殻って、戦車の装甲より固いってことですよね? Bランクモンスターって強すぎますね」


「君が使える武器なら…例えばパイルバンカーのような武器ならバリア内に入ってからでもダメージを与えられるだろう。火属性相手じゃないなら火薬も使えるし、ロケットランチャーや貫通性能の高いスナイパーライフルのゼロ距離射撃でもいけるかもしれない」


「なるほど…。バリア内側の近距離から火力が出せるなら、何か出来るかもしれないですね」


「それに、闘氣(オーラ)や火力だけが強さじゃない。実際、今回の拘束の魔石はかなり助かったからな」


「はい、ありがとうございます。勉強になりました!」


Bランクの戦闘員から直接アドバイスをもらえるなんてラッキーだ、勉強になるな


「道化竜ラーズ、今回は君のおかげで住人の被害はゼロだ。いい囮っぷりだったよ、ありがとう」

テラが、爽やかに話にに入ってくる


「…道化竜って何ですか?」


「君のヘイトを集める力は才能だ。まさにサーカスのピエロのように敵の注目を集める! 竜人である君は、まさに道化竜ってことだよ。かっこいい名だろう?」


「…」


「テラはあだ名を作るのが好きなんだ。ルージュの時の話も聞いていたしな」

ボルドーが小声で言う


あだ名って意味分からん

このテラって人はなんかチャラくて苦手だし、無視しとこう




…塔を降りて帰還準備をしていると、デミ小隊長が忙しそうに指示を出していた


自分の受け持ち区で、人的被害がなかったとはいえ魔導電波塔が倒壊したんだ

安全対策に今回の被害発生時の過失の有無、瓦礫の撤去…、やることを想像すると、多過ぎて頭痛くなりそうだ


「お疲れ様でした」の意味でこっそり頭を下げると、こっちに気付いたのかデミ小隊長は敬礼を返して仕事に戻っていった


…さ、俺は帰える準備をするしよう






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