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58話 Bランクモンスター1

用語説明w

魔石装填型小型杖:使いきり魔石の魔法を発動できる

ホバーブーツ:圧縮空気を放出して高速移動ができるブーツ

ロケットハンマー:ハンマーの打突部にロケットの噴射口あり、ジェットが噴射の勢いで対象を粉砕する武器


突然呼び出されて応援任務


また緊急クエストの緊急召集だ

ハチオウ市の町にある魔導電波塔に強力なモンスターが逃げ込んだらしい


この電波塔は二百年の歴史を誇る町のシンボルの一つで、鉄骨を組み合わせた格子状の塔だ

赤色と白色で塗装され、下が広く上が細い特徴的な外見をしている


高さ300メートル以上、中間には展望台が設置され、その高さは150メートルあるらしい

普段なら高いなーで済むが、戦闘現場とするなら嫌な予感しかしない


今回は俺一人が応援要因として派遣された

最近、緊急召集多くないか!?



「おい、お前! 足はあるのか!?」

突然、偉そうな親父に呼び止められる


「は?」

足はあるに決まってる、何言ってるんだ?


「塔を登れる足は有るのかって聞いてるんだ! 状況分かってるのか!?」


「あぁ、そういう…。はい、ホバーブーツを使ってるので」


塔を登れるかって意味かよ

分かるわけねーだろ、ちゃんと言えよな

イライラをぶつけられたようで気分が悪い


「ならこっちに来い! 作戦を伝えるぞ!」


「え? は、はい!」


ええ! 今回はサポートって聞いてたぞ?

俺、何かやるの…


俺は、嫌な予感を感じながら偉そうな親父についていった




ーーー作戦本部のテント


「というわけだ。最優先は目標の撃破! 次に塔の保護だ!」

相変わらず偉そうに親父が説明している


「…これ、囮って事ですよね?」

俺は凄い嫌そうに確認する


だって俺の実力じゃ到底太刀打ち出来ない相手だ


モンスターは爆炎獣テスノトリウ

火属性を纏い、爆破魔法を使い炎ブレスを吐くBランクの化け物だ


Bランクとは闘氣(オーラ)を使えなきゃ戦えない強さで、Cランクの戦車より戦闘能力が高いってこと

うちの1991小隊の総力でも討伐出来ないようなモンスターだ


現在は魔導電波塔の中層階にある展望台に潜伏しているらしい

だが、いつ飛び出してくるかは分からない

市街地に出さないため、出来れば塔を犠牲にしてでもここで仕留めたいらしい


これまでの戦闘で防衛軍のBランク戦闘員がダメージをかなり与えたのだが、討伐目前に市街地まで侵入されてしまったらしい


展望台内で戦うと塔が崩壊する可能性があり、いくらBランクの戦闘員とはいえ危険がある

また、今度逃げられたら市街地で暴れられることになるので、絶対に逃げられないようにBランクで包囲する必要がある


だから高機動力のある俺に、テスノトリウを展望台から誘き出す任務が課せられた

奴が外に出たところを、Bランクの火力で一斉攻撃という作戦だ


…外って塔の外壁ってことだぞ!?

展望台の高さ150メートルの外壁で戦うんだぞ?

空を飛べるBランクと俺をいっしょにしないでくれ…!

しかもBランクモンスターの攻撃なんて、一発もらえば俺なんか即死なんだからな



「デミ小隊長は、この街の住民が危険に晒されてて気が立ってるんだ。気を悪くしないでくれ」


ロングソードを腰に付けたノーマンの男が話しかけてきた

指示を出していた偉そうな親父はデミ小隊長というらしい


「いえ、大丈夫ですよ」


「俺はテラ、Bクラスの戦闘員だ。今回、奴に市街地まで入られたのは俺たちのミスだ、すまない」


「え、俺は別に…」


Bランクの戦闘員が低ランクの俺に頭を下げられるって…、これが勇者様の器なのか?

ちょっとチャラさがあるけど、爽やかだ


「今回、俺達Bランク以外で高機動戦闘が出来るのは君だけなんだ、力を貸してくれ。俺たちBランクが周りを包囲して奴を誘き出せれば直ぐにケリはつく」


「…」


「危険な任務だが、何とか頼む。俺達が包囲しておかないと逃げられる危険性がる。他に奴を市街地に逃がさずに倒す方法がないんだよ」


確かにBランクが包囲して、攻撃に専念した方が効率はいいのは分かる

そもそも、俺の攻撃じゃダメージなんか与えられないだろうし


「分かりましたよ…。ただ、私じゃあのモンスターの相手なんか出来ないんですぐ逃げますよ?」


「もちろんだ。奴を誘きだして展望台を出たら君はすぐに逃げてくれ。俺達の攻撃に巻き込まれたら、闘氣(オーラ)がない君は間違いなく死ぬ。君と奴との間隔が開いたら、俺達がすぐに攻撃を開始して奴を仕留める」


「分かりました。よろしくお願いします」


「君が死んだ場合も、同じく攻撃を開始して敵は討つから安心してくれよ」


「いや、全然安心できませんけど!?」


「君は、ルーシュを助けたっていうピエロ君だろ? 今回も、いいピエロっぷりを頼むぞ!」


テラはルーシュを知っているのか

あの時も俺が囮をやって敵を一網打尽したんだよな


いや、いいピエロっぷりって何!?




・・・・・・




作戦が開始された


Bランクの戦闘員は四名

塔の根本に一名、展望台より少し高い空中に三名が塔を囲んで待機中だ


空を飛べるっていいよな…


テスノトリウは体が高熱の火属性バリアに包まれていて、銃弾などの物理攻撃ではバリアを貫通できない

討伐にはBランクの闘氣(オーラ)を纏った近接攻撃や強力な魔法などが必要だ


つまり俺には打つ手無しってわけだ

こっちはBランクモンスターの攻撃で一撃死、向こうはバリアでダメージ無しとか無理ゲー過ぎるだろ!


ま、そこは割り切って、魔石装填型小型杖で状態異常を狙う

バリアごと弱体効果を付与してくれるわ!

取りあえず拘束の魔石を使ってみよう


後は、命綱の引き寄せの魔石

今回はもう一本杖がほしい…、魔石を装填している暇有るのかな


一応、火力出すとき用に背中にロケットハンマーを担ぐ

当てられる気が、いや…そもそも近づける気がしないけど、ロケットランチャーだと誘爆させられる可能性があるからな



念のため、防御魔法(小)、硬化魔法(小)、耐熱魔法(小)をかけてもらい、耐熱性ジェルをフェムトゥの装甲に塗る


だが、テラ曰く、

闘氣(オーラ)の防御が無いと焼け石に水だよ?」

らしい


じゃあ俺なんかに囮させるな!


まあ、愚痴ってもしょうがない

危険なモンスターが市街地にいることに違いはない

早く何とかしなきゃな


俺は空を飛べないから、塔の外階段を上がる

展望台近くに着いたら外壁の鉄骨を上がって展望台に侵入する

ホバーブーツのエアの節約だ


だが、あまり時間をかけてもいられない

奴に自由に動かれる前に、こっちのタイミングで外に出す

裏をかかせないためには先手必勝だ




はぁはぁ…

階段が思ったより長かったが、やっと着いた…


インカムで報告

「遊撃から本部及び各班、展望台下に到着した。これより外壁から展望台へ入ります」


「本部了解。目標は西側で待機中、東側から侵入せよ。幸運を祈る!」


「遊撃了解」


答えながら思う

インカムで祈られるのって、だいたいろくな目に合ってないときだよな…


俺はホバーブーツのエアジェットを使いながら鉄骨を上っていく

インカムで言われた通り東側から展望台へ


展望台の中から熱を感じる

ヤバイのが分かる


入りたくねー…




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