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4話 いきなり初陣1

用語説明w

1991小隊:ラーズが配属。MEBが配備された小隊

MEB:多目的身体拡張機構の略称。二足歩行型乗込み式ロボット


ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

サイモン分隊長:MEB随伴分隊の分隊長。巨人族の血をひく巨漢で丸坊主


会議室にはゼヌ小隊長以下七名が集まった

整備のクルスやホンも来ていた


整備班も作戦会議に出るんだな…


「北側のポイント023にモンスターが出現よ。中隊本部からの指示で、うちが撃破に当たるわ」

ゼヌ小隊長が説明している


角がある男性隊員がモニターを使いながら報告する

「モンスターはオーガが数匹です。しかし、一匹リーダークラスがいるようなので注意が必要です」


オーガって結構強いモンスターだったよな

さすが防衛軍、こういう事案に出動するんだな



「リーダーと数匹のオーガ…、厄介ね。場所は平原だったわね?」


「はい、平原です。見通しが良いので、お互いに遠距離の打ち合いから始まる場所ですね」


「市街地も近いわ。すぐに出撃して平原内で対処しないと危険ね。作戦はB1、敵が強く数も多いので戦車の迫撃砲を使いましょう」


「分かりました。操縦はクルスとホンでいいですね」


「ええ、二人ともお願いね」


「分かりました」「了解です」

クルスとホンが答える


整備班の人も戦場に出るんだな


「今回、一番きついのはサイモン君だけど大丈夫?」


「大丈夫です。任せて下さい」

ゴツい大柄の隊員が答える


「じゃ、すぐに出発しましょう。みんな、安全第一でね!」

ゼヌ小隊長が会議を締める


「 「了解!」 」

全員が了解して、席を立つ



…って、待て!

B1って何だ!!

俺も出撃なの!?



「あ、ラーズ君はサイモン君の指揮下ね!」

ゼヌ小隊長が思い出したように、焦る俺に大声で指示を追加した




・・・・・・




「遊撃班、配置完了」

サイモン分隊長がインカムで報告する


一時間後には全員が配置を完了した

俺はサイモン分隊長と二人でオーガの迎撃ポイントで待機している


サイモン分隊長はMEB随伴分隊の分隊長で、巨人族の血を引く巨漢で丸坊主(ハゲ?)だ


頭を注視しないように気をつけながらチラ見する

身長は2mちょいあるらしく、めっちゃでかい


「おう、気合いさえ入れてりゃ何とかなるからよ」

って感じの、体育会系のノリのおっさんだ


この分隊は他に二人の隊員がいるそうだが、一人は非番、一人は出向中のため不在らしい

今日はサイモン分隊長と俺で敵の陽動を担当する


会議で言っていた作戦B1は、本体から離れた遊撃部隊が敵を陽動し、本隊の遠距離攻撃で殲滅する作戦らしい

遠距離攻撃は、小隊所有のT7型装甲陸戦車両の迫撃砲だ


よって、俺の初陣はオーガ数匹にある程度近づいて、敵が全滅するまで陽動し続けるってことだ


…待て、初陣で危険すぎないか!?



ちなみに、オーガはDランクのモンスターで見習いが相手になるモンスターではない


「初陣だからしょうがないが、不安そうだな?」

俺の不安を見越したのか、サイモン分隊長が言ってくる


「オーガって結構強いモンスターですよね? 陽動って危険すぎませんか…?」


「Dランクだな。 今回は数が多いから、陽動がいないと戦車が攻撃される恐れがある。陽動は重要だ」


「不安です…」


「迫撃砲搭載の戦車は、うちの小隊が持つ数少ない遠距離攻撃の手段だ。戦車に被害を受けさせるわけにはいかないからよ、陽動で敵を攻撃に集中させないことが重要なんだ」


「私は初陣なんですけど、陽動がサイモン分隊長と二人で大丈夫なんですか?」


「お前はホバーブーツで高機動戦闘が出来るんだろ? 適任じゃねぇか。陽動は、俺達が死なないだけで意味があるから大丈夫だ」


「実戦への展開が早すぎて、頭がついて来ないんですよ。味方の戦力も分かってないんですからね…。陽動時間はどのくらいなんですか?」


「心配するな、火力は十分ある。今回は戦争とは関係無い天然モンスターの討伐だけだし、砲撃で全滅させるまで十五分ってとこだな」


十五分…、長いのか短いのか、正直分からん

でも、オーガって動きはそこまで早くなかったし、逃げ回るだけならいけるのかな?


「撃破が目的じゃない、注意を引き付けるだけでいい。逃げ回ってりゃ勝手に味方が殲滅してくれるからよ」

サイモン分隊長が軽く言う


「が、頑張ってみます」


どっちにしろ、最前線に二人しかいないこの状況ではやるしかない


ちなみにサイモン分隊長は、固有装備と固有特性持ちのCランクの兵士らしい

Cランクとは一般兵士の最上位のランクだ



サイモン分隊長が鎧と盾を構える

続いて、蒼い紋章を発動させた


胸に現れた紋章に惹かれるように、盾と鎧もほのかに蒼くひかり始める


「そ、その青い紋章は何なんですか?」

俺はその美しさに目を奪われる


「この紋章は、干渉する物質の硬度をあげる強化紋章。俺の固有特性だ」

サイモン分隊長が教えてくれる


要は鎧と盾の硬度がアップし、防御力が上がる希少な紋章らしい


「凄いです…!サイモン分隊長も固有特性持ちなんですね!」


「俺は重近接型だ。防御はまかせろ」

そう言って得意そうに笑うサイモン分隊長は頼もしい


「その鎧は、サイモン分隊長の固有装備なんですか?」


「もちろんそうだ。これは聖騎士の鎧で高防御力と魔法防御が自慢の一品だ。この盾はギガントシールドで、スナイパーライフルも徹さない超硬度の盾だぜ」


サイモン分隊長は、固有装備と固有特性持ちなのか!



兵士の個人評価には、特記事項が2つある

それが、「固有装備」と「固有特性」だ


固有装備とは、個人で所有する装備のこと


防衛軍では、防弾アーマー、そして陸戦銃や杖、モ魔などの武器が全隊員に共通で支給される

これ以外の装備は隊員が自前で揃えており、この装備を固有装備という


軍用装備は性能はいいが、高額な物ばかりだ

固有装備を揃えたということは、何度も戦場に出て生き残って金を稼いだという事


そして、固有装備と認められるアーマーは魔法防御や耐爆性能など高性能なので生存率が高い

つまり、固有装備持ちは戦場で信頼が出来るのだ



そして、固有特性とは、個人が持つ突出した技能のこと


突出した魔法や特技(スキル)を使える者

例えば、強力な攻撃魔法や回復魔法、ブレスや攻撃特技などの習得


固有の才能がある者

例えば、獣化能力やサイキック能力、自己再生能力を持つなど


強力な武器や、希少な装備を持っている者

例えば、魔法剣やレールガンなどの固有装備の枠を超えた武器


他にも、高度な技術を習得している者

例えば、狙撃の精度が突出している、高度な指揮能力がある、モンスターの膨大な知識を持つなど



これら固有装備と固有特性を持つ隊員は、防衛軍の中でも期待され重用される

いわゆるエースってやつだ


固有装備や固有特性を持つことは防衛軍の隊員にとっては憧れだ

その両方を持っているサイモン分隊長は、それだけ凄い兵士ということだ



インカムから指令


「こちら情報1、目標を確認。目標はオーガ通常種5体、オーガリーダー1体を確認済み」


「射撃班了解、戦車配置完了、狙撃準備済み」


ホンが報告

戦車はいつでも撃てますよってことだな


続いてサイモン分隊長がインカムで答える

「遊撃1も了解、接近次第陽動に移る」


最後にゼヌ小隊長がインカムで指示する

「リーダー了解。遊撃班の陽動開始を合図に、狙撃開始でお願いね」



こうして、俺の1991小隊での最初の作戦が始まった





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