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49話 賠償金

用語説明w

ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

メイル:1991小隊の経理と庶務担当隊員

シリントゥ整備長:整備班の整備長。ドワーフのおっさん


PIT:個人用情報端末、要はスマホ。多目的多層メモリを搭載している

隊舎に出勤すると、ゼヌ小隊長に呼ばれた


「失礼します」

挨拶をして小隊長室に入る


「おはよう、ラーズ。呼んだのはね、あなたの強盗被害の賠償金が振り込まれることになったから伝えようと思ったのよ」

ゼヌ小隊長はデスクに座っていた


「思ったより早かったですね」


俺は、防衛作戦中に同じ防衛軍の隊員から装備を強奪されそうになった

偵察用ドローンを偵察カメラを設置した直後に強盗されたので、証拠がバッチリ押さえられた


「今回はトラブルではなく純粋な被害ですからね。あなたに非がないし、争う所もないから早かったのね」

ゼヌ小隊長は肩をすくめる


「そういうもんですか…」


「あなたに強盗をした三人は軍法裁判にかけられて、まず間違いなく懲役刑にはなると思うわ」


「そうですか。よかったです」


ざまあみろだ

理由もなく、装備を取られて戦場に置き去りにされるところだったんだ、しっかり罰して欲しい


「賠償額として、三百万ゴルドが向こうの小隊から支払われるわ。あなたの取り分は二百万ゴルド位だと思うからメイルから詳細は聞いてね」


「はい、分かりました」


「あと、ドムっていう犯人のお父さんが大隊本部の幹部なんだけど…、いろいろ交渉してきたけど全部断ったからね」


「あ、はい…、ありがとうございます」


そんな交渉があったんだな

知らなかった



・・・・・・



「おはようございます」

経理室に入る


「ラーズ、お早う。ゼヌ小隊長の部屋に行った?」

メイルは自分のデスクトップ型情報端末に向かっていた


「行きましたよ。賠償金が支払われるって聞きました」


「そうそう。今日振り込むみたいだから、お昼ぐらいにはラーズの口座に入れられると思うよ」


「ありがとうございます。よし、シリントゥ整備長の所にAI導入の相談に言って来ますね」


「あっ、待って待って!」

メイルが慌てて立ち上がる


「え? どうしたんですか?」


「あの…、今日ね…?」


「今日?」


「締め切りなの…雑費入力の」


「え!? 来週じゃなかったんですか」


「防衛軍は関係ないんだけど、世間は連休になるから締め切りが早まる忘れてたの」

メイルは目の前で手を合わせてこっちを見ている


「…」




カタカタ

…カタカタ

……カタカタ


「ごめんねー、ラーズ。本っ当に助かるよ」


「いいですよ。終わらせちゃいましょう」


「そういえば、ゼヌ小隊長から強盗野郎の親父から連絡があったって聞かなかった?」


「あ、聞きましたよ。なんか交渉されたから全部断ったとか」


「…ゼヌ小隊長、自分の隊員が被害に遭ったから結構怒っててさ。被害届は絶対に取り下げないし、懲役行かないなら過去の揉み消し事件掘り返して告発するってバシッと言ってたわよ」


「えぇ…」


そ、そんな風に見えなかったな

ゼヌ小隊長…

部下のために怒ってくれるなんて…!


「後でジュースでも持っていこう」


「必要ないと思うよ? むしろ、これ以上掘り返さない換わりに、口止め料がっつりもらってたみたいだから」


「…何すかそれ、めっちゃ怖い」


「ゼヌ小隊長、おっとりに見えてやる時はやるからね。さすがに予算としてはもらえないだろうけど…、隊舎の改修工事出来るって言ってたから、そこら辺で政治力が動いたんじゃないのかな」


「政治って怖い、関わりたくないです」


「ま、それは上の人がやることだからね。やることやってくれる上司はありがたいよね」


「それはそうですねー…」




お昼も間近い時間


「終わったー」

俺は入力を終えて延びをする


「ラーズありがとう! お昼ご飯終わったら、確認してから出すよ」

メイルも延びをしながらほっとしてるみたいだ


「よかったです。ご飯行きましょうよ」


「あ、待って。賠償金が来てるね。ラーズの分振り込むよ」

メイルが情報端末を見ながら言う


「早いですね! ありがとうございます」


やった!

一時的に小金持ち、フィーナに借金返せるぞ


「振込額は約二百四万ゴルドだね」


「二百万ゴルド超えるとは、ありがたやー」


「ま、堅実にね。こういうお金で調子に乗って失敗するバカはいっぱいいるからね」

メイルは念を押すように俺に言ってきた


「…はい」



・・・・・・



メイルと食堂でお昼ご飯を食べた

頭脳労働でもやっぱり腹は減る


そういえば、エマがサイキックの数値が出始めたとか言ってたけど、あとどのくらいここの飯を食べたらいいのかな?


ここの食堂はサイキックに目覚めるとかいう怪しげな薬が入ってるらしい

…実験部隊とか言ってたけど、入ってる薬が1個とは限らない

考えてみれば、他にも変な薬が入ってる気もするな、怖い



昼食後、整備長のいるMEBのハンガーへ行く


「シリントゥ整備長!」


「おわっ!? なんだよ、いきなりおどかすな!」


シリントゥ整備長が焦って振り向く

焦り方がちょっとかわいい


「AI買います! 何がいいか教えて下さい」


「お、買うのか? 金が貯まるの早かったな」


「いえ、賠償金が入ったんです。こういう金は必要なもの買って使い切っちゃおうと思いまして」


「なるほどなぁ。ちょっと待てよ…」


………


「やっぱり大手のAIが安心だろう。ちょっと高いがな。」


候補は、ゴーゴレ、シェリー、トリガのAI大手三社だ

値段や性能はどれもほぼ同じ

なぜなら、個人用AIは個人が育てていくものだからだ


「うーん、どれがいいですかね?」


「わしがトリガの販売員を一人知っているんだが連絡してみるか?」


「ぜひお願いします! 後は値段だけなんです」


「大体百二十万が相場だが、値引き交渉で百万近くまで下がれば買いでいいか?」


「はい、お願いします!」


「よし分かった」

シリントゥ整備長が電話をかけ始める


頼むぜ整備長!



「おう…ご無沙汰…そうそう…欲しいんだ…」

シリントゥ整備長が、挨拶から早速値引き交渉に入る


しっかり整備長!



「…え? …百十万まで? …それなら他の…買っちまうぞ……即決出来るぞ…、そこは…人間関係だ…」


頑張れ整備長!



「…間違いないぞ…うちの若いのだ……金が全然無い奴なんだ…借金持ちでよ…」


ほっとけ整備長!



「…あー…分かった…聞いてみる…ああ…ちょっと待ってくれ」

シリントゥ整備長が、俺を見る


「ラーズ、百十万ゴルドまでしかまからないみたいだが、無期限のアンチウイルスソフトの定義ファイル更新とメンテナンスのライセンスを付けるそうだ。まあ悪くない条件だと思うんだがな」


正直、良いのか悪いのか全然分からないがシリントゥ整備長を信じる!


「…お願いします!」


シリントゥ整備長が頷いて電話に戻る

「…オーケーだ…ああ頼む…ああ…よろしくな」


通話を終えて、シリントゥ整備長がニンマリと笑う

「終わったぞ。お前明日休みだっただろ? PITを持ってトリガの営業所に行ってこいよ。契約後にPITにトリガのAIをインストールするってよ」


「分かりました。ありがとうございますシリントゥ整備長、明日行ってきます!」


やったーーー! AI購入決定だ!

これで、固有装備の鎧に続いてAIも揃う

やっと、戦場で欲しかった物が揃うな



賠償金200万ゴルド - 借金80万ゴルド - AI購入110万ゴルド

残りは10万ゴルド


隊への恩返しに、食堂の清浄機やサーキュレーター買って…

フィーナと飯でも食いにいくか、金貸してくれたし







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