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46話 鎧の修理

用語説明w

ナノマシン集積統合システム:人体内でナノマシンを運用・活用するシステム。ラーズの固有特性となった

フェムトゥ:外骨格型ウェアラブルアーマー、身体の状態を常にチェックし、骨折を関知した場合は触手を肉体に指して骨を接ぐ機能もある

ドラゴンブレイド:ロングソードの一種ドラゴンキラーの特性がある


メイル:1991小隊の経理と庶務担当隊員

シリントゥ整備長:整備班の整備長。ドワーフのおっさん

エマ:医療担当隊員。回復魔法を使える(固有特性)

エマが医療機器を使って俺の左腕を見ている


「…凄いです…筋肉と骨に切断の痕跡が微かにあるだけで…完治してますね…」


「完全に切断されたんだけど大丈夫かな? 指とか手首の動きに違和感は無いんだけど」


「神経や筋は切断された痕跡が見つけられないくらい…。動きに違和感がなければ問題ない…。感染症も大丈夫そうですし、すぐにカプセルワームを付けたのが良かった…」


「そうかぁ、良かった。今回は医療カプセル入らなくて大丈夫だね」


「間違いなくナノマシンの治癒力は上がってる…」


足の骨折や腕の切断はあれど、フェムトゥの接骨機能やカプセルワームを適切に使えば医療カプセルに入らなくても完治までいけるようになってきた


「ついでに検査したけど…、毒耐性の数値が上がって来た…。成果が出てる…」


「本当!? それは嬉しい」


毒の耐性を得るため、エマが調合する薄めた毒、通称毒ジュースを毎日摂取している

その成果が数字として現れてきたのは嬉しい


「あと、サイキックの兆候も見らる…。何か自覚症状はない…?」


「サ、サイキックの兆候って検査で分かるもんなの!?」


「特殊なホルモンが検出されるの…。通称サイキックホルモン…」


「名前そのまんま! でも、自覚症状は特に無いね」


「そう…。まだサイキックホルモンの数値は微量…、今後も続けていけば…」


「エマって、たまにお医者さんみたいなしゃべり方するよね」


「…」

照れてしまった

照れる所だったんだ…




・・・・・・




医療室の次は整備長の所へ

切られてしまったフェムトゥの左腕パーツの修理をお願いしていたんだ


「シリントゥ整備長、お疲れ様でーす」


「ラーズ、戻ったか。腕は大丈夫だったか?」


「エマに見てもらったら、完治してるって言われましたよ」


「良かったじゃないか。最近、治癒能力上がってきてるよな? ナノマシン様々だな」


「行動不能になる怪我を現場で治せるのは有りがたいです。フェムトゥの接骨機能にも助けられましたよ」


「高い買い物したんだ、気に入ってるなら良かったじゃないか。だけどよ、怪我無くす努力もしろよな?」


「…はい」



フェムトゥの修理は終わっていた


「元通りだ。シリントゥ整備長ありがとうございます!」


「元々戦闘用アーマーは修理もしやすいように考えられてるからな。修理後の出来映えも整備の腕の見せ所だ」


「切られたとは思えないですね」


「生きて帰りさえすりゃあ全部直してやる。どんどん壊して来な!」


「出来れば壊したくないんですけど…、よろしくお願いします」



そういや、ドムから巻き上げた超振動ブレードをシリントゥ整備長に見てもらおうと思ってたんだ

忘れてた


「シリントゥ整備長、これ見てくださいよ。今回手に入れた超振動ブレードなんですけど」


「うん? 腕切られた代償に奪いとったってやつか」


「いやいや、受けた傷に対する正当な対価を貰っただけですよ。奪ったなんて人聞き悪い…」



………



……





「どうですか? 装甲ごと俺の腕を切れるくらい、凄い切れ味なんですけど」


「いいものだぞ。刃の先端部分に超振動する極細の帯状の刃が入っていて、これを根本の超振動モーターで振動させてるんだな」


「へぇ、刀身全体が振動してる訳じゃないんですか? どうりで振動が感じられないと思いましたよ」


「切る対象に当たる部分だけを振動させて省エネしてるんだろう。刀身全体を超振動させるとバッテリーがすぐ空っぽになっちまうからな」


「なるほど…」


「買ったら二百万ゴルドはするんじゃないか?」


「そ、そんなにするんですか!?」


売り払うのもありかな?

片手剣ならドラゴンブレードもあるし

だが、これだけの切れ味なら使いどころは多いんだよな


「お前、ドラゴンブレードを持ってただろ? あれと使い分ければいいじゃないか」


「うーん、現状俺の腕力じゃドラゴンブレードは扱い切れないんですよね…。一本にする事ってできないんですか?」


ドラゴンブレードは、物質的に見ればただのロングソードだ

普通の刃物で生き物を切りつければ、骨に当たって刃が欠け、血糊で切れ味が落ちる


強力な筋力や外部動力の力で扱わなければ、普通の刃物で一刀両断なんて不可能だ


だが、ドラゴンブレードは霊的構造として、ドラゴンキラーの性能がある

硬い竜の鱗を貫くのは難しいが、肉体に傷つけさえ出来れば竜の霊体構造に大ダメージを与えられる


俺の宝物だ


「うーん…どうだろうな。やるとしたら、全く新しい武器を作って、そこに超振動機能とドラゴンキラー性能を移植するとかになるだろうな」


「出来るかもしれないんですね。ま、今のところ近接武器はロケットハンマーで充分なんで、ゆっくり考えてみます」


「おう、それがいい。新しい武器見つけたらまた持ってこいよ」




・・・・・・




「初バイト、やらせて頂きます」

俺は真面目ぶって挨拶


「おう、ラーズ君しっかり頼むよ!」

メイルがおどけて返す


経理室で雑費の入力処理

時給千ゴルドで、月十回やれば一万ゴルド

お小遣いとしてはいいよね


「そういえば、強盗に切られた腕は大丈夫だったの?」


「完治ですよ。すぐカプセルワームで張り付けたのが良かったみたいです」

俺は腕を見せながら答える


「良かったねー。その強盗したバカの話聞いた?」


「まだ、何も聞いてないです」


「カジノで借金作ってヤミ金まで手を出してたらしいよ。金に困ってバカやっちゃったんだね」


「金に困ってなきゃ、あんなバカなことやらないですよね…。すぐばれるし」


「でも、お偉いさんの親父が過去に何回か事件を揉み消してたらしいよ。今回のことで芋づる式に問題になったみたいだけど」


「そういうの本当におかしいですよ。他の二人もそうなんですかね?」


「ギャンブル仲間らしいから同じなんじゃないかな」


「戦場のど真ん中で強盗とか、あいつら頭おかしいですよね。おかげで水魔法直撃して死にかけましたからね…」


「ゼヌ隊長が言ってたけど、多分賠償として一人百万ゴルド、三人の合計で三百万ゴルドはうちの隊に払われるっぽいよ。ラーズの取り分は二百万ゴルド近くはあるんじゃないかな」


「賠償って隊に払われるんですか?」


「加害者の所属する隊から被害者の所属する隊に支払われるの。その内の規定で決められた配分が被害者に渡されるわ。加害者が一文無だったり戦死した場合でも被害者を救済する制度ね」


「なるほど。でも、あいつらの所属小隊は大変ですね、悪いのはあいつらだけなのに」


「今回のケースでは、さすがに向こうの隊があいつらに全額請求すると思うよ」


「そりゃそうですよね。でも二百万ってでかいっすね。借金返済して更にAIの導入も出来るかも」


うひひ、臨時収入だ


「…悪い顔になってるよ?」


「え!?」

やべ、顔に出てたか


「そんな棚ぼたなお金なんかあてにしちゃダメだよ。人間地道にやっていかないとね。このバイトもそうだからね」


「分かってます、バイトはちゃんと続けますって。借金返済とAI導入、後は隊のために何か買おうかな。隊舎で欲しいものってあります?」


「食堂のサーキュレーターと空気清浄機が欲しいな」


「備品で買えないんですか?」


「予算が無くてずっと後回しになってるのよ」


「善処します…」



思わぬところで臨時収入

ドム先輩、あなたの犠牲は……すぐ忘れることにします



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