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3話 配属

用語説明w

1991小隊:ラーズが配属。MEBが配備された小隊

MEB:多目的身体拡張機構の略称。二足歩行型乗込み式ロボット



ついに研修が終わった

俺は戦場から生還したのだ


てっきり防衛軍学校に戻るのかと思っていたのだが、

蓋を開けてみると、俺は小隊へ配属となった


つまり、俺はついに防衛軍に正式採用となったのだ!



俺が配属されたのは、シグノイアの南方、海沿いにある小さな小隊

小さい漁港の直近であり、西側に龍神皇国との国境であるマチデニ駅と山林地帯、東側にトウク大港


和な田舎町の近くに位置している「第1991小隊」だ



…俺は、緊張しながら隊舎の門をくぐる


隊舎の階段を上がって小隊長室に向かうと、中年の女性が待っていた


「本日、1991小隊に配属されました、ラーズ・オーティルです」


「1991小隊はあなたを歓迎します」


俺が初対面の上司に敬礼して挨拶すると、女性がにこやかに敬礼を返してきた



「あなたの書類は読んだわ。銃の経験があり、魔力は使えないものの巻物や魔石杖は使用可能で、除霊術も使えるの?」


「大学のバイトが警備会社だったんですけど、悪霊や妖怪からの警備が主な業務だったのでいろいろと覚えることができました」


「物騒なバイトを選んだのね。他に技能は持ってるの?」


「ホバーブーツがある程度使えます」


「それは使えるわね」

小隊長はちょっと考え込む



「…あなたの配置は、これから考えようと思っているの。技能をある程度持っているから、後は訓練と実戦を経験してもらってから決めていくつもりです」


「了解しました」


「あなたは竜人でいいのかしら? 出身は?」


「私は、父が竜人、母がハーフエルフの竜人のハーフです。出身は龍神皇国のファブル地区です」


「ファブルね、なぜシグノイアで防衛軍に?」


「大学がシグノイア国立トウデン大学でした。兵士を希望していたので縁あるこの国の防衛軍に志願しました」


「そう、頼もしいわ。名乗るのが遅れたわね。私はここの小隊長でゼヌといいます」


「ゼヌ小隊長、よろしくお願いします」


「こっちにいる子が、庶務担当のメイルよ」


俺が目を横に移すと、赤髪の獣人の女子隊員が立っている


「メイルです、よろしくね」


「ラーズです、よろしくお願いします」



ゼヌ小隊長が椅子に座りながら言ってきた


「今日はメイルに隊員の紹介と施設の説明を受けてね。詳しくは明日から説明するわ」


「分かりました」


「じゃ、ラーズ。施設案内しながらみんなに紹介するね」


俺とメイルは小隊長室を後にした




・・・・・・




最初に来たのは、MEBのハンガーだった


倉庫のような作りで、中に三機のMEBが吊り下げられている

他に装甲戦車が1台ある



MEB…、多目的身体拡張機構

どうしよう、マジでカッコいい…


「ロボ、好きなの?」


俺が見上げていると、メイルが話しかけてくる


「うん好き。これに乗りたくてここを希望したんだ」


「これが好きならウチではうまくいくよ」


そう言われるとありがたいが、そんなもんか?


「ま、今はパイロットが出向中で、MEBは稼働して無いんだけどね」


「出向?」


「消防隊に出向してMEBでの災害運用を勉強中なの。帰ってきたら紹介するね」



ハンガー内には、整備員が四人いた

…四人でロボ三機の整備とか、人足りなくないか?



「おーい、みんな! 新人紹介するから来てよ!」


メイルが大声で呼ぶと、整備員4人が集まってくる


「ラーズ・オーテイル、戦闘職です。よろしくお願いします」


「おお、ラーズな。わしは整備長のシリントゥだ」

小柄で筋肉質のドワーフのおっさんが整備長のシリントゥ


「整備のクルスだ、輸送車両や戦車の運転も兼務している」

「同じくホンです」


2人はノーマンの男女のクルスとホン

ノーマンはギア由来のいわゆる「普通の人間」のこと


「整備のエレンです。冒険者ギルドの受付もやってます。よろしくお願いします」

エレンは獣人の女性隊員だ


「冒険者ギルド?」

聞きなれない単語に俺は聞き返す


「ああ、冒険者ギルドは通称ね。隊員は、地域貢献の一貫として地域の問題を解決して報酬がもらえるの。ほとんどがモンスター狩りの依頼よ」

メイルが説明してくれる


「報酬ってお金がもらえるの?」


「ええ、報酬と手に入ったアイテムがもらえ、いらないアイテムは隊で買い取りもできます。お金が貯まれば、良い武器や装備を買ったり開発することもできるので言ってくださいね」

エレンが答えてくれる


エレンは冒険者ギルドの受付け嬢ってことか


「なるほど…」


確かに、支給品の装備だけだと戦える敵が限られてくる

自分に合った固有装備を揃えることが、兵士として目指す最初の目標だろう


「地域の依頼はクエストって言うの。クエスト受注システムが大昔の冒険者ギルドに似てるから、そう呼んでいるんですよ。隊のメンバーサイトの共有掲示板にリストがありますので」

と、エレン



防衛軍の出撃は二種類


一つが、防衛軍本部が各小隊に割り振るミッションだ

各地で対応が必要となる事案を本部がミッションとして登録し、管轄地の小隊に防衛作戦として割り振る


ミッションの内容によっては複数に防衛作戦が展開されたり、

ミッションの規模が大きい場合は複数の小隊に出撃要請が出され、複数の小隊の隊員による混成部隊で対応する



もう一つが、クエストだ

各地から解決して欲しい問題が管轄地の小隊に直接届くのだが、これを通称冒険者ギルドシステムで受理し、各隊員が順次処理していくのだ


ほとんどがモンスター討伐の依頼となり、依頼内容によって適正な報酬額が決められている


実践経験を増やすという訓練の側面を持つクエストは、基本的には強制力のない出撃要請だ

だが、たまにクエストで認知したモンスターに緊急討伐の必要性があり、強制的に召集される「緊急クエスト」が発令される場合もある



とりあえず、クエストはエレンに言えば受注できるということだな


「金が貯まったらワシのとこに来な。ほしい装備は探してやるからな」

シリントゥ整備長が座りながら言う


「分かりました」



MEBハンガーを出て、中庭に来る


「この中庭は訓練場になっているの。近接武器や魔法の訓練が出来るわ」

メイルが指を指す


そこには、ドラム缶や古タイヤ、的と思わしき物が付いた木の棒がプレハブ屋根の下に積まれていた


「銃器の訓練場は、MEBハンガー練の後側にあるの。ここでは流れ弾が危ないから撃たないでね」


「分かりました」


「あとは隊舎ね。二階は小隊長室と経理室、会議室。一階が食堂と医療室になってるわ」


「はい」


1991小隊は、隊舎とMEBハンガー棟があり、その間が中庭になっているんだな

…隊舎がかなり古いのが気になる



「あとは、医療担当のエマ、情報担当のジード、戦闘班のMEB随伴分隊の隊員を紹介するわ。何人か非番だったり出向していていなかったりするけど」


「はい、お願いします」


やはり、第一印象は大事だろう

しっかり挨拶せねば


「うちの戦闘班は凄いんだよ! 分隊長含めて三人いるんだけど、全員固有特性持ちだからね」


「固有特性を持ってる人がそんなにいるんですか?」


「普通は、固有特性持ちがこんなに集まることなんか無いの。うちの小隊が特別なんだと思うよ」


「そんな凄い人達の中で、俺なんかやっていけるんですかね?」


俺には、突出した技能も能力もないからな


「大丈夫だよ、うちの小隊はいい人ばかりだからね。仲良くやろうね!」

メイルが明るく励ましてくれる



…と、突然、



ビービービーーーーーーー!


「防衛作戦発動!防衛作戦発動!」

警報が響き渡る



「な、何だ!?」


「出動の警報! ラーズ、会議室行くよ!」


メイルが俺の手を取り、ハンガーを駆け出した






隊員人事記録(本採用に伴い更新)


氏名 ラーズ・オーティル

人種 竜人

所属 1991小隊 ←New!

称号 仮採用中 → 見習い兵士 ←New!

戦闘ランク F

固有装備 なし(防衛軍支給装備を使用)

固有特性 なし

得意戦闘

・攻撃: 中距離の射撃、杖とモ魔の魔法

・ホバーブーツでの高機動戦闘


一章開始です

よろしくお願いします!

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