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40話 通り名

用語説明w

魔石装填型小型杖:使いきり魔石の魔法を発動できる

ナノマシン集積統合システム:人体内でナノマシンを運用・活用するシステム。ラーズの固有特性となった


ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

ジード:情報担当の隊員、補助魔法が得意


「ラーズ、助けが来るわ」


「遅いっすよね…」


俺達は生き残った

ただルーシュは重症、俺は弾切れでこれ以上動くのは危険だ

だからビルの屋上で休んでいる




ビキビキ…ビキ……


…ビルから嫌な音がした




「ルーシュ、ヤバイっす…!」


「こ、これって…、ビルが崩れるわ!」


爆破魔法の衝撃に、廃墟のビルが耐えられなかったか



引き寄せの魔石を小型杖に装填して、ルーシュを抱える

隣のビルの二階付近に引き寄せの魔石弾を当て、飛び降りる



ビョォォォォッ


ダンッ!



「うあぁっっ!」


ルーシュの口から悲鳴が漏れた

骨折してるのに着地の衝撃は酷だろう


だが、我慢させてルーシュを抱えてビルから離れる



「うおっ!おいッ、大丈夫か!?」

やっと救援が来たようだ、防衛軍の隊員が駆け寄ってくる


「ビルから飛び降りたのか!? 無茶するなぁ…!」


「いや、待避していたビルが…」


俺が説明しようとすると、



ドドドォォォォォ…!



今まで俺達がいたビルの壁が倒壊した!


屋上も崩れてそうだな

逃げといてよかった


「兄ちゃんサーカスみたいだったな!」


「ああ、空中ブランコだな」


何でビルの脱出を評価されてるんだ?

そんな評価いらないから!

なんか恥ずかしい…


「それより、ルーシュが足を負傷しています。骨折してるので治療をお願いします」


「ああ、お前たちのおかげで俺達は助かったんだ! 後は任せてくれ!」


助かったってどういう意味だ?

ま、とりあえずいいか


「よろしくお願いします」


「ラーズ、ありがとう。後でね」


「ナイスな火力でした。お大事に」

ルーシュが担架で運ばれていくのを見届けて、俺もゆっくり付いていく


そういえば、俺も骨折してたんだよな

接骨機能とカプセルワーム、回復薬、それとナノマシンの治癒能力で治ってるっぽいな…


俺の固有特性のナノマシン集積システムも、体に馴染んできて治癒能力が上がってる

負傷してもすぐ動けるようになってきている




・・・・・・




「ラーズ!」

ゼヌ小隊長が駆け寄ってくる


「ゼヌ小隊長、お疲れ様です」


「あの状況下でよく生き残ったわね」


「今回は本気で死ぬかと思いました…。魔導師と組めたのが幸運でした」


俺はゼヌ小隊長に、情報班が敵の戦力集中を見逃して一点突破されたことを話した

あれは間違いなく情報班の怠慢だ


おかげで俺達は死にかけたんだ


「その事なんだけど…」

ゼヌ小隊長は話始めた


今回の作戦本部は、大規模作戦だったことから中隊本部の幹部候補が指揮にあたったらしい

だが、あろうことか、この幹部候補は戦力差を過信した


俺達のエリアには情報班を置かずに、戦力だけを集中させた

火力で押し通せると思ったらしい


だが、戦力が負けてる側はセオリー通りに戦力を集中させて来た

これに対応できなかった結果、俺達のエリアは戦力差を逆転され一点突破されたってわけだ


「…その幹部候補、どこにいるんですか?」


ぶん殴るべきだと思う

過信した、情報班を置かなかっただと…?


俺とルーシュは孤立させられたんだぞ

生き残ったのはたまたまだ


オートマトンに戦力を分散されて、範囲魔法で一掃できていなかったら…、火力で押し切られていたかもしれない


「気持ちは分かるけど、落ち着きなさい」

ゼヌ小隊長が俺の表情を見てなだめるように言う


「多分、近い内に何らかの処分が出ると思うから」


今回の作戦は、死者三人、負傷者十人以上の大惨事だったらしい

そのままオートマトンが攻めてきていたら、負傷者の救助もできずに被害はもっと増えていただろう


孤立した俺達が敵を誘き寄せたことで、他の負傷者が待避する時間が作れた

更に範囲魔法で敵を一掃までしてしまったので、反撃の必要さえ無くなった


どれだけ上手いこといったんだ…!


「だから、さっきお礼を言われたんだな…」


「幹部候補は軍法会議にかけられることが決まったわ。そうしないと、今回死傷者を出した小隊が納得しないでしょうからね…」


「…」


情報も取らずに、人の命を危険に晒しやがったんだ

そりゃ納得するわけもない

どんだけ無能なんだ、そのクソ幹部候補!



「ラーズ!」


呼ばれて振り向くと、ジードが走って来た


「大活躍だったらしいじゃないか。よく生き残ったな」


「運良く生き残れました。一緒に組んだルーシュの範囲魔法のおかげですよ」



向こうで負傷者の搬送が始まっている

ジードはずっと手配をし続けていたのだろう


ジードが情報班として俺のエリアにいれば、楽な作戦だったはずなのにな



「おぅ、あんたがラーズだろ! ルーシュを助けてくれてありがとうな」


「俺と相棒も負傷して動けなかったんだ! 囮をしてくれて助かったんだよ!」


「ビルから飛んだサーカスの兄ちゃんじゃねーか! 兄ちゃんが一掃してくれなかったら俺達は殺されてたんだ、ありがとう!」


負傷者達が俺に声をかけてくる

俺は、一応手を上げて答える


ごめん、完全にたまたまです

俺はルーシュと生き残ることしか考えられませんでした



「そう言えば、お前あだ名で呼ばれてたぞ?サーカスとかピエロとか」

ジードがその様子を見て言う


「何なんですか、そのあだ名…」


「オートマトンを誘き寄せたピエロとか、ビルを飛び降りるサーカス野郎って言ってたな。皆、感謝していたぞ」


ゼヌ小隊長がクスクス笑っている

「あだ名…、通り名が付くのは名誉なことよ?」


「通り名ですか…」


まあ、どうでもいいや

生き残れた、これだけで充分だ


組織の全てを信じてはいけない

信じられる人を自分で見つける、自分を守るために



生き残る教訓

・死を忘れるな

・組織の全てを信じるな ←new!





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