表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/396

39話 銃撃戦2

用語説明w

フェムトゥ:外骨格型ウェアラブルアーマー、身体の状態を常にチェックし、骨折を関知した場合は触手を肉体に指して骨を接ぐ機能もある

モ魔:モバイル型呪文発動装置。巻物の魔法を発動できる

魔石装填型小型杖:使いきり魔石の魔法を発動できる

ホバーブーツ:圧縮空気を放出して高速移動ができるブーツ

回復薬:細胞に必要なエネルギーを与え、細胞を保護し代謝を活性化

カプセルワーム:ぷにぷにしたカプセル型で、傷を埋め止血と殺菌が出来る

偵察用ドローン:カメラ付きドローンで、任意の場所にとまらせて偵察カメラとして使い、PITで映像を受信する


……ぅ…


…ここ…は…?



「……っ!!………!」


足に激痛が走る


「ぐっ……ぁ…ぁ……ぁ…!」


フェムトゥの接骨機能が働いたらしい

左足に杭が打ち込まれたような感覚がある


「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっああああああっ!!」


肉が穿たれる


外骨格が左足のふくらはぎを押さえ込み、中で触手が肉を突き破って骨を接ぎ固定したらしい


左足の脛骨が折れていたのか

めちゃくちゃ痛ぇ…


膝の隙間からカプセルワームを入れ止血、回復薬を流し込む


「あっ!」


ルーシュが横で倒れている

左足の大腿骨が腿から突き出ている

開放骨折だ


痛みを我慢してルーシュに近づく

カプセルワームを骨の開放部に接着させ、骨を肉に押し込み包帯で腿を圧迫して止血

回復薬をかけて、適当な木の板を添え木にして応急処置を施す



「……こち……負傷者…救援……う…」


「…多数……早く……願……」


インカムから流れてくる情報



先ほど、敵部隊に十発以上のロケットランチャーを撃たれた

俺達のエリアに敵が戦力を集め、火力を一点集中させたのだろう

かなりの被害が出たようだ


情報班は何をしていたんだ?

なんで敵の戦力が集まってることを警告しなかった!?



ドローンのカメラ映像を確認する

「敵が進攻を開始してきたな…」


足を怪我したルーシュを連れては逃げ切れないよな…

ホバーブーツのエアもそこまで持たない


「う…」


「ルーシュ、気が付きました?」


「いっ…!足が痛い…」


「折れてますからね。痛み止と解熱剤飲んだ方がいいですよ」


「状況は?」


「このエリアは負傷者多数ですね。さっき、ロケットランチャーを十発以上撃たれたのが見えましたから」


「…退却かな?」


「すぐそこまで敵が来てるんですよ。このバリケード越えたら射線上に身をさらして蜂の巣でしょうね…」


「…」


「ルーシュ、範囲魔法は撃てますか?」


「痛み止飲んだから、効いてくれば集中できるし大丈夫だと思うけど?」


「考えたんですが、この区画で時間を稼いで助けを待ちましょう。私が囮になるので、オートマトンが集まったら範囲魔法で殲滅してください」


「え!?」


俺は引き寄せの魔石を小型杖に装填して、ルーシュを抱えた


「ちょっとがまんしてくださいね」


「痛い…!何をする気なの!?」


無視して小型杖を振り、引き寄せの魔法弾を隣のビルの屋根に当てる



ひゅうぅぅぅぅ!!


「キャアァァァァァァ!」



後ろにある三階建てビルの屋上まで一気に引き寄せられ、無事に着地


「ルーシュはここでドローン画像をチェックしながら魔法発動の準備を。俺は下に降りて、バリケードを修復しながら敵を引き寄せます」


「屋上まで出れるなら、このまま逃げられないの?」


「足を怪我したルーシュと弾幕の中を逃げるのは無理です。ルーシュを屋上に隠すので精一杯っすよ」


「見捨てないでくれるのね…」


「その代わり、インカムで助けを呼びながら魔法準備を頼みますよ。私の命を預けますからね!」


「うん、分かった。魔導師の火力を見せてあげるわ」


ルーシュの顔つきが変わった

痛み止も効いてきたようだな


「発動のタイミングは任せますので」


俺はホバーブーツを使って下まで飛び降りる


最初にやることはバリケードの修復だ

土属性の土壁の魔石を小型杖に装填し、先ほど爆破されたバリケードの穴に土壁を作る


倉デバイスから、ロケットランチャー二本、陸戦銃とスナイパーライフルの弾、巻物とハンドグレネードを取り出す


陸戦銃に散弾を装填して、準備はいいかな?


「敵が近づいてきたわ。数は十五くらいよ」


「了解、始めますね」


生き残る

絶対に生き残る


バリケードの維持を最優先に


行くぞ…



俺はモ魔で、風属性範囲魔法(小)を読み込む


バリケードの隙間からロケットランチャーの狙いを付ける

発射時の熱源で俺の居場所がばれる

後は勝手に集まってくるだろう



ボシューーーーッ!



ロケットランチャーが飛び、何体か巻き込んだようだ


スナイパーライフルで狙い一体づつ撃っていく



ダダダダダダダ ダダダダダダダッ ダダッダダッダダッ…


「ぐあああっ!弾幕を張られてて撃ち返せねぇ!」


こっちの居場所に敵の弾が集中してくる

しっかりターゲットになったようだ


腹這いになり、スナイパーライフルで地味に狙っていくしかないな


「ラーズっ! ロケットランチャーが来る!」


「またかよ!」



ヒュゥゥゥ…


ドッガァァァァァァン!



パラパラ…


後ろに飛べたから、今度は爆発に巻き込まれなかった

すぐに土壁の魔石でバリケードの穴をふさぐ



ダダダダダダダ


ダダダダダダダッ


ダダッダダッダダッ…



うん、ダメだわ

弾幕がぶ厚すぎて手が出せねぇ


二乗の法則だったっけ?

ゼヌ小隊長が言っていた、戦力差を単純に出す法則


こっちの火力が俺一人 1の二乗で戦力1

敵の火力がまだ十体くらい? 10の二乗で戦力100


バカなの?勝負になるわけないじゃん!



要は、敵を減らせってことだよな


俺は最後のロケットランチャーを上空に打ち上げる

ロケット弾は、弾幕の中流れ弾にも当たらず上空へ飛び…


ドォォォォン…


離れた所で着弾の音

当たったかな?


「ルーシュ、弾幕張られて手が出せない。敵の数は?」


「あと十体くらいよ。数体が近づいてきてるわ」


「ロケットランチャーが切れた。バリケードの向こう側に、モ魔で風の範囲魔法(小)を発動するからタイミングを教えて!」


「分かったわ」


スナイパーライフルで遠くにいる一体を撃つ


俺はバリケードから下がり、ルーシュがいるビルの真下の瓦礫に身を隠して土壁の魔石で土壁を作る


これで土壁は品切れ


後はルーシュを屋上に運んだ引き寄せの魔石だけだ

これを小型杖に装填して、陸戦銃を構えルーシュの合図を待つ


「一体がバリケードを乗り越えるわ!」


「了解!」


バリケード上から顔を出したオートマトンにアサルトライフルを連射


更にオートマトンが集まってくる音がする


「ラーズ、集まったわ!バリケード真ん中に風魔法を!」


俺はすかさずモ魔の魔法を実行

バリケードの向こう側に竜巻を発生させる


銃はバリケードを越えられないが、魔法はバリケードを越える

ザマアミロ!


「バリケードの向こう側がオートマトンに包囲されたわ! 爆発魔法を発動するわよ!」


「ギリギリまで待って! 発動する直前に魔石で屋上に飛ぶから!」


ルーシュは呪文を詠唱し始めたようだ

時間はかかるが、呪文の詠唱と杖の使用で魔法の威力が上がる


一発で決めてくれよ…!


俺は、ハンドグレネードを二回投げる


ドォン! ドガァン!


バリケードにわざと穴を開ける


オートマトンが銃を撃ちながらバリケードの中に侵入してくる


俺を守るものは、この最後の土壁のみだ

小型杖を握りしめて、ルーシュの合図を待つ



ダダッダダッダダダダッ…


ぐぅ…めちゃくちゃ撃って来やがって!

土壁が持つか!?




「…撃つわ!」


来たーーー!


「いけーっ!」

言うと同時に、小型杖をビルの屋上に振る


ビョォォォォン!


ガンッ



ズズズズズズ……ズドォォォォォォッン…!


屋上に着く直前に、下で大爆発が起こった

前面以外、ビルで囲まれた敷地だったから爆発のエネルギーが逃げにくかったのだろう


下を見ると、俺たちがいた区画が吹き飛んでいた

これは、さすがにオートマトンも全滅してるだろう…



「やっ…やったぁァァァァァ!」

思わず大声でわめく


もう、もう無理だと思った…

殺されると思った

生き残った!


「うぅー…」

ルーシュが泣いている


同じ気持ちなんだろうな

もう助からないと、ちょっと思いながら戦ってたし



気がつくと脇腹の装甲に傷が付いていた


げ、屋上に上がる時、一発脇腹にもらってたんだ

防御魔法切れてたんだ、危ねー…


ちゃんと弾止めたんだなフェムトゥ偉い




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ