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34話 凍傷休み

用語説明w

霊札:霊力を込めた札


フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹


夜勤を終えて帰宅する


「また医療カプセル入ったわけ!?」

帰るなり、アパートの前にいたフィーナに怒られる


「な、何で…って、お前いきなり人を解析魔法で見るなよ! 失礼すぎるだろ!」

フィーナの目に魔法の光が灯っている


「嘘つきラーズしか見ないから大丈夫だよ。で、今回は何したの? 顔の皮膚に再生の痕跡があるけど」


いろいろ黙ってたのを根に持ってやがるな…


「…凍傷になった。回復薬をすぐ使えたから軽傷だよ」


「凍傷って何で。冷属性魔法とか?」


「正解。モンスターから冷属性範囲魔法(大)が飛んできたんだよ」


「(大)なの!? それは厳しいね…」


「だろ? それを軽傷に押さえたんだからセーフだよ」


「セーフは無傷の時だけだから。基準が間違ってるよ?」


「…」



すると、アパートの管理人室から赤ちゃんを抱っこした女性が出てきた

管理人のカエデさんだ


「あら、ラーズ君お帰りなさい」


「こんにちは、カエデさん、サクラちゃん」


「ちょうどフィーナちゃんに会ったから、お土産渡そうと思って待っててもらったの」


「そうだったんですね。里帰りは楽しめましたか?」


「そうね。サクラがいると移動が疲れるから、しばらくはもういいって感じかな」



カエデさんの実家は、ギアにある島国らしい


シグノイアの空港はハカルとの戦争の影響で閉鎖されている

まず、許可を得て龍神皇国に出国、そこから宇宙飛行機で宇宙空間を越えてギアに向かう

小さい子を連れての長旅は大変だったのだろう


俺達は、カエデさんから「白あんまんじゅう」をもらった


これ、凄い美味しいんだよな

もしかしたらチョコより好きかもしれない


「ラーズ君が好きって言ってたから」


年上の優しいお姉さん…凄くいい

人妻でお母さんだけど


「私も好きだからね?」

フィーナがジト目で見てきた


妹よ、土産をただ受けたっただけの兄にその目はおかしいぞ


「ありがとうございます」「いただきます」

俺達はカエデさんにお礼を言って別れた




部屋に戻ってくる

仮眠したとはいえ、夜勤明けは眠いぜ


「朝ごはんは食べたの?」

フィーナが聞いてくる


「隊で食べたよ」


「じゃ、おまんじゅう食べよっか」


フィーナは早速白あんまんじゅうを並べ始める

うむ、できた妹だ


「お茶でお願いします!」


「自分でやってよね…」

と言いながら、フィーナが冷蔵庫から麦茶を出してくれる


「おいしいな」「おいしいね」

思わず声が揃っちゃった

白あんって優しい甘さで美味しいんだよな



「まだ鎧は見つからないの?」

フィーナがお茶をまったり飲みながら聞く


「あ、忘れてたよ。一つ見つかって、悩んでるんだよ」


「悩むって何に?」


俺はフィーナに呪われた鎧の話をした

身に付けると外せなくなる呪い


フィーナは、こう見えてもBランクの大魔導師だ

解呪方法が分かればラッキーだし、意見も聞きたい


「…うーん、その感じだと解呪はやっぱりお金かかるよね…」


「じゃ、やっぱり聖水使って外すしかないかな。塵も積もればバカにならない金額になりそうだよな」


「呪いを実際に見ないと分からないけど、霊札で聖属性のスイッチとか作ればどうかな?」


「霊札でスイッチってどういうことだよ」


「聖水だと使い捨てで高いわけでしょ? 一時的に呪いを弱める霊札を作れば、何回使えるかにもよるけど安く出来るんじゃないかな」


「なるほど! 呪いを弱めるだけの霊札ならそこまで高くなさそうだしね」


「ま、呪いの強さ次第だよね…。それだけ確認してみたら?」


「そうだね。上手くいったら、フィーナに少し金を返せそうだよ」


「一年間で返して貰う約束だし、別に急がなくていいよ」


「今貯金無いんだろ? 社会人として、貯金ゼロはダメだろうよ」


「三万ゴルドくらいあるし。ラーズこそ貯金無いじゃん」


「俺も二、三万ゴルドは残るって。でも社会人の残金じゃないよなぁ」


「三十万ゴルド浮くんだっけ? じゃあ十五万を分ければいいんじゃない?」


「そうだなぁ…。ま、とりあえずは買えてからだよな」


床にゴロンと寝転ぶ

そろそろシャワー浴びて寝るかな



「とりあえず、霊札スイッチが可能か確かめに行く?」

フィーナが立ち上がりながら言う


「え、どこに?」


「そこの泉竜神社で聞いてみようよ。徐霊もやってたでしょ?」


「あー…」



泉竜神社はギアをルーツに持つ宗教施設で、ウルの総本社は龍神皇国にある

分社がいろいろな場所にあり、その内の一つがうちの近所にもあるのだ


神社に限らず、こういう宗教施設では独自の徐霊術や解呪法を持っており一般人もよく利用するのだ



あの鎧もいつ売れるかも分からないし、確認できることは早めに済ました方がいいよな




・・・・・・




神社に着いた


俺の防衛軍とフィーナの龍神皇国騎士団への就職が決まったときに、フィーナと二人で来て以来だ

お互いの無事を祈っておみくじを引いたのが懐かしい


「私がラーズの安全を祈願して大吉出したんだよね」

フィーナもあの時の事を思い出したようだ


「そうだったな」


「ラーズは私の安全祈願で凶を…」


「分かってるから! 俺もしっかり覚えてるから! あそこであんな偶然ってあるか!?」


まさか、あのタイミングで凶を引いたんだ

凶って、大吉より出にくくないか?

過去に大吉は記憶にあるけど凶ってなかった気がするぞ


「おかげで凶から守ってくれるお守りを神社から貰えたんだろ、許してくれ。俺も自分の引きにドン引きしたんだから」


「お守りのおかげで、私はまだ怪我もしてないから大丈夫だよ」


「…早く社務所行こうぜ」



本道の脇に社務所がある


メガネの宮司さんがいる

耳がとがってるからエルフかな?


早速、霊札の相談をしてみる

「…という訳なんです。こんな感じの霊札って作れますかね?」


「呪いを弱めるだけなら、効果も一種類ですし作れますよ。後は呪いの強さ次第ですかね」


「いくら位になりそうですか?」


「作るのは、簡単な物で五千ゴルド、強力な物で一万ゴルドでどうでしょう」


「呪いの強さで選べばいいんですね」


「後は使用回数ですね。一万ゴルドの方が使用回数も多いと思うので、実際使ってみて決めて頂いたらと」


「なるほど…、分かりました。鎧買えたら、一度呪いの強さをみてもらってもいいですか?」


「大丈夫ですよ、連絡してください」


話がトントン拍子に進んでいくな

こういう時もあるんだな


後は、シリントゥ整備長にもう一度相談して、売れる前に買うか決めよう



「霊札もいけそうな感じだったね。良かったじゃん」

フィーナが顔を覗きこんでくる


「そうだよね。フィーナのアドバイスが良かったよ」


「私もそう思ったー。だから次は私の番ね!」

フィーナが嬉しそうに笑う


「どういうこと?」


「夏物のセールが今日からなの。貯金が残り少ないから買っときたいんだよね、付き合ってよ」


「いや、俺、夜勤明けで眠いんだけど…!」


「すぐ終わるから大丈夫だよ」


「そんなの信用できないよね!?」



…結局、昼食を挟んで夕方まで付き合わされた






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