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28話 空中戦

用語説明w

クエスト:地域住民から防衛軍に依頼されるモンスター退治等の依頼


魔石装填型小型杖:使いきり魔石の魔法を発動できる

ホバーブーツ:圧縮空気を放出して高速移動ができるブーツ


サイモン分隊長:MEB随伴分隊の分隊長。巨人族の血を低く巨漢で丸坊主。蒼い強化紋章を使う(固有特性)

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹


…フィーナに正座させられた

固有特性や怪我のことを秘密にしてたからだ


固有特性はまだナノマシン群の経過観察中だし、怪我については本当にそこまで酷くなかったとゴリ押す


そこは嘘じゃない

…真実かというと微妙なところだけど


「もう隠し事は無しね? 次は問答無用でセフィ姉に言うから。連れ戻されるのは確定だろうねー…」


辞めさせられたら困る

俺は防衛軍の任務に可能性を感じている

ここでの経験は俺を強くするはずだ


…もちろん生き残れたら、だが


フィーナを説得したところ、回らない寿司を要求された

お願いしまくって、なんとか居酒屋までグレードを下げてもらう


「私は、ラーズには防衛軍を辞めて龍神皇国に来てほしいと思ってるんだからね? 危ないし」


フィーナがBランクとはいえ、妹に心配されている俺

あぁ…Bランクが一目置く()()が欲しい


だいたい、強力な範囲攻撃、鉄壁の防御力、高すぎる攻撃力、速すぎる機動力

そんなBランクに、骨折やPITのフリーズ、怪我の雑菌対策とかの苦労が分かるか?


俺は、凄い能力を持っていない

だからこそ、現場の雑兵の強さを探してるんだよ!




・・・・・・




出勤するとカヤノがいた

まだ会ったことのない、MEB随伴分隊の最後の一人だ


カヤノはサイキッカーで、飛行能力があるらしい

黒髪女性隊員だ


挨拶しておこう


「初めまして。この小隊に配属になったラーズと言います」


「あ、初めまして。中隊本部に出向していましたカヤノです、よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げる


上品なお姉さんって感じだ

うむ、嫌いじゃないぞ


「おう、ラーズ。怪我はもう大丈夫なのか?」

サイモン分隊長だ


「はい、全然問題ありません」


「じゃあ、今からクエストに行こうぜ」


「え、クエスト? 今からですか?」


「キラークロウの巣が町の側にできたんですって。私もホバーブーツ見てみたかったからお願いしたいです」

カヤノも入ってくる


「カヤノさんも行くんですか?」


「カヤノでいいわ。サイモン分隊長と3人で行きましょう」


いきなりだったが、俺もサイキッカーの戦い方を見てみたかったからちょうどいいか


ロケットハンマーも使ってみたかったが、空飛ぶ敵には当てられないよな…、残念




木々が生い茂る林

林業を生業とする人の手が入った林だ


クエスト情報を確認しておこう


キラークロウ:空中から人を襲うDランクの鳥型モンスター

空中の敵を倒すのが難しいためDランクだが、ステータスはそこまで高くない

爪と嘴に注意、要は大きめのカラス


「あの、でっかい鳥が集まってる所が巣ですよね。作戦は有るんですか?」


「私が思念誘導弾で巣を狙撃するわ。分隊長が防御に徹してカラスを誘き寄せるから、近づいてきた奴を落とす感じね」

カヤノが銃のような装備を腕に取り付けながら答える


「十匹前後だ、さっさと終わらせようぜ」

サイモン分隊長も蒼い強化紋章を発動する


「分隊長、カラスの数え方は十羽です」

カヤノが突っ込む


サイキッカーは細かい性格なのだろうか?


俺もホバーブーツを起動させ、魔石装填型小型杖に力学属性引き寄せの魔石を装填する

…高い木が多いから試してみよう


「始めます」


そう言って、カヤノは思念誘導弾を撃ち始めた


思念誘導弾は、思念感応弾頭を使用した弾丸

思念感応弾頭はサイキッカーのテレパスで命令を与えることができ、ある程度の誘導性能を持たせることができるらしい


俺もロケットランチャーを一発撃つが、一発使いきり砲身のランチャーに比べて弾数が違う

誘導性能はロケット弾の方がいいらしいが、あれだけの数を撃てる誘導弾って反則だよな…


何発か命中したが、キラークロウ7、8匹が近づいてくる


サイモン分隊長が前に出て防御体制を取る


カヤノは、背中に昆虫の羽根のような物を振動させ…

ちゅ、宙に浮いた!?


そのまま高度を上げていく



カアァァァァ!

キラークロウがこっちに向かってくる


俺はスナイパーライフルを構えて何匹か撃ち落とす


空を見ると、カヤノが木の枝から飛び立ってキラークロウを思念誘導弾で打ち落としていた


スゲーな、空中戦ができるって

あの機動力があれば、何ができるだろうか



「ラーズ!!」



「……っ!?」

「うおあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



サイモン分隊長の声に振り向くと、突然空に体を持っていかれた


キラークロウだ

しまった、油断した!


爪で体を捕まれている

この野郎、上空で落とす気だな!?


幸運にも右手自由だ

そして、右手にスナイパーライフルを持っている


高さは五十メートルほどだ

やってやる



ドン!



スナイパーライフルのゼロ距離射撃でカラスを貫く


カラスは爪を離し、墜落を始める

俺はカラスの爪を掴み、少しでも落下速度を下げる



…ダメだ、カラスの野郎飛ぶ気が無い!

死んだのか?


落ちる!

落ちてる!


よし、次の作戦だ


カラスを離して、ホバーブーツのエアジェットを噴射

靴底からエアジェットを出すことで落下スピードを落とす


バランスが難しいが、ある程度はホバリングも出来る…はず



ボボォォォォォォォ…



よし、落下は止まらないが大分スピードは落ちた

だが、エアを全開で放出してるのですぐに空っぽになるはず…


落ち着け、そんな事は分かってた

だから次の最後の作戦があるんだろ!


俺は握り締めてたスナイパーライフルを捨て、左手の小型杖を構える

この林の木は十五メートルほどの木が生えている


引き寄せの魔石使い、木の枝を掴めれば無事に生還だ!



ボヒュゥゥ……



エアが尽きた


目の前の木の幹に、引き寄せの魔石を装填してある小型杖を振る

引き寄せの魔法弾が木の枝に着弾



ひゅうううぅぅぅぅ!



「ぐうぅぅぅっ!」

引っ張られる!


引っ張られる…けど、落下は止まらない!

引き寄せる力より慣性と重力の方が強いのか!?


もう一回、引き寄せの魔石を使いたいが、杖が引っ張られてて振れない


ダメだ落ちる!



バサッ


バキバキッ


ガサガサガサガサッ



枝葉で少し勢いが落ちたか!?


地面だっ!

両足で着地しながら前に倒れるように回転しろ!



ダンッ!

ビキビキ…!

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ……



俺は、足に嫌な音を聞きながら前回り受身をする

しかし、勢いが止まらず十回転ほどして落ち葉の溜まった窪みに突っ込んだ



い、生きてる

死ぬかと思った…


完全に俺の油断だ


メメント・モリ…


戦闘中に気をとられるバカ

自分がバカすぎて、どうしていいか分からねーよ…





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