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25話 大先輩2

用語説明w

ホバーブーツ:圧縮空気を放出して高速移動ができるブーツ

回復薬:細胞に必要なエネルギーを与え、代謝を活性化

カプセルワーム:ぷにぷにしたカプセル型で、傷を埋め止血と殺菌が出来る

「情報1から射撃5班、小型戦車がそちらへ向かってる!気を付けろ!」

情報担当からインカムで連絡があった


「射撃5班了解!」

俺はインカムで返答し、ドローンカメラの映像を確認する


未発見だった、AI制御と思われる小型戦車がこちらへ向かって来ているらしい

制御ユニット基地は破壊済みだが、戦闘命令を受けたAI制御兵器はエネルギーが尽きるまで戦い続ける


突破されると、無差別に通行人等を攻撃するだろう


「ジャン、ドローンカメラに戦車が映りました! 一直線に突っ込んできます」


「奴の砲撃より先にランチャーを撃ち込む! その後、陽動を開始してくれ」


ジャンは移動しながらなのだろう、ガサガサと枝葉の当たる音と一緒にインカムから声が聞こえた


「了解!私もランチャーを上空方向に一発撃ちます!」


ロケットランチャーは誘導性能を持つ兵器だが、ここは森の中だ

木々が障害物となり命中の可能性は低い


だが、爆発と発射時の熱源によって戦車が迎撃モードとなり足を止めるだろう

戦車に突破される可能性は減り、お互いに殲滅し合えるというわけだ



ボシュッ


ジャンがロケットランチャーを発射したようだ


ボシュッ


俺も上空に向かってロケットランチャーを発射、発射装置を捨てホバーブーツを起動する



ドガーーーン!

ダダダダッ ダダダダッ



ジャンのいる方向に爆発音と射撃音が響く


俺はホバーブーツで木々の間を抜け、戦車に近づく

戦車が俺に気が付き砲身を向けた


俺は左回りに廻りながらアサルトライフルを撃つ



戦車が機銃を撃ちながら砲身で俺を捉えようとするが、ここまで距離を詰めたら俺の方が早い

砲身の動きより早く、左右に動いて戦車を引き付ける



シュゴオォォォォ…



すると、上からロケットランチャーが降ってくる

先ほど俺が上空に撃ったやつだ



ドッガアァァァァァン!



戦車の左後方に命中

黒煙が上がり、キャタピラーの音がおかしくなる


「ラーズ、左キャタピラーが壊れた! 接近するから援護を頼む!」

ジャンがインカムで叫んだ


「了解、ジャン気を付けて!」


俺は、ジャンの方向に射線を向けないように移動してアサルトライフルを撃つ

砲身と機銃を自分に引き付けて、ジャンのチャンスを作る



ダダダダッ ダダダダッ…!



戦車の機銃はかなり怖い

樹木を盾にしているが、ガンガン削ってくる


左右に移動しながら、ジャンを待つ


…ってか、早く!

弾幕キツイって! そろそろ当たる!



ボッ!!


ズガッアアァァァッ!



ジャンが木の間から飛び出して火を吹くハンマーを叩きつけた

戦車の砲身の付け根が粉砕されて大穴が空く


戦車壊しはロケットハンマーという武器で、ハンマーの打突部にロケットの噴射口が取り付けられている

スイッチを入れると噴射口からジェットが噴射され、その勢いで対象を粉砕する武器だ


エネルギーカートリッジにもよるが、十回くらいはロケット噴射のエネルギーを利用できる

だが、撃ちきりのロケットランチャーと違って接近する必要がある


初めて見たけど威力凄ぇ!

戦車の上部が大きく粉砕された…!



「終わったようだな」

ジャンが戦車の配線をちぎってから言った


小型戦車は完全に沈黙

AIも電力部を破壊したので大丈夫だろう


「あとはモンスター退治ですかね」


「ああ、あまりこっちに来ないといいんだがな…」


俺達は戦車撃破の報告をした後、逃げてくるであろうモンスター対応の準備を始める


「正直、疲れたっすね…」


「ああ、すぐにでも帰りてぇぜ」


俺は陸戦銃の弾丸を装填し直す



…その時、呪詛と共に魔法陣が一瞬光った



ボオォォオン!


「!!」

瞬間、ジャンを体当たりで吹っ飛ばす



「ぐあぁぁぁぁぁっ!」



火属性範囲魔法らしい、直撃だ

体に火がついて、焼けただれてる!



ゴロゴロと地面を転がり回るが消えない!



熱い!

痛い!

息ができない!



転がりながら、飲料水を顔にかける

すぐに回復薬を頭からかぶり、がぶ飲みする



「がっはっっ!」


呼吸ができるようになり、回復薬が体のどこかを治している感覚がある



体がガチガチと震える


体を確認して、ズボンの火を飲料水で消す

すぐに回復薬をかける


体の震えが止まらない

なんだ? 火傷に対する反応なのか?



火が消えたことを確認して、喉や胸辺りにカプセルワームを張り付ける

火傷は皮膚損傷後の感染症が怖いと聞いたことがある


「うわっ…、痛っ…」


胸がケロイドになってる

首も曲げると痛い、火傷がひどそうだ


しばらく回復させてもらおう

そういえば、追撃が無かったが敵はどうなったんだ?


戦車の方向を見ると、ジャンが怒り狂ってハンマーを叩きつけている

ハンマーが血塗れだ


そうか、戦車はAI制御じゃなく操縦者がいたのか

だから、AI制御ユニット基地から独立して動いてこっちに来やがったんだ


さっきの魔法は操縦者が戦車内から発動したのか…



「ジャン!」

俺はなんとか立ち上がり声をかける


「ら、ラーズ!?」

ジャンは驚いて動きを止める


「オレをかばって魔法が直撃しただろ! 無事だったのか!」


「なんとか生きてます。状況は?」


「カッとなって戦車内の魔法使いは殺っちまったよ…」


「みたいですね…」



後で聞いた話


ナノマシン群が無かったら、間違いなく俺は死んでたらしい

自覚はないが、かなり損傷の軽減と即時回復をしてくれていたそうだ


火だるまになって、パニックになった

追撃されてたら死んでたし、いろいろと危なかった


火だるまになったけど運はよかったな

いや、火だるまになって運がいいっておかしくない?

ドMなの?



「ジャン、回復薬とカプセルワームもらってもいいっすか?」


「もちろんだ、とりあえず全身にぶっかけよう!」


救援依頼をして、モンスターの残党狩りを他の班に変わってもらえた

俺達の作戦は終了だ




俺は死を予想してなかった


正にメメント・モリってことだな


生き残れてよかった…








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