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261話 フィーナの帰宅

用語説明w

シグノイア:惑星ウルにある国

ハカル:シグノイアの北に位置する同国と戦争中の国

龍神皇国:シグノイアと接する大国でフィーナの働く国

クレハナ:龍神皇国の北に位置する小国。フィーナの故郷で、後継者争いの内線が激化している


リィ:東洋型ドラゴンの式神。空中浮遊、霊体化、巻物の魔法を発動することが可能

ヒコザエモン:泉竜神社の宮司で霊能力者。眼鏡をかけたエルフ

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している。ラーズと付き合うことに

フォウル:肩乗りサイズの雷竜。不可逆の竜呪を受けており、巨大化してサンダーブレスを一回だけ吐ける


今日はフィーナが帰ってくる

正直、ウキウキしてしまっている


だが、その前にやることがある

リィは復帰してからうまく魔力が練れなくなり、巻物の魔法を発動できなくなってしまった


エマにも見てもらったが、

「霊力の量が多過ぎて、魔力がうまく練れていない…?」

と言われ、原因と改善策が分からなかった


体に特に異常はないみたいだが、リィが範囲魔法(小)が使えないのは戦力的に厳しい


そんなわけで、今日、泉龍神社にリィを見てもらいに行くのだ



「…魔力がうまく練れていないようですね」


ヒコザエモンさんがリィの体に手を当てて言う

この状態で、リィが巻物に封印された範囲魔法(小)を発動しようとしているのだが、やはり発動しないようだ


「ヒーン…」

リィが情けない声で鳴く


「リィの霊力がかなり多くなっています。治療の影響だと思うのですが、魔力を作るための精力(じんりょく)との量の差がありすぎるようですね」



魔力を生物の体内で発生させる場合は、霊体の力である霊力と精神の力である精力(じんりょく)を練って作る

しかし、今のリィは精力(じんりょく)に比べて霊力が多過ぎてしまい、練って作った魔力を溢れた霊力で薄めてしまっている状態のようだ



「どうしたらいいんですかね?」


「霊力を抑えるだけで改善しますよ。リィ、練習しよう」

ヒコザエモンさんが言う


あれ?

結構深刻に考えていたんだけど、そんな軽い感じで改善するの?


ヒコザエモンさんが床に敷いたござの上に座り、リィに手を添える


「さぁリィ、魔力を練ってみて? …そう、そこで霊力が溢れてるんだ。練ったあとに霊力を抑えてみよう……」

ヒコザエモンさんがリィアドバイスをする


もはや普通の会話に近い

リィってやっぱり頭がいいし理解力があるよなー…



しばらく見守っていると、


「うん、それでいいんだ。リィ、そこで霊力を抑えれば魔力が薄まらない。巻物を使ってごらん?」


ヒコザエモンさんに言われて、リィが巻物を加える



ボボォーーーッ!



炎が巻き起こり、火属性範囲魔法(小)が空中で発動した


「おぉっ! やったじゃん、リィ!」


「ヒャンッ!」


リィが嬉しそうに鳴く


「うん、霊力が増えた分、魔力にもまだまだ余裕がある。霊力を抑える癖をつければ、魔法を覚えることもできるかもしれないね」

ヒコザエモンさんが、リィの体に手を触れながら言う


ま、マジっすか!?

リィが範囲魔法(中)とか覚えてくれたら、遠距離、近接、範囲攻撃をコンプリートなんだけど!?


だが、喜ぶのはまだ早いか

とりあえず、巻物の範囲魔法(小)をまた使えるようになっただけでもありがたいな




・・・・・・




駅で待っていると、フィーナが帰って来た


「ただいま!」


「お帰り、フィーナ」


俺はフィーナを抱き締める


「わっ、ど、どうしたの? 寂しかった?」


「ああ、寂しかった」


「…っ!?」


これは本心だ

付き合って、バカップル化するカップルの気持ちが少し分かってしまった


「…うん……」

フィーナは真っ赤になって、俺の胸に顔を埋めた



俺は、フィーナの後ろから飛んできた小さい影に気が付いた


「フォウル!」


「グルル…」

フォウルが俺の肩に止まる


「久しぶりだな!」


「ガウ」


「また、俺と一緒に戦ってくれるか?」


「ガウ」

フォウルがコクコクと頷いてくれる


「…シグノイアにフォウルを入国させるの大変だったんだよ? 凄い事情を聴かれたんだから」

フィーナがため息をつく


「そ、そうか。戦争中だと入国審査も厳しくなるよな」


「龍神皇国の騎士団の肩書と、シグノイア防衛軍のラーズの名前を出して、登録書とか全部出して説明してやっと入国を許可されたんだよ? 周りからも注目されるし恥ずかしかったよ…」


「ありがとな。なんか、フィーナとフォウルがいると、ボリュガ・バウド騎士学園の頃を思い出すなぁー」


俺達は、久々に会ったので飯ついでに乾杯することにした

もはや常連と化してきた「ゴシップ」に行く


積もる話もあるが、最初は本題からだ


「クレハナのお父さんに会ってきたの」

フィーナからクレハナとブロッサムについて話を聞く


とは言っても、一番大事なところはセフィ姉から聞いたばかりだ



クレハナの領主で、王位継承権を争っている三人のうちの一人であるドース

フィーナの実父だ


ドースが主導している国営企業ブロッサム

貿易、原子力、魔石精製などの産業を扱っている複合企業だ


ドースはクレハナの内戦で戦うために龍神皇国の企業である水城(みずき)(フレイム)と取引をおり、兵器を輸入している

その資金にブロッサムの資金を使ってたのだ


どうやら、その資金がそのままシグノイア国内で活動する環境破壊という組織に流れていたらしい

環境破壊の母体が水城(みずき)(フレイム)という二社であるため矛盾は無い



「…クレハナのお父さんは別に隠すつもりもなかったようで、すぐに教えてくれたの」


「じゃあ、ブロッサムを使って環境破壊に手を貸していたわけじゃなかったんだな」


「うん。あくまでも、龍神皇国の企業から兵器を買っただけという認識だったみたいなの」


「それなら仕方ないよな。兵器…は置いといて、龍神皇国の企業から買い物したら悪い組織がその金を使ってたってことだもんな」


「そうだね。ただ、急に兵器が買えなくなると困るって言っていたから、これからも兵器は買い続けると思うし、クレハナの内戦も続くみたいね…」

フィーナの表情が曇る


「そこは、クレハナを出ちゃったフィーナが言えることじゃないもんな。もちろん内戦は早く終わった方がいいけど、シグノイアとハカルも戦争中だしな…」


とりあえず、フィーナの実父が環境破壊という犯罪組織に手を貸していたわけじゃないことが分かり一安心だ

シグノイアでも(フレイム)とミズキの強制捜査が始まっているから、これ以上ブロッサムの資金が送られることもないだろうし、環境破壊という犯罪組織が悪用することもないだろう



横を見ると、リィとフォウルが床で丸くなっていた

こいつらは頭がいい、騒いじゃいけない場所ではちゃんと静かにできるんだな



「…」

「…」


ふと、二人そろって無言になる


たまにこういう時があるのは何でなのだろう?



シグノイアには、恋愛のABCというものがある

Aがキス、Bがペッティング…愛撫、CがいわゆるH…セックスってやつだ


どこかの国から入って来た言い回しらしいのだが、発祥がどこかは知らない

要は、恋愛のステップを表すらしい

付き合って、キスして、ペッティングをして、そしてセックス…、生々しいからHと呼称しよう

要はHにまで関係を進めるという流れだ


現在の()()()()()()()()()の恋愛指南所に書かれており、広く認知されている恋愛ステップだ

もちろん、俺もこのABCを参考に、恋愛ステップを踏んでいきたいと思っている


だが、いざ挑戦してみようと思うと一つ疑問が生まれた


Aがキスというのは理解ができる

最初に迎えるべきステップだと思うし、実際に迎えてよかったと思う


だが、Bについてだ


ペッティングって何?

愛撫ってなんだ?

逆に愛撫まで行ってHまで行かないことってあるのか!?


かといって、キスしました…、次がHって!

早すぎるだろぉぉぉぉぉっ!?


ダメだ、最先端のくせに役に立たねーよ!


だが、俺もフィーナも社会人だ

いいだろ? 別にいいだろ?


「おーい!」


「え!?」


「…また何か変なこと考えてたでしょ?」

フィーナがスパークリングワインを飲みながら呆れる


「この国の最先端に納得がいかなくてさ…」



まぁ、フィーナも帰って来たんだし


焦る必要はないよな…



四匹目の使役対象です

大所帯w



誤字報告、ブクマ、評価、感想、ありがとうございます!

いつもモチベになります!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 普通ならヒロイン拘束フラグなのにもし何かあっても主人公じゃ何もできないだろうからスルーするところが好き。 何でもできるチートな姉が居るのも考えものですね。なんでAクラスじゃないんだろう? …
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