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22話 殺しの告白

用語説明w

シグノイア:惑星ウルにある国

ハカル:シグノイアの北に位置する同国と戦争中の国

龍神皇国:シグノイアと接する大国でフィーナの働く国


フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹

今日は非番だ

午前中からジムへ行ってきた


フィーナは昼頃に帰ってくるらしく、一人だと「人を殺したこと」を考えてしまうので、体を動かしたかったんだ


サンドバッグを叩き、ミット打ちをしただけでヘトヘトだが、悩みが吹っ飛ぶくらいにいい汗かいた


サイモン分隊長とスパーすると、技や戦術が力と体格で潰されるので面白くない

やっぱり、体重別が格闘技を楽しむコツだと思う


「ただいまー」


「お帰りフィーナ」

帰って来たようだ


フィーナは、シグノイアと接している大国、龍神皇国の騎士団で働いている

シグノイアが隣国ハカルと戦争中で出国制限中なのだが、フィーナは許可を得て出入国している


実際、通勤は二時間かからないし、泊まり勤務もあるのでそこまで苦ではないらしい


「ご飯買ってきたよ」

フィーナが紙袋を渡して来る


「やった! 腹減ったー」


「あと、セフィ姉やミイ姉、ヤマトから差し入れ貰ってきた」


「おー、ありがたや。みんな元気?」


「元気だよ。ラーズもたまには遊びに来いって言ってたよ」


「フィーナはBランクの特別職だから出国許可が出てるんだろ? 俺は普通に出国させてもらえないだろ」


「うーん、めんどくさいね。早く戦争なんか終わればいいのに」


「それはそうなんだけどなぁ」


セフィ姉は俺の遠い親戚

ミイ、ヤマトは俺の学生時代の友人だ

みんな龍神皇国の騎士団に就職している


ちなみにセフィ姉は俺に剣を教えてくれた人で、昔から頭が上がらない

俺の憧れの人だ


お土産の名物、押し寿司はかなりうまかった



食べ終わって一息つくと、俺はフィーナに声をかける

「ところでフィーナ、聞いてほしいことがあるんだけど」


「改まって何?」

アイスの袋を開けながらフィーナがこっちを向く


「…俺、初めて人を殺したんだ」


フィーナには聞いてほしかった

隠したくなかった


「…」

フィーナは動きを止める


「前の戦闘の時だ。ハカルの魔法使いを…殺したんだ」


「…ラーズは大丈夫だったの?」


「なんとか勝てたよ。ちょっと怪我しただけ」


「違う、心の方だよ。考えすぎてないの?」


「それが、思ったより何も感じなかったんだ。それが逆にちょっと怖いんだよな…」


時間がたてば、後からショックを受けたりするかもと思ったが特に悩むこともなかった

思ったよりも簡単に納得できている自分がいる


「殺さなかったらどうなってたの?」


「もちろん俺が殺されてた。そして ハカルに情報を持って逃げられただろうな」


「必要なことをしたんでしょ? そこに正しさなんかない、必要があるか無いかだ、ってセフィ姉が言ってたよ」


「必要ではあった…かな」


「じゃあしょうがないじゃん。やらなきゃいけないって事は分かってるからの納得でしょ?」


「まあそうなんだけど、思ったより割り切れてて自分でビックリしてるんだ。俺って結構冷酷なのかなってさ」


「ラーズがどう思おうがさ、生きて戻ってくれれば私はいい。何がなんでも生き残ってよね」


「…お前もセフィ姉も、言うこと男前だよな」


「セフィ姉も私も龍神皇国の騎士団として、人を殺す覚悟や殺される覚悟くらいしてるもん」


「そっか…。なんか、お前やセフィ姉って凄いよなぁ」


「ふふん。余計なことを考えてないで、もっと私を尊敬して憧れなさいよね」


「セフィ姉の方が凄いけどな。実力も魅力も」


「何で魅力を比較した?」


「いや、お前も間違いなくかわいい。ただセフィ姉が別格なだけだ」


「私がラーズの話を聞いたよね? 助言したよね? 何で最後にセフィ姉を誉める流れになるの?」

そう言ってフィーナが魔法の詠唱を始める


「私、火属性範囲魔法の火炎魔法(大)をマスターしたの」


「やめろバカ! このアパートが吹っ飛ぶわ!」


Bクラスの実力は伊達じゃない

範囲魔法(大)だと…?



…俺もいつか、Bクラスが一目置く戦力になれるだろうか


ただ、心は軽くなった気がする

フィーナに話してよかった






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