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閑話23 カツシの町の日常

用語説明w

シグノイア:惑星ウルにある国

ハカル:シグノイアの北に位置する同国と戦争中の国


ヴァヴェル:魔属性装備である外骨格型ウェアラブルアーマー。身体の状態チェックと内部触手による接骨機能、聖・風属性軽減効果、魔属性による認識阻害効果を持つ


デモトス先生:ゼヌ小隊長が紹介した元暗殺者で、ラーズの戦闘術の指導者。哲学と兵法を好む

スサノヲ:見た目は赤ずきんをかぶった女の子。正体は、怪力の腕利き鍛冶職人でジャンク屋


入院した病院に、デモトス先生とスサノヲがお見舞いに来てくれた


「ラーズ、具合はどうかね?」


「はい、今は大丈夫です。変異体の影響で倒れるなんて思いませんでした…」


デモトス先生が、フルーツの盛り合わせを持ってきてくれていた


「凄いですね。こんなにたくさんのフルーツありがとうございます」


「お願いしたら用意してくれたんだ。私のいた業界では、お見舞いにはこれでもかと手土産を持っていくのが慣例でね」


いや、どこの業界の話ですか?


デモトス先生は仕事があるらしく、「ゆっくり休みたまえ」と言って帰っていった


「ラーズ、あたしが剥いてやるよ」

スサノヲが軍用ナイフを取り出した


「お前にそんな女子力が…? いつかみたいに投げつけるだけじゃないんだな」


スサノヲとの初対面は、ナイフを投げつけられることから始まった


「あれは女子をモンスター呼ばわりしたお前が悪い。ナイフは女子力の奥義だ、見てな」


「そんな女子力聞いたことないけど!?」


ゴツい軍用ナイフですいすいと果物を切り分けるスサノヲ

得物が果物ナイフだったら女子力として見れたんだけどな…


「できたぜ、どうだ!」


スサノヲが、きれいに皮を剥いて切り分けた果物を皿に乗せた


「うん、上手だな。こんなに食べきれないから一緒に食べようぜ」


「おう、サンキュー」


お礼を言いながらも、当然のようにスサノヲは果物を食べ始めた


「モゴ…そういや、ヴァヴェルの…モゴ…修理は終わったからな…モゴ」


「飲み込んでからしゃべってくんない?」


戦地で光刃のリサという女兵士のレーザーエッジで、ヴァヴェルの右胸と右前腕の装甲に穴を空けられた

その修理をスサノヲに頼んでいたのだ


「黒竜の鱗を使った強化装甲を破るなんて、どんな敵と戦ったんだよ?」

桃を旨そうに噛りながらスサノヲが聞いてくる


「レーザーエッジっていう短距離武器だったな」


「レーザーエッジって…、短距離型のレーザー収束兵器だろ? それなら、動き回ってレーザーの照射時間を短くすれば穴を空けられずに済んだんじゃないのか? あとは、照射点を一点に集中させないとか…」


「レーザーの照射時間って、どのくらいで装甲を貫通されるんだ?」


「はっきりとは分からないが、0.5秒くらいかな」


「短かっ! 装甲厚くとかできないのかよ」


「レーザーエッジって、短距離に収束させることで拡散を防ぎ火力に特化させた兵器だぞ? 装甲の厚さでどうにかなるエネルギー量じゃないって」


スサノヲは、パクパクと果物を食べながら首を振る

それ、俺のお見舞いって分かってる?


二人で果物を食べながら雑談

体調が回復すると、それだけでちょっと幸せを感じてしまう


「モゴモゴモゴモゴモゴモゴ……」

スサノヲは果物が大好きらしく、とんでもない勢いで口に放り込んでいく



「そういやスサノヲ、商売の方はどうなんだよ?」


「ああ、龍神皇国の納品分で大分資金が手に入ったよ」


フィーナとセフィ姉に紹介したことで、スサノヲは龍神皇国の騎士団から受注を受けるようになった

おかげで、最近は仕事の依頼が入るようになったようだ


「…スサノヲって、ずっとあの店を構えているのか?」


よくわからんものを売っている一階の雑貨屋と、地下の工房からなる「ジャンク屋」がスサノヲの店だ


「いや、あたしは最初はカツシの町で工房を構えたんだよ」


「へー、戦地になっているカツシの町か。何でこっちに来たんだ?」


1991小隊の隊舎があるこの地域はシグノイアの南西、カツシの町は北東で真反対だ


「カツシの町の北部でシグノイアとハカルの両軍が衝突するようになってさ、商売どころじゃなくなったんだよ…。それで、デモトス先生に今の店を紹介してもらったってわけだ」



カツシの町

今回の戦争は、カツシの町の領有権を巡る戦いだ

両国の合意のもと、一般人を巻き込まないように、カツシの町の周囲百キロメートル以内を戦闘区域と定めて戦争が行われている


しかし、開戦以前からカツシの町の北部地域は防衛軍とハカル軍がぶつかる最前線であった

お互いに戦線を押し上げるために少しずつ進行しては、領土ヘの不法侵入を訴えて攻撃を行う


但し、あくまでも防衛の手段であるため、戦車や召喚魔法、Bランク戦闘員などの兵器は使うことができない

よって、歩兵同士が撃ち合い、死傷者が出て両国が相手を不法行為だと非難し合っていた


この前線の兵士は、開戦前に()()を行っていたに等しい

常に相手の兵士と殺し合うプレッシャーのため、薬物を使用して恐怖を和らげる者もいたくらいだ


俺は過去に、町中で魔法を発動させた薬物中毒の防衛軍の隊員を取り押さえた

あれがこの前線の兵士であり、恐怖で心を病んでしまった者だ


開戦前は、この事実は民衆には伏せられていた

不安を煽らないための情報統制だったらしいのだが…



「…カツシの町も大変だよな。十年以上前の第一次シグノイア・ハカル戦争の時も戦場になったんだろ?」


「ああ、そうだな。あたしはまだ小さかったから覚えてないけど…」


「戦争が終わっても、町の近くで撃ち合いをしてるって凄い環境だよな」


「撃ち合いが始まったのは国交が断絶してからだけど、町に被害はなかったぞ。防衛軍は町の防御にために駐留していたけど、戦闘自体は北の国境付近で行われていたからな。防衛軍もハカル軍も、民間人には危害を加えないように気を付けていた気がするな」


「へー、そこらへんはしっかりやってたんだな…」


「だけど、前の戦争の時にはひどかったみたいだぞ? 旧カツシの町は完全に廃墟となって、町の人間も何人も死んだって言ってたし、なんか使い捨て部隊とかいう部隊が暴れてたって聞いたなー…」


「使い捨て部隊?」


「ああ、なんでも非公式の部隊で非人道的行為を平然とやってのけたって。昔の話だし、あたしはよく知らないけどな」


「へー…」


なんか、どっかで特殊部隊とか聞いた気がするけど、何だっけな?


「よし、ご馳走様。そろそろ帰るぜ」


「あっ! お前全部食べただろ!? 俺、ドラゴンフルーツ食べたかったのに!」


「そんなの、先に言わないと分からないだろ?」


「俺のお見舞いだよな!?」


やれやれと首を振るスサノヲ



お見舞いには感謝するが、がっかり感が凄い

明日には退院だ、もうふて寝しよう…



カツシの町の実情です


参照事項

スサノヲとの出会い

108話 ジャンク屋1


薬物中毒の防衛軍の隊員

54話 被爆休み

55話 vs固有特性



やったー! 二十万PV達成しました!


実はこの小説の目標を立てていたのですが…

・ブクマ200 ←clear

・総合pt1000←clear

・百万PV


まさかの二つを達成!

本当にありがとうございます


しかし、最後の百万pvがキツイ…!

pvは作品を読んでくれる人が増えないと数が稼げない(汗)


そう言うわけで読んでいただいた皆様に、ですペアを人目に触れるご協力をぜひお願いしたいのです

面白い、続きを読みたいと思って頂けましたら、ブクマ、評価のお助けをよろしくお願いします…!

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