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20話 復帰と性能チェック

用語説明w

ナノマシン集積統合システム:人体内でナノマシンを運用・活用するシステム。ラーズの固有特性となった


ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

ジード:情報担当の隊員

エマ:医療担当隊員。回復魔法を使える(固有特性)

サイモン分隊長:MEB随伴分隊の分隊長。巨人族の血を低く巨漢で丸坊主。蒼い強化紋章を使う(固有特性)

今日は非番だったのだが、俺は1991小隊に顔を出している

今まで入院で休んでいたので、お詫びと回復の報告をするためだ


「元気そうでよかったわ」

「退院おめでとう」

ゼヌ小隊長とジードが笑いながら迎えてくれる


そして、来たついでだからということで

俺の固有特性となった、ナノマシン集積統合システム導入後の身体能力をチェックすることになった


俺も自分の体がどうなったのか気になっていたからちょうどいい


「がんばってね」

と、ゼヌ小隊長に言われ、エマにチェックを受けている


400メートルのインターバル走、ベンチプレス、反復横飛び、握力測定、垂直飛び等…


「つ、疲れた…」


「お疲れ様…、身体能力は特に変わってない…」

エマが気まずそうに言う


「そ、そうなの? 確かに強くなった気はしないし、むしろ入院のブランクで体が重いもんなぁ」


「次は格闘能力を確認してみましょう…?」


「格闘能力?」


「次は俺が担当だ、ラーズ!」

サイモン分隊長が笑いながら立っていた



・・・・・・



俺は格闘技が好きで、大学時代に打ち込んできた

だから、ちょっと自信があったりする


だが、サイモン分隊長は強い

素手のスパークリングとか罰ゲームだろ…!


「やるじゃねぇか、ラーズ!」


サイモン分隊長は、巨人族の血を引く巨漢だ

身長2メートル、俺とは体重差もありリーチが違う


サイモン分隊長の左ジャブは、石で殴り付けられてるようだ

まともにガードできないので手の平ではたいてパーリング


サイモン分隊長の腕の引きに合わせて、俺は懐に入り左フックを放つ


ガンッ!


入った!

が、サイモン分隊長は何事もなかったかのように右ストレートを打つ


え、効いてないの!?


ドガァッ!!


両腕でガードした腕が上体ごとはじけ、俺は後ろに吹っ飛んだ


「ぐぁ…!」

腕の骨にひびでも入ったのか、激痛で声が出る


すぐに立つが、サイモン分隊長が追撃で殴りかかって来る


右フックがくる!

怖ぇ!左に頭を振ってダッキング

そこから左にボディ


ドンッ!


ぐぅ…、腕が痛ぇ!

めっちゃひびくし、腹筋硬ぁっ!


半歩下がって、右ストレート

スイッチして左ミドルキック


サイモン分隊長は、一発は重いが回転は遅い

位置を少しずつ変えながら、攻撃を続けていく


左ジャブ

サイモン分隊長の右ストレートをダッキングでかわし、その勢いでロシアンフック気味の右フック

更に、右前蹴りにつなぐ


…全部はいってるけど、効いてる気がしねぇ!?

どんだけタフなんだ!


「おい、ラーズ。その腕…!」

突然、サイモン分隊長が俺の腕を指して言う


「え?」


「思いっきり腫れてたのに、治ってきてるぞ」


気がつくと、両腕の痛みが消えていた

まじか!



・・・・・・



エマが会議室で皆に説明している

「結論…、ラーズのナノマシンシステムは正常に機能しています…」


「身体能力は上がってなかったのよね?」

ゼヌ小隊長の質問


「身体能力の向上は認められません…。でも回復能力の向上が確認できました…。恐らく骨折していたであろう腕が数分ほどで回復…、その後の検査でも骨の損傷はなくなっていました…」


「今後、身体能力が上がったりするのか?」

今度は、サイモン分隊長が聞く


「まだナノマシンシステムを導入して間がありません…。今後体が馴染んで…、ナノマシンの含有量が増えてくれば可能性はあるかと思います…」


俺は、他人事のようにこの報告を聞きながら、改めて自分の体が今までと変わったことを実感した


「ラーズ…。今後は、ナノ・マイクロマシン、ケイ素系細胞の素材溶液を医療室で仕入れますから、毎日摂取して下さい…。」


「分かりました」


「無事に固有特性を身に付けられてよかったわね。今度はそのナノマシンシステムを磨いていってね、期待しているわ」

ゼヌ小隊長が俺に言葉をかける


「はい、ありがとうございます」


まさか、固有装備より先に固有特性が手に入るとは思わなかった

改めて、固有特性持ちになったことを噛み締める


「じゃ、ラーズの固有特性のお披露目は終わりね。ラーズは医療室でエマから説明を受けてね」



・・・・・・



医療室

エマからナノマシンの素材溶液をもらう


「この溶液がナノマシンとかの素材になるから…。毎日摂取して…」


「分かった、ありがとう」


「よかったら、これも…」

エマがビーカーに入ったお茶のような液体を差し出す


飲めってこと?

「あ、ありがとう。これは何?」


「毒…」

恥ずかしそうにエマが言う


「…え?」

冗談か? サイコか? 実験か?


「う、薄めたやつ…」

俺の表情を見て、エマが慌てて言う


「毒を薄めたってこと?」


「そう。それを少しずつ継続して飲めば、体が毒に慣れて耐性がつくの…。それは神経毒…」


「そ、そういうことね、ビックリした。死ねって言われたのかと思ったよ」


「…」

エマは恥ずかしそうに首を振る


毒に耐性をつける必要は確かにあるな


ごくごくっ!

俺は、ビーカーの液体を一気に飲み干す


「エマ、今後は溶液と一緒にこの毒ジュースももらっていい?」


「うん…」

エマはうなずく


コミュ力は低そうだがいい子みたいだ


毒か

耐性をつけながら、今後もいろいろ教えてもらおう





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