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212話 ついに

用語説明w

バックアップ組織:各地のテロ組織に、資金、技術、人材を提供し、その活動をバックアップする謎の組織


ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長


黒竜の洞窟の制圧作戦は成功で幕を閉じた


ゼヌ小隊長が手配していた調査チームが、作戦終了後に調査を行った

調査の一次報告として、地下に魔晶石があることは間違いないとのこと

観測拠点を復旧し、今後も常駐して魔属性環境の森の観測を行うことが決まった


地下の魔晶石のエネルギーの総量は、マグニチュード10の地震を発生させるほどのものらしく、そこからエネルギーを取り出すなどという実験は非常に危険な行為だ

下手をするとエネルギーが暴走し、大爆発や地震のエネルギーとして放出されてシグノイアに大災害を引き起こしていた可能性もあった


チョフイ市の役所の職員であるキプロさんが言っていた、動物や小型モンスターが山から下りていているという現象は、この魔晶石に干渉する実験の影響であったようだ

魔属性環境だけでなく、この周辺の森からも動物たちが移動している痕跡が発見された


今回の作戦の成功で、シグノイアの危険を取り除いたとしてゼヌ小隊長は評価を上げた

今後も、引き続き黒竜の洞窟の調査を打ち切った幹部の特定を続けていくそうだ



ヒートブレードのサウルが山の中腹で確保したネクロマンサーは、指名手配犯だった

死者の友達という通り名を持つ、ガレルという男だ

神らしきものの教団の一員とされている人物で、現在公安で取調べ中だ


バックアップ組織の内通者であるイジュンと、神らしきものの教団のガレル

この二人が組んでいたことで、また一歩バックアップ組織の実態に近づけたのかもしれない



「…いい兵士になったな。前に会ったときは、戦場で仲間に襲われた時だったな」

サウルが、帰る前に声をかけてくれた


「はい、あの時は協力してくれてありがとうございました」


ドムという隊員に、腕を切断されて鎧を強奪されそうになった

あのことは忘れられない


「あのドムという隊員は、もう出所して防衛軍に復帰したらしいぞ?」


「え!? 犯罪犯したのに復帰できるんですか!?」


「ハカルとの開戦が近いからな、人員を集めているらしいんだ。噂だと犯罪者や問題のある隊員を集めた、公にできない特殊部隊を作っているらしいぞ」


「と、特殊部隊ですか…」


戦争が始まると、そんなろくでもない部隊が動き始めるのか…

関わりたくないな



作戦が終わり部隊は解散だ

皆がそれぞれの隊に戻っていく


「ルーシュ、サムエル、今回もありがとうございました」


「また、一緒にパーティー組もうね!」 「ああ、こちらこそだ」


ルーシュとサムエルも帰って行った

今回は凄い隊員と戦えてよかった、心強かったな


今日はあまり話す時間が無かったけど、今度ゆっくり話したい



人形使いである、人形泥棒のケインだけはまだ黒竜の洞窟に残っている

魔晶石のエネルギーをイジュンの紋章に送信していたゴーレムの調査をしていくらしい


「おう、お疲れ! よくあいつの攻撃を粘ったなー、たいしたもんだぜ」

俺が挨拶に行くと、ケインは気さくに話してくれた


ケインは、魔族の男性隊員だ


「皆のおかげですよ。ケインも、そのゴーレムを操作してくれて助かりました」


ケインがゴーレムを操作してイジュンへのエネルギーの送信量を増やしてくれたおかげで、イジュンはエネルギー過多によって自滅した


「無理やり、あのゴーレムを止めてしまうと壊れてしまう可能性があったんだ。そう説明したら、デモトスさんが送信量を上げていいって言うもんだからよ。パワーアップしたあいつと戦うお前たちをハラハラしながら見ていたんだ」


「…ん?」


話が違うな

デモトス先生は()()()()()()って言ってたぞ?


「ま、確かに壊さなければ、しっかり解析と調査ができるから結果オーライだけどな」


「…そ、そ、そうですね。ハハハ…」


もう笑うしかないよ!



洞窟から出ると、解析部隊の隊員がイジュンの遺体を運んでいた

一緒にジードも洞窟から出て来た


「あの紋章は回収できたんですか?」


「いや、厳しいな。エネルギーが流れすぎて、肉体と一緒に魔力回路が焼き切れているようだ。解析部隊に精密検査してもらう予定だが難しいだろうな」


「そうですか…」


だが、作戦は成功した

あまり多くを望んでもしかたないか


「問題は、あの紋章の入手経路だな。公安に頼んで、もう一度イジュンの経歴を洗ってもらう必要がある。イジュンは、経歴上不審点はないって話だったからな」


「確かに。実は人形使いだったし、変な紋章手に入れているし、バックアップ組織と関わっているし、これで経歴に不審点無いっておかしいですよね」


オズマの仕事がまた増えたな

かわいそうに…




・・・・・・




隊舎に帰って来て、俺は待機事務室でぼーっとしている

他の隊員は先ほど帰って行った


なぜ残っているのか?

それは、ゼヌ小隊長にもうちょっとだけ待っててほしいと頼まれたのだ


ゼヌ小隊長は、中隊本部に今日の詳細を報告に行っている

まもなく隊舎に戻ってくるはずだ


思い返してみると、今日の隊員は本当に優秀で、そして多彩だった

ヒートブレード、爆破魔法、霊力による打撃、氣力の斬撃、サイキック…


だが、強化紋章で強化されたイジュンは、全ての攻撃を受けきった

ダメージがまともに与えられなかった


「…チートじゃねーかよ」


俺の1991もダメだった


フィーナやセフィ姉なら、闘氣(オーラ)を纏った攻撃で簡単に倒せるのだろう

これが、Cランク以下とBランク以上の差だ


Cランク以下のランクは攻撃力が重要視される

だが、Bランク以上は防御力が重要視されてくるのだ


ダメージを受けない防御力を生む闘氣(オーラ)、そして闘氣(オーラ)があればある程度の攻撃力も必然的につく


デモトス先生が言ったプレ卒業テスト

今回は、イジュンが自滅するまで待てばよかった

だが、本当の卒業テストはそういう弱点のないBランクが相手だろう

イジュンにさえダメージを与えられなかった俺に、果たしてそれが可能なのだろうか?


少しでも火力を上げないと、どうしようもない…

だが一つだけ、今日ヒントがあった


あれと同じことができれば、1991の火力を更に挙げられるのかもしれない

ナノマシンシステム2.1も完成してないし、やれることはまだあるか



…考えていると、ゼヌ小隊長が帰ってきた


「ごめんね、ラーズ。遅くなったわ」


「大丈夫です。みんなもさっき帰ったところですよ」


ゼヌ小隊長は頷くと、俺に紙を差し出した


「おめでとう、ラーズ」


「え?」


受け取った紙は辞令だった

俺の名前とCランクにランクアップと書かれている


「あ…、は、拝命します…!」

俺は慌てて敬礼する


「礼法は省略でいいわよ、私達しかいないんなんだから」

ゼヌ小隊長が笑う


「はい、ありがとうございます」


そうかー…!

俺もとうとうCランクに、一般兵士の最上級ランクになれたのか…


ずっと憧れの目標だった

頑張ってよかったな…


「ついでに、ラーズのサイキックや武器の情報も更新しておいたわ。人事記録を後で確認しておいてね」


「はい、分かりました」


「この事例だけは早く渡しておきたかったの。疲れてるのに待たせちゃってごめんなさいね」

ゼヌ小隊長が申し訳なさそうに言う


「いえ、私は大丈夫です。ゼヌ小隊長も疲れてるのに、気を使わせて急いでもらっちゃってすみません」

俺は頭を下げる


「…気を使ったのものあるんだけど、それだけじゃないわ。渡す余裕がなくなるかもしれなかったから」

ゼヌ小隊長が急に真顔になった


「え?」


「開戦が決まったの。今週末、国会で開戦案が提起されるわ」






隊員人事記録(ランクアップ等更新)


氏名 ラーズ・オーティル

人種 竜人

所属 1991小隊(特)

称号 達人兵士

通り名 道化竜

戦闘ランク C ←New!

固有装備

・大剣1991 ←New!

・ヴァヴェル(属性装備)

・ホバーブーツ

・絆の腕輪

固有特性

・ナノマシン統合集積システム2.0

・ホバーブーツによる高機動戦闘

・テレキネシス技能:サードハンド ←New!

得意戦闘

・囮、味方の編成に合わせた柔軟な立ち回り

・攻撃: 遠、中距離の射撃、杖とモ魔の魔法、近接武器

・式神、外部稼働ユニット、竜牙兵による攻撃補助




これで六章が終わりです

毎日更新はキツかった…、更新頻度が下がらない人って凄い

でも年末年始で人が増えてくれてモチベが凄かったです…、感謝!


七章から、また週2,3回ペースに戻ります

またお付き合いいただけたら嬉しいです


気が付いたらポイントが600を!

誤字報告、ブクマ、評価、本当にありがとうございます…ありがとうございます…!


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