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204話 内通者狩り

用語説明w

バックアップ組織:各地のテロ組織に、資金、技術、人材を提供し、その活動をバックアップする謎の組織


PIT:個人用情報端末、要はスマホ。多目的多層メモリを搭載している

イズミF:ボトルアクション式のスナイパーライフル。命中率が高く多くの弾種に対応している


ジード:情報担当の魔族の男性隊員、補助魔法が得意


今回は公安との合同作戦

警察組織内のバックアップ組織の内通者全員の行動を調査、そして確保だ


「内通者の六人全員が同時に休暇を取ったらしい。このまま姿を隠される可能性があるな…」

ジードが状況を説明してくれた


把握した内通者は全員が泳がされ監視をされていた

おかげで、行動パターンや接触者がかなりの把握できている


だが、開戦が確実となった今、泳がせておく理由はない

ここで逮捕して情報を吐かせる、というのが公安の方針だ



俺達の担当は、アントニオに仕事を依頼したイジュンの確保だ


依頼内容は、()()()()の海上プラント「海の町」への搬送

何でも屋に頼む時点でろくな荷物じゃないんだろうな…


「アントニオが受け取った荷物は、偽物にすり替えてそのまま運ばせる予定だ。海の町の誰が受けとるかを確認したいからね」


そう言って、デモトス先生がアントニオの店に入っていった



「イジュンは経歴上は特に不審点は無く、バックアップ組織との接点は不明だ。だが、監視を初めてから三度、証拠品を違法に持ち出して廃棄を行っている」


ジードがイジュンの顔写真をPITに送信してくれた

竜人の男性警察官だ


「でも、それだけならバックアップ組織の内通者とは限らないんじゃないですか?」


勝手に証拠品を廃棄している時点でクソ野郎は確定だが


「廃棄を行った証拠品は、全てバックアップ組織に関する証拠品だ」


「…すみません、完全に内通者でした」



周囲のネット接続された防犯カメラは、全てジードの()()()管理下にある



接触する人間、一緒に来る人間を全て記録する

俺とジードはイジュンの確保

アントニオとデモトス先生が海の町に向かい受け取り先を確認、…というのが今回の作戦内容だ




・・・・・・




俺達は繁みの裏で監視中だ


アントニオの店の前に引っ越し用の大きめのトラックがやって来た

イジュンが一人で運転している



「…予想より箱がでかいですね」


荷台の箱は一辺が四メートルほどの立方体だ


「計画変更だな。大きすぎて店の中ですり替えは無理だ。搬送中に、どこかですり替えてもらおう」

ジードがデモトス先生にメッセージを送る


様子を見ていると、アントニオが用意していたフォークリフトで荷物を持ち上げ、自分の軽トラックに積み替えていた

軽トラックが沈み込んでおり、かなり重量がある荷物のようだ


更に同じような箱が、もう一つイジュンのトラックに乗っている

アントニオに依頼された荷物と同じものならば、イジュンを確保した後に中身を確認できるだろう


アントニオはデモトス先生に指示を出しながら、搬送の準備を終えた

デモトス先生に先輩風を吹かすアントニオ…

演技だろうが、後で殺されたりしないかな?



アントニオとデモトス先生が軽トラに乗り込み出発した


「よし、行くぞ」

ジードが合図を出す



俺達は二人でイジュンに駆け寄る


「イジュンだな?」


「…なんだ、お前達は?」


俺達の姿を見て、イジュンは不信感を露わにする


「公安の依頼で確保を依頼された防衛軍だ。一緒に来てもらおう」

ジードが、公安からの依頼書をイジュンに見せる


「…な、何だと!?」

明らかに動揺するイジュン


一瞬、思いっきりトラックに残された荷物に視線を移した


「その荷物、中を確認させて貰いますよ?」


俺はトラックの荷台に上がり、荷物の箱に手を掛ける


「そ、それにさわるなぁぁぁぁ!!」

イジュンが激昂して叫び、掴みかかろうとする


すぐにジードが前に立ち塞がり、イジュンを制止した



「…っ!! ジード、危ない!」


突然、イジュンが何かの魔法を発動、その額に何かが光った



すかさずジードがとびすさり距離を取る


「抵抗するな! 撃つぞ!」


俺は陸戦銃を構えて警告する


「…くそっ、くそっ、くそっ! こんな所で…!!」

だが、イジュンは興奮して全く怯まない


そして、何かの魔法、いや魔術を行使した


「ラーズ、撃て!」



「…っ!!」


ガガガガガガッ!



ジードの声に、俺はアサルトライフルを撃ち込む

何の魔術かは不明だが、危険なことに違いはない


だが…


「な、何だと!?」

ジードが声上げる


イジュンは無傷だった

間違いなく命中したが、弾が貫通しなかった


「ラーズ、気を付けろ! 何かの術を使っているぞ!」


イジュンの額が更に光る

よく見ると、何かの図形のようだ


あれは…、おそらく紋章だ


サイモン分隊長が使っている強化紋章と似ている

身体能力や防御力を上げているのかもしれない



「オラァッ!」


イジュンが拳を振り下ろしてくる



ゴガッ!


「うおっ!?」



イジュンはバランスを崩し、地面のアスファルトに拳を打ち付けた

アスファルトに拳がめり込む


凄い力だ! あれは喰らったら即死だぞ

イジュンの拳も壊れていないようだ、体の防御力も上がっている

まるでBランクの闘氣(オーラ)のようだ


だが、急に力が増した状態なので力を制御できていない



「逃がすか!」


イジュンはもう一度拳を振り上げて殴りかかって来る



ゴッ!


「…ぐっ!?」



俺はイジュンの右拳を躱しながら、カウンターで右ストレートをぶち込む


テレフォンパンチなので分かりやすい

イジュンは格闘の素人だな


パワーは凄いが、隙だらけなのでなんとか抑えられるかもしれない



「ギュィィ…」


何かが軋む音がして振り向くと、イジュンのトラックの荷台にあった荷物の内側から何かが突き出てくる

腕のように見えるが、石のようなものでできている?



ゴガァッ!


内側から箱を破壊して出てきたものは、悪魔を象った石像だった



「ガーゴイルだ! こいつ、人形使いか!?」

ジードが叫ぶ



人形使い

ゴーレムやオートマトンなどを扱う技術を持つ者

物理的構造を作る工学知識と、電子回路や魔力回路の知識、そして制御用のソフトウェアの知識が必要となる

人形使いが契約した人形は、その性能を百二十パーセント発揮すると言われている



「やれ! 二人とも殺せぇぇぇ!」


よだれを垂れ流しながら叫ぶイジュン

明らかに常軌を逸している


あの強化紋章のせいか?



ブシューーーーー!


ガーゴイルが真っ白い煙を吹き出す



煙幕か!?


だが、あれだけ興奮しているイジュンの気配、体温、動きは簡単に把握できる


俺はイジュンを叩き伏せるために忍び寄る

側面から顔面にハイキック、倒れた所を拘束してやる



スッ…



煙幕の向こうにいるイジュンに狙いを定める

しかし、その瞬間、煙幕の向こうから何かが飛び出してイジュンを掴む


「なっ!?」


そして、一気にイジュンの体を持っていってしまった



煙幕が薄れると、先程のガーゴイルがイジュンを抱き上げていた


ガーゴイルの腕は、ロケットパンチのように前腕を射出できるようだ

そして、ワイヤーで繋がっており、腕の回収も可能な構造になっていた


「やれぇーー!」


イジュンは叫ぶと、急いでトラックに乗り込む


「まずい、逃げるぞ!」

ジードが叫ぶのと同時に、陸戦銃を構える


タイヤを撃ち抜いて止める…!



ゴォォォッ!


「うおぉぉぉっ!?」



ガーゴイルは、口から火炎を放射した

あわてて回避する



ゴガァッ!



同時に、ジードにはロケットパンチが放たれていた


まずい、トラックが出発する!

ホバーブーツのエアジェットで一気に接近する…



ドガガガガガッ!


「くそっ!」



ガーゴイルの背中からマシンガンがせり上がり、弾幕を張られる

俺達は射撃から身を守るため、一旦アントニオの店の裏側に待避した


ダメだ、イジュンに逃げられてしまった…


「ラーズ、イジュンに逃げられた以上、あのガーゴイルは確保するぞ!」


ジードはそう言って、防御魔法(小)、硬化魔法(小)、耐魔力魔法(小)をかけてくれた

銃相手に防御魔法はかなりありがたい


「あの火炎放射は、可燃性ガスの燃焼を火属性で強化している。魔法要素が薄いため魔法防御の効果も薄い、喰らうなよ」


「分かりました」



さて、どうやって壊すか?

石の塊に銃は効果が薄い


ガーゴイルやゴーレムはボディの中に魔力による回路を作り、体を動かしている

その魔力回路を魔法などで破壊すればいいのだが、対策として表面に耐魔力防御コーティングを施すのが常識だ


そのコーティングを削って破壊したのち、ジードの魔法で壊さなければいけない

1991で叩き壊せればいいのだが、機関銃相手だと近づけない!

ガーゴイルの隙を作れるくらいの攻撃方法が欲しい…


だが、ないものねだりをしても仕方がない

ある物で勝負だ



「とりあえずやってみます」


俺は、倉デバイスからロケットランチャーとイズミFを取り出す



ボシューーーーー!



ロケットランチャーを上空に発射

続いてイズミFでガーゴイルを狙う



ガゥン! バキィッ!



か、固い!?

疑似アダマンタイト芯の徹甲弾で貫通しないだと!?


だが、ガーゴイルの顔面の一部が砕けた



ガシュッ… ガゥン! ゴガァッ!



リロードしてもう一発

今度はガーゴイルの顔の右半分が吹き飛んだ


よし、二発で貫通だ



ドッゴォォォォン!



タイミング良く、上空からロケット弾が落ちてきて着弾

顔と機関銃が吹き飛ぶ


よし、チャンスだ!


俺が1991を取り出そうとした時、ジードが手で俺を制止してガーゴイル接近する


壊れた顔から露出した内部魔力回路をハック、魔力回路を壊すように魔力を流し込んだ


「グゥゥー…」


すると、ガーゴイルは静かに機能を停止したのだった





ポイントが500を超えました!

信じられない…


ブクマ、評価、ありがとうございます

本当に励みになります


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