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18話 死のリスクと対価

用語説明w

シグノイア純正陸戦銃:アサルトライフルと砲の二連装銃

PIT:個人用情報端末、要はスマホ

ナノマシン集積統合システム:人体内でナノマシンを運用・活用するシステム

偵察用ドローン:カメラ付きドローンで、任意の場所にとまらせて偵察カメラとして使い、PITで映像を受信する


ジード:魔族系の情報担当の隊員


固有特性、個人の突出した特性のことだ


…いきなりだが、その固有特性を得た


棚からぼた餅が降ってくるが如く

だが、死のリスク付きだった



今日は、情報担当のジードとクエストに来ていた

ジードは魔族の男性隊員で、情報処理と補助魔法や付加魔法が得意らしい


「偵察用ドローンは実用性も高いが、タスク管理の練習にいい。離れすぎて通信状態が悪くなれば、PITの動きが遅くなるから確認しろ」


ジードから新装備として偵察用ドローンを勧められた


偵察用ドローンは偵察用のカメラが付いている

飛ばして好きな場所に設置する事で、簡単に偵察カメラとして使える


無線で映像データを飛ばしPITで受信するのだが、そこまで無線の範囲は広くない

だが、高所から見下ろす視界がもう一つあるようなもので、かなり便利だ



今日は、ジードから戦闘指南を受けている

前回、PITをフリーズさせて()()()したからだ


「通信状態は気にしとけ」


「複数のタスクを実行させるとリスクがある、気を付けろ」


等々、指南を受ける



今回のクエストは、犯罪者の捜索と確保だ

森に逃げ込んだ強盗犯人が自動小銃で武装しているらしい


ドローンを飛ばし、索敵とマッピング

PITの処理数をあげないよう、ドローンが離れすぎないように気を付けながら対象を探す



…人間の靴の足跡を発見


辿ると、一人の男が背中を向けて岩に座っていた


「よし見つけたな。確保の準備をしよう」

ジードが俺を呼び止める


「了解です」

俺は木に隠れて、対象の男を望遠レンズで観察する


ジードは手早く、「防御魔法(小)、高質化魔法(小)」を唱え、俺に魔力バリアを展開し、防弾アーマーを高質化して防御力を上げてくれる


補助魔法は本当に便利だ

ジードは敵の弱体化魔法も使えるみたいなので、戦闘中も期待できる


「よし、準備はOKだ。可能なら生け捕り、無理なら殺せ」


「ジード、私は人を殺したことがないんです」


「…そうか。慣れろとは言わん、だが必要なら躊躇わず撃て。躊躇ったら死ぬのはお前だぞ」


「…了解」



その時、対象の男がゆっくりと振り返った


「…っ!?」


な、何だ…?


「ただの人間って話じゃ?」

俺はジードに言う


「…そういう話だったな」


対象の男は、右腕だけ異様に大きく膨れ上がった異形の体をしていた



ジードは、すぐにデータベースで対象の異形パターンの検索を始める


「とりあえずは予定通りいこう。無理はするなよ」


「了解」


俺はアサルトライフルを構えながら、ホバーブーツを起動させる


ゆっくりと異形の男に近づく

とりあえずは、投降を呼びかけてみよう



「ぐぎゃあああああぁぁぁぁ!」


男は俺を見つけると雄叫びを上げる



うん、説得は無理

目がイってる


諦めるなら早い方がいい



ダダンッ



アサルトライフルを膨れた右腕に撃ち込む


「え!?」


弾が貫通しない!

膨れた腕はかなり固いようだ



ドガァッ!


突然、右腕を支点に男が跳ねて飛んでくる!



「うわっ!」


早い! …が、ギリギリで躱せた



ダダダッ!



すぐにアサルトライフルを男の腹に撃ち込む


お、右腕以外は弾が通るな


着ている服を血に染めて、男が暴れる

俺を狙って膨れ上がった腕を振り回してくる



冷静になれ!動きを見ろ!

恐怖を抑え込んで、地道に弾を撃ち込む



ダンッ ダダダッ…






……




………おかしい



そろそろ、倒れてもいいくらい弾を打ち込んでいる



あっ!!


その時、気がついた

「き、傷が治ってる!?」


俺は、男の左手の傷が瞬く間に塞がっていくことに気が付いた



「ジード、こいつ傷がすぐに塞がってる! 回復魔法じゃなさそうだ!」


「ラーズ、恐らくだがナノマシン集積統合システムだ! 回復の仕方に特徴がある!」


「ナノマシン!?」


「注入したナノマシンを体内のコアで制御して回復力を上げる、人体強化手術だ! 恐らく肥大した右腕にコアがある」


「右腕は固くて弾が通らないんだ!」


「腕を切り離すか、頭を吹き飛ばせ!」


すっげーざっくりな作戦だな!


…理由は知らないが、ナノマシンが暴走してるのか?

あの右腕は異常だろ!?



ドンッ ドンッ



俺は、樹木を盾にしてグレネードを2発打ち込み、散弾を装填

更にアサルトライフルのマガジンを交換する


深呼吸して…、行くぞ!



ダダダンッ!



グレネードで動きを止めた男に接近し、ヘッドショット


ダメだ!

頭を貫通せず、傷が塞がっていく!



俺は巨大な右腕の攻撃を左に避け、陸戦銃を左手に持ちかえる

前に大きく踏み出し、右腕で男の顎を掴んで押し出す!



「おらぁっ!!」


…右足で、思いっきり男の足を刈る



大外刈り

そのまま頭を地面に、自重をかけて打ち付ける


下に木の根があり、根が砕けるほど頭を打ち込んだ

男は、白目をむき痙攣して泡を吹いている


意識を飛ばせたようだ

回復力があっても、脳震盪は関係ないもんな



…ヒュンッ!


ホッとした時、男の右手が動いた!



「くそッ!」

まだ動くのか!?



ガシュッ!



俺は、散弾を至近距離から男の顔面に向けて撃つ

顔の右目付近が吹っ飛ぶ!


肥大した右腕が、男の意識の有無に関係無く動くとは…

もしかして、肥大した右腕が独立して動いてるのか?



…ドスッ!


「…っ!? …ゴホッ…」



俺の左肩に、男の巨大な右手が背中側から突き刺さった



「ヒュー…ヒュー…」


肺に穴が開いた…!?



息が吸えない、まずい…


間違いなく、この右手は持ち主と関係なく動いている…!



『!□★?Σφ▼◇円・・!!』


突然、何かのイメージが頭に流れ込んでくる



恐怖?



死?




来い…!




受けてやる…!




早く来い…!





………!





……











・・・・・・




後から聞いた話


ナノマシン集積統合システムは、

・持ち主の遺伝子情報をコアにインストール

・コアに、持ち主の生命維持を最優先に設定

・コアを正規に手術で埋め込む

の三つの行程を踏む必要がある


今回の対象の男は闇手術でコアを埋め込んだらしいのだが、遺伝子情報をインストールしていないことから拒絶反応が出て、肉体とナノマシン群の相互に死の危険性が出てしまった


更に優先事項が設定されてなかったことから、コアが肉体よりもナノマシン群の維持を優先させて肉体を乗っ取り、次の宿主を探していた…


ということらしい



俺も肥大した右腕の爪で貫かれ、ナノマシンとコアも崩壊寸前


生き残るには、これしかなかったよ…なぁ?


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