表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
210/396

189話 バックアップ組織の尻尾1

用語説明w

バックアップ組織:各地のテロ組織に、資金、技術、人材を提供し、その活動をバックアップする謎の組織


モ魔:モバイル型呪文発動装置。巻物の魔法を発動できる

大剣1991:ジェットの推進力、超震動の切れ味、パイルバンカー機構、ドラゴンキラーの特性を持つ大剣。杖、槍としての機能も持つ

ナノマシン集積統合システム:人体内でナノマシン群を運用・活用するシステム。身体能力の強化も可能となった固有特性


デモトス先生と現場に向かっている

何の現場かって? もちろん特殊任務だ


急遽決まった任務なので詳しい情報は落ちて来ていないが、バックアップ組織に繋がる重大な情報が手に入る可能性があるらしい


「ラーズ、今回は公安と防衛軍の合同作戦だ」


「合同って、大丈夫なんですか?」


1991小隊と公安のオズマは、密約を結んでバックアップ組織を協力して調査してきた

密約の理由は単純、()()()()を使って情報を集めているからだ


それなのに、防衛軍が堂々と公安と合同作戦というのも違和感がある


「今回は、我々の調査の集大成でもある。すなわち、バックアップ組織の実体に牙を突き刺せるかもしれないということだ」


今までの資料と膨大な情報により、バックアップ組織との関係がある拠点を特定した

それが、ある大手企業の秘密工場らしい


この工場を制圧して、全ての情報を手に入れる

更に、その企業の責任追求と内部へ捜査のメスを入れていく取っ掛かりとする…、らしい


「ついに、バックアップ組織の実体が…」


「ラーズは囮だ。強敵らしい、気を付けるんだよ」


制圧作戦が開始された


俺の任務は、秘密工場に逃げ込んだ大男の対処らしい

工場内での証拠隠滅を阻止し、身柄を確保するのだ




・・・・・・




秘密工場の東側に潜入した

敷地内に見張りや社員はいないようだ


周囲をオズマ達公安と、1991小隊が固めている

ジードやデモトス先生はすでに潜入して、証拠と情報集めをしているはずだ

更に応援として、防衛軍からもう一つ小隊が派遣されてきている


この特殊任務って、うちの小隊以外でもやってたんだな…



俺は、その大男とやらを探して敷地内を歩く

敷地内はかなり広く、建物も点在しているようだ

事前情報通り、このエリアは無人になっているようだ



「…っ!」


…気配を感じた



体が大きい、重量感がある気配

微かな床の振動と、音が気配の主の情報を伝えてくる


そしてこの動きは…

素人じゃない、強い奴の気配だ


「データ、戦闘に入るぞ」


俺はリィを呼び出しながら、倉庫の裏に回る

だが、俺の位置を把握しているようで、現れた気配は俺を追って来た



こいつが俺が確保する対象か



「!!」


巨大な影が上から落ちてくる



ドォォォン!


「くっ…!」



屋根を越えてきた?

あの巨体で!?


俺の目の前には、身長2.5メートルほど、MEBよりは少し小さい、()()()()()()が目の前にいる


全身を黒い甲冑で覆い、目の部分だけが露出している

その目は、人間の目のように見える


こいつをプチ巨人と呼称することにしよう


「戦闘開始だ! デモトス先生に連絡を!」


「了解だよ!」


データは答えながら、外で待機中のデータ2を呼びドローンを飛ばす



俺は陸戦銃を構える



ドドドドドドッ!



アサルトライフルの連射

まずは装甲の厚さを確認する



ガキガキガキキキキッ!



プチ巨人は、弾を装甲で弾きながら一気に加速、デカイ拳を叩きつける



「…うわっ!?」


ドゴォッ!



地面に拳がめり込む


あり得ない加速に、一瞬反応が遅れちまった

何だ、あの加速は!?


「ご主人! プチ巨人のアーマーの背中にジェットスラスターが付いてる!」


ジェットスラスターは、直線の短距離ならホバーブーツの速度を上回る



銃が効かない、しかも逃げ切れない

ならば魔法だ!


俺はモ魔で冷属性範囲魔法(小)を読み込み、携帯用小型杖を取り出す


「データ、1991を倉デバイスから出してくれ!」



プチ巨人は、その間に拳を振り上げて接近



ドガァッ!


「うわっ!」



ズガァ!


「くぅっ!?」



ドゴン!


「おわっ!」



連続で繰り出してくる拳をなんとか避けながら隙を窺う

俺が倉デバイスから1991を引き出した瞬間…



ボォッ… ドガァッ!


ガキィッ!

「…っ!?」



肩を突き出して、プチ巨人がジェットスラスターで突っ込んでくる

巨体の表面積が高速で迫って来るのを、1991でなんとかガード


いなされたプチ巨人が、後ろの小さい倉庫に突っ込んだ

俺はこの隙に1991にモ魔を接続、先端の魔玉から冷属性範囲魔法(小)を発動した



銃弾と範囲魔法は、現代の戦闘の二大兵器である

銃弾の利点は、言わずと知れた距離と弾速だ


対して、範囲魔法の利点は発動範囲が挙げられる

発動範囲とは、範囲が広いという意味だけではない

発動点から決まった距離の範囲内にエネルギーを発生させるという意味だ


その範囲内であれば、物質的な障害物には遮られない

装甲だろうが鎧だろうが、魔法防御がなければ関係なく()()()()魔法効果が発生する

つまり、防御力無視なのだ


しかし、人間を含む生物は、生まれながらに霊体や魔力があるため魔力防御力を持っている

そのため、体内に全ての魔法エネルギーを発生させることはできない


逆に高防御力のロボットなどは、魔力防衛の対策をしていなければ、その装甲内に電気を発生させて一発で回路を焼ききることができてしまう



シャキキキーーーーン!



倉庫内に冷属性範囲魔法(小)が発動

いつもより強い、1991の杖機能の効果だろう

Bランクの魔玉を使っただけあるぜ!



ドゴォッ! ブォォォォーーーー!



だが、ダメージを一切感じさせない動きで、プチ巨人が倉庫の壁をブチ破って、突っ込んできた


「何ぃ! データ、あいつ何で無傷なんだ!?」


「恐らく耐魔力素材の鎧だよ! 霊視カメラで魔力の拡散を確認!」


こいつは、ヤバい!

銃弾が効かない防御力! 魔法も効かない装甲! 逃げ切れない機動力!



ボゥッ!


ブォォッッーーー!



俺はホバーブーツを使って必死に逃げるが、プチ巨人はジェットスラスターで弾丸のように追ってくる


ガキィッ!


「くっ…!」


引っかけられそうな場合はナノマシンシステム2.0を発動して1991でガード

面積の大きい1991は、防御がしやすくありがたい!



俺は、必死に逃げ回りながらボリュガ・バウド騎士学園のことを思い出す


この学園では、大昔の冒険者に習って、職業(クラス)なんてものがある

ゲームじゃないので、その職業になったからといって特有の魔法や特技(スキル)を覚えるなんてことはない


要は、その生徒がどんな技能や戦闘スタイルを持っているかのかを職業を見て分かる、程度の意味だ


そして、俺の職業は勇者だった

勇者はかなりレアな職業で、俺がいた当時の学園にも俺一人しかいなかった


勇者は、魔法や近接攻撃が可能な器用な職業だ

それだけ聞くと良さそうに聞こえるかもしれないが、魔法は後衛の魔法職に勝てず、近接攻撃は前衛職に勝てず、総合力でも魔法戦士に負ける

ザ・器用貧乏! といった少し残念な職業だった


だが、唯一の売りが重属剣だ

魔法や霊力、闘氣(オーラ)特技(スキル)を剣に重ねる、高威力、超低燃費の攻撃だ


なぜ、この重属剣が使えると、魔法戦士と差別化され勇者となるのか

勇者とは、魔王を倒す(すべ)を持つといわれ、その(すべ)というのが重属剣だ


稀に、高威力の魔法や特技(スキル)を誓う魔法使いや戦士でも、防御を破れない硬い敵がいる

例えば、防御力110の敵に、攻撃力100の攻撃を何回撃っても、なかなか防御は突破できない

防御を削り切る前にガス欠が落ちだ


だが、普段は攻撃力80でも、一発だけ120の攻撃ができる勇者がいたらどうだろう?


装甲に傷が突き、一部が削れれば、そこを集中攻撃して防御を崩すことができるかもしてない

場合によっては格上の敵を倒すこともできる、可能性を秘めたロマン技が重属剣であり、ロマン職業が勇者なのだ



俺は倉庫の前に立つ

正確には倉庫の太い鉄骨の前だ


俺の正面にはプチ巨人が立っている

俺はモ魔で風属性竜巻魔法(小)を読み込む


さあ、突っ込んで来い

1991の実力を見せてやる

()()()()()使()()()()()を叩き込む

久々に、重属剣の感覚でぶっぱなしてやる…!



ブゴォォォッッッーーーー!



プチ巨人は、ジェットスラスターを点火すると同時に、雷を纏い始めた



「ス、特技(スキル)!?」


高性能重装備で、特技(スキル)まで使えるだと!?

雷を纏いながら、プチ巨人が弾丸となって突っ込んでくる



あ…、俺、死んだかも…



いや、悩むな!

勝負だ、頼むぞ1991!




プチ巨人の高速タックル VS 1991のフル機構の突き


防御力 vs 攻撃機構


盾 vs 矛




モ魔で竜巻魔法を発動、1991の魔玉から竜巻が発動する


…勝負だ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ