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16話 大失敗

用語説明w

PIT:個人用情報端末、要はスマホ

モ魔:モバイル型呪文発動装置。ケーブルで繋いだ巻物の魔法を発動できる


サイモン分隊長:MEB随伴分隊の分隊長。巨人族の血を低く巨漢で丸坊主

ジード:魔族系の情報担当の隊員

現在、俺は作戦行動中


本来は非番になるはずだったのだが、ロゼッタが


「ラーズごめん、生理来ちゃってお腹がいたいのぉ」


と言ってきて、どうしていいか分からず頷いてしまい現在に至る



森の中に掘られた縦穴を下り、横穴の一つに入った


敵は昆虫型生物兵器、通称「蟻」だ

単体ではそこまで強くないが、数が驚異となるため戦闘ランクはDランクだ


戦争中の隣国ハカルから女王蟻を密かに送り込まれ、各地に巣を作られている

ギアに生息している昆虫の蟻をモンスター化した生物兵器で、一匹が一メートルほどの大きさだ


だが、今回の主な撃破対象は蟻ではない

ティタンワームという大ミミズだ

ほっとくと、地面を穴だらけにされる危険なモンスターだ


「情報1から、射撃班」


「射撃2、ラーズです」


「その横穴を進むと、巣穴の上層部分に出ます。H3地雷と土属性地震魔法(少)の巻物を設置して待機、起動準備願います」


「射撃2了解」

暗視カメラ映像を仮想モニターに表示させながらインカムで答える


作戦は、二ヶ所から混乱魔法のばらまきで蟻を混乱させる

蟻は脳神経の構造が単純なので混乱率が高いんだ


その後、同じく二ヶ所からのライフル狙撃でティタンワームを仕留める

その後、蟻を掃討する流れだ


だが、もしティタンワームを仕留め切れなかった場合、攻撃されたティタンワームは地上を目指す習性がある

よって、縦穴の天井部分に埋まっている大岩の下に土魔法で振動を起こし、天井を崩して大岩で押し潰す作戦だ


ミミズは表皮はそこまで固くないらしいので、しっかり潰れるだろう

縦穴全てが崩落する可能性もあるので、あくまで最終手段だが



「サイモン分隊長、巻物と地雷は設置完了です。大岩のエコー画像も送ってもらったので設置場所も大丈夫だと思います」


「よし、インカムで鳴いといてくれ」

そう言いながら、サイモン分隊長はスナイパーライフルとアサルトライフルを設置し、自分の倉デバイスからグレネードランチャーを取り出す


まもなく作戦開始だ




・・・・・・




モバイル型魔法発動装置…通称モ魔を起動、地震魔法(小)読み込み


精神属性混乱の魔石を装填した魔石装填型小型杖で蟻を狙う


40メートルほど下に女王蟻と兵隊蟻が20匹ほどいる

繭がいくつかあるが、まだ巣を作り始めたばかりらしく数は少ない


一番下にうずくまるようにティタンワームがいる


「混乱魔法、発動開始!」


インカムからの指令で、俺は小型杖を振る

少し下の反対側の横穴から、大きめの混乱の魔法弾が飛んでいく


俺の小型杖の混乱魔法弾は敵一体にしか効果がない

だが、本職の魔法使いの混乱魔法は、着弾後に魔法が弾け数匹まとめて混乱させられるのだ


俺の小型杖に装填できる三発の混乱魔法弾を撃ち尽くし、次の魔石を装填する


と、インカムから指令がくる

「混乱魔法、発動やめ! 攻撃目標をティタンワームに移行せよ」


縦穴の下を見ると、混乱した蟻達が同士討ちをしたり壁を掘り返したりしている


俺はシグノイア純正スナイパーライフルを構える

弾は、ストッピングパワーに優れるフランジブル出血毒弾


着弾後、毒性の散弾が体内に弾ける皮膚の柔らかい対大型モンスター用の弾丸だ


ダンッ… ダンッ…


横を見ると、サイモン分隊長はライフルを打ち始めている

すぐに、俺もライフルを打ち始める


ティタンワームは下で暴れながら、縦穴の上…つまりこちらを見上げる

そして、勢いよく壁を擦り上がってきた


ズドドドドドォォォ!


「H3地雷用意!」

サイモン分隊長が叫ぶ


「了解!」

俺は答えながら、地雷の起動スイッチを握る


3・・・2・・1・

カチッ!



ドッガアァァァァァァァァッァン!



ティタンワームの横っ腹で地雷が炸裂


ドザザザァァァァ…


ティタンワームは縦穴の中程まで落ちる

だがティタンワームは下まで落ちず、再度擦り上がろうとしている


「くそッ!仕方ない、岩落とすぞ!」

サイモン分隊長が、グレネードランチャーを構えながら叫ぶ


「こちら、射撃2!土魔法発動します、各員注意願います!」

俺はインカムで叫んでからモ魔を起動する



ドオオォォォォォォォォォォン!



サイモン分隊長がグレネードランチャーでティタンワームを打ち落とす

「これ以上爆発系は無理だ、縦穴が崩れる!」


「土魔法、ロード完了!撃てます!」


ティタンワームが再度、上がってくる


「撃てーーー!」


「発動!」

サイモン分隊長の叫びに合わせて、俺は土魔法を発動させる


と、その時ティタンワームが仰け反る

そのまま、バランスを崩し竪穴を落ちていく…


俺「え?」


サイモン分隊長「魔法止めろーーーーー!」


俺は慌てて発動停止コマンドをモ魔に打ち込む


キュキュキュゥゥ…


モ魔が動きを止める…いや、フリーズか?

モ魔と巻物はケーブルでちゃんと繋がってるしコマンドは通ったよな



俺は個人用情報端末、PITに地図と敵の位置を再度読み込む

敵は蟻と思われる反応が下に数匹

地下で通信状況が悪く、画面の更新が遅いな


「ティタンワーム沈黙、女王蟻撃破確認、蟻の残りを掃討せよ」

インカムから指令が流れる


ティタンワーム、タイミングよく倒せたみたいだ

何だよ!



キュイィィィィィン…


「ん?」

俺がライフルを構えたとき、俺のモ魔から音がした


「ラーズ!モ魔が止まってないぞ!」


「え!?」


ブオォォォォォォン…


「うわぁぁぁ! 何で!?」


俺はモ魔の停止コマンドを打つ…と、思ったらそもそも仮想モニターにモ魔のコマンド画面が出てこない!?


「フリーズしてコマンド受け付けません! 各員待避を!!」

俺は頭の中を真っ白にしながらインカムで叫ぶ



ズドドォォォォォ!


…土魔法が上方向、大岩が埋まっているであろう天井方向に地震波を発生させる音がする



ズドドドドドドドドドオォォォ……



目の前で天井が抜け、土煙が舞い上がる

質量の凄いのが落ちていく感じがする


俺は、伏せながら青くなっていた



・・・・・・



「通常PITに、モ魔起動、暗視カメラ制御、地図と索敵ナビを平行起動。しかも通信状態の悪い洞窟内で、中継アンテナ使わずに常時ナビを更新とか?」


「…」


「そりゃフリーズするだろうよ?」


「すみませんでした…」


「ただ、いろいろできるからと装備を見直してやらなかった俺達も悪かった。メモリ管理やビジー警告のためのAI導入も含めて再確認していこう」

俺は、情報担当、魔族の男性隊員ジードから説教をちょうだいしている


大失敗だ

仲間を危険に晒してしまった


被害が無くてよかったが…

どうしよう、死んじまいたい


AI買わなきゃ、PITの高グレードタイプ買わなきゃ…

金ねーけど…




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