表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
195/396

176話 討伐成功と撤収

用語説明w

MEB:多目的身体拡張機構の略称。二足歩行型乗込み式ロボット


ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

デモトス先生:ゼヌ小隊長が紹介した元暗殺者で、ラーズの戦闘術の指導者。哲学と兵法を好む

スサノヲ:見た目は赤ずきんをかぶった女の子。正体は、怪力の腕利き鍛冶職人でジャンク屋

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している


終わったのか…?

俺は呆然と横たわるキマイラを見つめた


「や、やったの…!?」

カヤノがへたり込む



長かった戦いが終わった

1991小隊の()()()()()を投入した、まさに総力戦だっだ



ロゼッタは少し離れた場所で昏倒中

サイモン分隊長は膝をついて回復薬を飲んでいるが、連続使用により効力が落ちているようで、まだ立ち上がれていない

カヤノも左半身に負った熱傷が酷い、すぐに治療をした方がいいだろう


キマイラの監視はドローンに任せて、俺達は作戦本部のテントまで重い体を引きずって行った



作戦本部のテント内で俺を除く戦闘員が横たわった

エマが回復魔法と点滴を施し、薬を処方していく


俺はナノマシン群の回復力があるので、みんなよりは多少ましなようだ



横では、ゼヌ小隊と査定員のBランク戦闘員が話している

Bランク戦闘員はビョルンという魚人の槍使いだ


「査定結果はどうですか、ビョルンさん?」


「まさかキマイラを討伐してしまうとは! しかも戦死者がいないし、文句なしの合格ですよ」


「まぁ、ありがとうございます。ビョルンさんがいれば、いざとなれば助けていただけると思って安心して見ることが出来ましたわ」

ゼヌ小隊は査定員の好感度を上げることも怠らない


…あの査定員、戦死者ってさらっと怖いこと言ったな

だが、確かにキマイラには、誰が死んでもおかしくない強さがった



…こうして、査定クエストが終わった

査定合格のお墨付きをもらえ、何より、全員が生きて帰れるという百点満点の結果だった




・・・・・・




そこからは大忙しだった


ゼヌ小隊長は単独で隊舎に戻り、特評価を受けるための根回しと報告、手続きに追われた


「ラーズ、怪我人を置いて行くことになってごめんなさい。拠点の撤収と素材回収、病院の手配の指揮をお願いね」


「え!? 私がですか!?」


「ええ、戦闘員で動けるのはあなたしかいないもの」


と、いうわけで何故か俺が臨時指揮官になってしまった



エレンに頼み、すでに呼んでもらっていた素材回収業者にキマイラの素材回収をしてもらう


シリントゥ整備長に、応援の小隊を使って作戦本部のテント内の資材回収をお願いする


俺はエマと共に病院への緊急搬送の要請を行う

リロは熱傷が酷く重症だったため緊急入院

カヤノとサイモン分隊長も怪我が酷く、念のため入院となった


ロゼッタとジードは魔力と氣力の著しい低下が原因で動ける状態ではないが、命に別状はないそうだ

隊舎の医療設備で回復を図ることになった



回収業者とが来た


「指揮官さん、素材の回収と処理は終わったよ!」


「はい、ありがとうございます! 中隊に連絡してありますので、査定部に持ち込みお願いします」


「冷蔵設備はあるんだよね? 生体素材は冷却魔法が切れたら痛んじゃうからさ」


「あー…、すみません。すぐ確認します!」



救急隊員がこっちに来る


「指揮官さん、救急ヘリで重症の子は持って行きました! 魔法のじゅうたんがあるからもう一人連れていけますよ?」


「あ、はい! エマ、カヤノの方が重症だよね?」


「ええ…。熱傷と骨折があるから…」


「カヤノ、女性隊員から搬送をお願いします!」



クルスとホンが来る


「ラーズ、作戦本部のコンピューターや医療機器は積み込んだぞ。隊舎に持っていっていいか?」


「あ、えーと、ちょっとお待ちを! 隊舎に連絡入れますね!」


「装甲戦車はもう出発しちゃうわよ?」


「あー、ついでに乗せてほしい荷物があるんですよ! もうちょっと待って下さいー!」



指揮官忙しいよ!

全部把握なんかできないよ!


「ラーズ!」


「ちょ、ちょっと待って下さい…!」


振り向くと、エレンが大きな光る歪な玉を持っていた


「見てください、この魔玉! Bランクの魔玉の中でも大きいですよ。この大きさなら、ラーズの新しい武器に使えるんじゃないですか?」


「おぉ…!」


キマイラが強すぎて、魔玉のことなんて完全に忘れていた!

無事に魔玉も手に入ったのか、やった…!



こうして、素材回収、病院搬送、資材撤収と全ての任務をなんとか終わらせ、俺達は現場を後にしたのであった



…ちなみに、作戦本部として使っていたテントを、たたんだまま現場に置き忘れたのは内緒だ

シリントゥ整備長にお願いして取りに戻ってもらっている


「何であんな大きいものを忘れるんだよ?」


「MEBを回収してもらった時に、一緒に持っていってもらったと思ってたんです。すみません…」




・・・・・・




全員が全員、疲労が限界ながらもなんとか隊舎に帰りついた


「みんなお帰りなさい!」

メイルが俺達を迎えてくれた


資材をバタバタと倉庫やMEBハンガーに放り込み、ジードとロゼッタを医療室に運ぶ


応援の防衛軍の医療担当の隊員に治療をお願いして、今日は解散となった


「よくやった。今日はゆっくりと休みなさい」

デモトス先生も労ってくれた


デモトス先生に誉めて貰えると、Bランクモンスターを倒したという大偉業を成し遂げた実感が沸いてくる



本来、貴重なモンスターの素材は防衛軍の調査と査定を終えてから小隊が処理方法を決める

だが、デモトス先生がゼヌ小隊長に許可を取ってくれ、俺は特別にキマイラの魔玉を受け取らせてもらった


スサノヲに、この魔玉だけ渡してしまおうと思ったのだ

俺はジャンク屋に向かった


「お、待ってたぜ」


「これだよ」


俺はスサノヲに魔玉を渡した

モンスターから取り出したばかりの魔玉は、まだただの魔力の結晶だ

これを精製することで、杖などに使う魔玉となるのだ


「うん、大きさも充分だし。質も良さそうだな」

スサノヲが魔玉を撫で回す



「な、飛空石加工って、城とか飛ばしてる有名なあれとは違うのか?」


「天空の城のやつか? あれはただ飛ばしてるだけじゃない。外部からの命令入力を処理するCPUの働きと、永続的に重力に抗い続ける特性を持っている超特殊加工だ。武器ごときに使う魔玉とは比較できない、全くの別物だぞ」


そうか、飛行石という名前が天空の城を浮かせる()()()()の名前と似てると思ったが、メカニズムから違いそうだな


「飛空石加工じゃなくて時空石加工も出来るぞ? こっちは、多少加速力が付くはずだ」


飛空石は空間を操作することによって、一般相対性理論による空間の歪みである重力を操作する


時空石は空間を伸縮させることで、特殊相対性理論による時間の変化、つまり目標までの到達時間を変化させる


…だから、俺は魔導物理学やってないから理解に時間がかかるんだよ!



「うーん、早く武器を振れるのは魅力だけど、飛空石の方がいいな。攻撃だけに使うわけじゃないし、質量軽減なら盾として使うときにも使えるから」


「オッケー、なら予定通り飛空石加工でいくからな」

スサノヲが、箱に大事そうにキマイラの魔玉をしまった


「結局、武器の制作にはいくらくらいかかりそうなんだ?」


「魔玉も手に入ったし、総額で一千万ゴルドってところかな」


一千万か…

最初は億とか言われていたから、かなり安く感じるな


「かなり下がったな」


「芯材も手に入ってるし、他にも流用できる武器が多いからな。高いのはオルハリコンの加工費用とパイルバンカー機構の購入費用くらいだな」


「分かった。金は少しずつ払っていくからな気長に待ってくれ」


もう特別クエストはないので、通常クエストで地道にためていくしかない


「ああ、分かった。よし、じゃあさっさと帰れ!」


「えぇ!?」


「必要な素材が全部揃ったんだ、もうお前に用はない! 完成したら連絡するからよ!」

そう言って、スサノヲは職人の顔になった


揃った素材の前で、ワクワクした顔で設計図を見直している


あー…、職人モードだ

もう話は終わりということらしい


俺は言われた通りにジャンク屋を後にしたのだった




メゾン・サクラ

オレの住むアパートだ


ちょうどアパート前の花壇で管理人のカエデさんが水やりをしていた


「ラーズ君。お帰りなさい。 …死にそうな顔してるけど大丈夫?」


「ちょっと過激な仕事だったんですよ。大丈夫です」


カエデさんに心配されるとは…

どんな顔してるんだ、俺?


だが、気が緩んで疲れが一気に出てきているのが分かる

ふらつく足で階段を上がり、なんとか帰り着く


「ただいま…」


「お帰り! よかったー、無事だったんだね」

フィーナがホッとした表情を見せる


「うん。心配してくれてありがとな」


「…大丈夫?」


俺は頷くが、もう疲れが限界だ

俺はベッドに崩れ落ちると、そのまま意識を失った…




評価、ブクマ、本当にありがとうございます

次は閑話になります



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ