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ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
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174話 キマイラ2 山羊

用語説明w

ジード:情報担当の魔族の男性隊員、補助魔法が得意

リロ:MEBパイロットの魚人隊員。十歳程度の容姿をしている

シリントゥ整備長:整備班の整備長。ドワーフのおっさん

データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI。戦闘用端末である外部稼働ユニットのデータ2と並行稼働している

リィ:東洋型ドラゴンの式神で、勾玉型ネックレスに封印されている

竜牙兵:黒竜の牙に魔属性と竜の魔力を封入し、幽界から骸骨戦士を構成する爪と牙を武器とするアンデッド


キマイラのライオンの頭が、俺とサイモン分隊長を睨み付ける


キマイラの後ろでは、切断された毒蛇がビタンビタンとうねっている


「毒蛇はまだ生きているぞ! とどめを刺せ!」

サイモン分隊長は冷静さを失わずに指示を出す


ロゼッタがトランスの疲労回復のために下がり、カヤノが毒蛇に雷属性範囲魔法を放った



バチバチバチ…!


毒蛇は電撃で痙攣したあと動かなくなった



毒蛇の切断された体には、アクセサリーと思われる腕輪が付いている

何の効果は不明だが、これでアクセサリーの効果がキマイラに及ぶことは無くなった



「サイモン分隊長、ロゼッタ、一度下がって回復を! スタミナが切れます!」

作戦本部のエレンから指示が飛ぶ


サイモン分隊長は、強烈なライオンパンチや爆破魔法を受け続けている

疲労がかなりたまっているはずだ


ロゼッタも、短時間の発動に押さえたとはいえ、トランスの影響で疲労の色が隠せない

二人は言われた通りに一度戦線から離脱する



「グルルルル…!」


ライオンが唸る

目を潰した俺に狙いを絞ったようだ



ちょうどいい、俺の通り名を教えてやるよ

俺の通り名は()()()…、道化は客の関心を引いてなんぼだ

お前が俺を見ている間に、信頼する仲間がお前をぶっ壊す


ピエロの仕事は主役じゃない、主役を輝かせる事だ

そう、俺の仕事は火力じゃない、サポートだ!



俺は火属性照明の魔石を小型杖に装填、魔法弾を発射する



パァッ…!


「グギャッ!?」



突然の閃光にキマイラが怯む

視界を奪うことに成功だ


ザクッ!


この隙に、リロのMEBがナイフで山羊を切りつける

山羊が爆破魔法を撃ち返す


ドオォン!


リロは盾を失っているので、一度距離を置いて避けた



俺の後ろで、ジードが魔力回復薬を飲み干した

そして、隊員全員の補助魔法をかけ直しに回る


「作戦を二段階目に進める。次のターゲットは山羊! ラーズはライオンの囮をお願いします」

エレンの指示


「了解!」


俺が答えた瞬間、キマイラが吠える



「グゴォォォォォォォッ!」



相手を萎縮させる、Bランクモンスターの雄叫びだ

心臓を鷲掴みにされ、冷や水をぶっかけられたような悪寒を感じる


ふと俺は、この小隊に入って最初に教わったことを思い出した


「気合いさえあれば何とかなるからよ」

サイモン分隊長の言葉だ


「うおぉぉぉぉっ!」

俺は吠えた


気合いで自分を奮い立たせる

心が負ければ動けなくなる、気合いを入れろ!



リロのMEB、カヤノの魔法、俺の銃弾で三方向から攻撃


「データ、ハンドグレネードを!」

倉デバイスの管理をデータに任せ、俺は陸戦銃でライオンの耳や目、鼻を狙う


ライオンが口を開ける

口の中に炎が見えた


炎のブレスだ

俺は、ライオンの口の中にハンドグレネードを投げつける


神話の時代、キマイラのライオンの口に鉛を放り込み、自らが吐く炎で溶かさせ窒息死させたという伝説があるらしい



ドッガァァァァァァァァン!


炎の熱でハンドグレネードが爆発、ブレスを阻止する



よし、追撃だ!


俺がエアジェットで飛び込んだ瞬間、カヤノが空中に跳んだのが見えた

お互いに、何も言わなくてもやるべき事が分かっている



俺はライオンの右頬、カヤノはサイキックの衝撃を杖の刃に纏わせて山羊の頭を強襲



ドッゴォォン!

ズガァァッ!


「グオォォッ!」



それぞれの攻撃が突き刺さる

だが、キマイラはその一撃を耐え、地面に爆破魔法を放った



ドッガァァァァァァァァン!


「がっ!?」 「きゃぁっ!」



爆破魔法に巻き込まれ、俺とカヤノが吹き飛ばされる

ジードの耐魔力魔法と護符による魔法防御の二重の守りでなんとか軽減できた、まだ戦える!


同時に、キマイラはその爆発を利用して大ジャンプを行った



ドッガァッ!!


「うあっ!?」



空中からの強襲でリロが隙を付かれた

MEBが倒される


まずい!


「ヒャン!」


その時、空中からリィが山羊を襲い、ジードが火属性魔法を付加した矢で攻撃


爆発で吹き飛ばされた痛みを我慢して、俺もキマイラに突っ込む


キマイラが俺達を振り払った隙に、リロのMEBが立ち上がる


「ガアァァッ!」


キマイラが両の前足を振り上げ、二本足で立った

前足の爪に体重をかけて、リロのMEBに襲い掛かる


だが、リロは分かっていたかのようにMEBの腰を落とし、一歩踏み込む

そして、MEBの両手でキマイラの右前足を掴み、回転しながら背負うように投げ落とす



ドッゴォォン…!



背負い投げだ

ライオンと山羊の頭を地面に直撃させるようにきれいに落とす


「凄い…!」


その動きを見て俺は理解した

リロは凄い、()()()()の動きを見ているのだ



だが、キマイラもただでは投げられなかった

体をひねって、山羊の頭が下になるように落とされる

投げられると同時に、ライオンの口から炎のブレスを吐き出した



ボオォォォォォォォーーー!



すさまじい炎に包まれた瞬間、リロのMEBの右腕が弾ける



ドゴォッ!



パイルバンカーだ

炎を受けながらも、パイルバンカーで山羊の角と頭皮を抉り取った


「キョエェェェェェェ!」


脳ミソを露出させた山羊が気持ち悪い声で鳴いた

山羊が呪文を魔力で構成、爆破魔法の詠唱に入った


リロのMEBは、炎の影響で動かない!


「魔法を撃たせるな!」

ジードが叫ぶ


俺はエアジェットで突っ込みながら、反射的に山羊の脳みそに左手を突き出す

武器を取り変える時間はない、今の最速の攻撃は俺の左腕だ


俺はナノマシンシステム2.0を発動しながら、左手を2().()1()で動かす

左の前腕内で銃を組み立て、取り込んでいた銃身を拳の上から突き出す



当たれ!


ダァン…!



一発の銃弾が俺の前腕から発射され、むき出しの脳ミソに直撃

山羊は、ビクッと痙攣して動きを止める


だが、銃弾の大きさに対して山羊の脳みそが大きすぎる

銃弾一発で脳の機能は死なない


「行け!」


俺は、竜牙兵を呼び出しす

山羊に向かっている俺から射出され、加速された竜牙兵が山羊の脳みそに突っ込んだ



グジュルッ…!


「キョエェエェェェ…」



山羊はよだれを垂らしながら、脳みそを竜牙兵にえぐられている

グロすぎる…、何なんだこの光景は!?



「グオォォ!」


ボオォォォォォ!



キマイラに残った最後の頭であるライオンが、怒り狂って炎のブレスを山羊の頭に向かって吐き出した



「キョエ……ェ…」


炎に包まれや山羊と竜牙兵が高熱で炭になっていく



「ラーズ! この隙にリロを救出しろ!」

ジードが叫んで、俺に補助魔法と強化魔法をかけ直した



俺は、リロのMEBに走る

MEBは重すぎて、とてもじゃないが運べる代物ではない


俺は、MEBの装甲の外側にあるコックピットの開閉スイッチを操作して、コックピットを開ける

コックピットのシートには、リロが意識を失った状態で身を預けている


リロの息はある

その体には、耐火属性の護符が使われていた

整備班が施したMEBの耐熱改造と護符が、リロを炎ブレスの高熱から救ったようだ


俺はすぐにリロを抱き上げ、シートに座る

MEBを操縦して、とりあえずキマイラから離れるしかない


落ち着け!

俺だって操縦は習った、まずは立ち上がることからだ


俺は、半自動化した動作、「立ち上がる」の操作をする


「うおっ!?」


大きく揺れながら、MEBが立ち上がる


よし、次は後退だ

俺は、膝の角度センサーと右のレバーを操作、後進のギアを入れてフットペダルを踏みこむ


ズシッ ズシッ ズシッ…


MEBは後ずさるように下がっていく

開いたコクピットから、カヤノとジード、そして復帰したサイモン分隊長がキマイラと戦ってくれているのが見える


今、キマイラに襲われたらMEBを間違いなく失うことになる

早く! 早くしろ!!


「ご主人! ストップ! 応援が来てくれたよ!」

データが教えてくれる


ドローン映像を見ると、シリントゥ整備長が走って来てくれていた

あぶねぇ! 見えてなかった!

データが教えてくれなかったら踏みつぶしていたかもしれない

初心者ドライバーはバックの安全確認が苦手なんだ!



「ラーズ! MEBはわしが操縦する! リロをエマのところに連れて行ってやってくれ」


「分かりました!」


俺はリロを抱きかかえてシートから立つ

シリントゥ整備長がリロに回復薬をぶっかけ、代わりに操縦席に座った


俺はコクピットから外に身を乗り出す


「え!?」


MEBから出た瞬間、クルスとホンの装甲戦車がキマイラに突っ込んでいくのが見えた



…山羊を倒した

さあ、最終ラウンドの始まりだ




戦況


・キマイラ


ライオン 片目破壊 怒り(大)

山羊 脳破壊により討伐

毒蛇 切断により討伐



1991小隊


サイモン分隊長 疲労(中)

カヤノ 爆破魔法により負傷(中)

ロゼッタ 疲労(大)

リロ(MEB) 戦闘不能

ラーズ 爆破魔法により負傷(小)

ジード 魔力疲労(大)


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