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ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
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172話 査定クエスト

用語説明w

ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

メイル:1991小隊の経理と庶務担当、獣人の女性隊員

デモトス先生:ゼヌ小隊長が紹介した元暗殺者で、ラーズの戦闘術の指導者。哲学と兵法を好む

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している


今日はゼヌ小隊長から重大な発表があるらしい


「みんな揃ったわね。じゃあ、よく聞いて」

ゼヌ小隊長が話始めた


なんと三日後からの一週間、各ミッションから1991小隊が除外される査定期間に入るとのことだ

従って、防衛作戦が発令されることがなく、更にクエストも受注しなくていいらしい


では、防衛軍としての仕事が無いこの一週間は何をするかというと…


「我が1991小隊は査定クエストを受けます。Bランクモンスターと戦い、小隊評価として()をもらうことが目標よ」



査定クエストはBランクモンスターとの戦闘状況を査定されるのだが、討伐までする必要はない

一定時間、被害を抑えながら足止めができればいいのだ


だが、Bランクモンスターの圧倒的戦闘力の前では、かなり高難易度なミッションとなる

実際に、査定クエストで殉職した隊員が多数いる


そして現在、査定に合格して特の評価を受けている小隊はたった4つしかない

特評価を得ることがどれだけ難しいのかが分かる数字だろう


Bランクモンスターを足止めできる小隊とは、それだけの実力を持つ小隊なのである



「装備を強化したとはいえ、正直、うちの小隊の総力を挙げて臨んでも成功率は五分五分だと思っているわ。それなのに、このタイミングで無理して査定を受ける理由は…、この査定クエストが終わってから話します」

ゼヌ小隊長が含みのある言い方をした


何か特別な理由があるってことなのかな?


ゼヌ小隊長が俺の方をチラッと見た

「いろいろあったみたいだけど…、無事解決したようでよかったわ。討伐するBランクモンスターは、()評価とラーズの武器の素材の一石二鳥を狙ってキマイラにしようと思っています」


うう…、気まずい

小さい小隊だし、サイモン分隊長に怒鳴られた件はみんな知っているんだろう

小規模な人間関係のいいところでもあり、悪いところでもある



結局、サイモン分隊長が話を通してくれていたこともあり、査定クエストの討伐モンスターはキマイラに決まった


キマイラは既存の生物が複数組み合わさったような姿をしている複合系と呼ばれるモンスターの一種だ

魔玉も複数の系統の要素が混ぜ合わさっており、いろいろな特殊加工が行える便利な特性を持っている

もちろん、飛空石加工も可能だ


「特評価を得られれば、Cランクの人数が多すぎるという人事上の問題もなくなるわ。がんばりましょう」

最後にゼヌ小隊長が締める


うちの小隊はCランク戦闘員が多すぎる

普通は人事異動で他の小隊に持っていかれてしまうのだが、特評価を得られれば、Bランクモンスターの足止めができる貴重な小隊となるので文句を言われることもなくなるだろう




・・・・・・




査定クエスト

Bランクモンスター キマイラとの戦闘

キマイラ Bランク、ライオンの頭と前足、山羊の頭と胴体と後足、毒蛇の尻尾を持つ

ライオンの頭は口からは火炎を吐き、山羊の頭は攻撃魔法を操り、毒蛇の尻尾は毒を操る


力学バリアを展開しているため、遠距離攻撃は効果が薄くバリア内での接近戦強いられる

クエスト情報

査定クエストとなるので、規定時間モンスターを足止することが目標で、必ずしも討伐までする必要はない

Bランク戦闘員が査定するが、万が一の場合、必ず助けられるわけではない

負傷や殉職は小隊の責任となるので、考慮したうえで挑戦すること



「査定クエストは撃退でも問題ないわ。でも私達は、Cランク六名、Cランク相当一名を要する小隊よ。キマイラは撃退ではなく討伐を目的とします!」

ゼヌ小隊長が宣言して、作戦会議を始める


査定クエストの期間は一週間

この一週間の間に、モンスターの選定、査定戦闘員の要請、モンスターの発見、討伐or撃退を行わなければならない


デモトス先生がキマイラの資料をモニターに表示させる

机の上には地図を広げた


ちなみに、デモトス先生は1991小隊所属ではないので今回の作戦には参加せず、アドバイザーの立場だ


「現在、ジード君がキマイラが目撃された現地に入っている。現地の宿に泊まりながら、地形の把握とキマイラの探索を行う予定だ」


そうか、ジードはもうキマイラを探してくれているのか

情報担当がいるだけで、索敵という精神をする減らす作業から解放される

本当にありがたい



次に、メイルが手を上げる

「今回、護符を複数確保できました。戦闘員は鎧や盾に付けて、適宜使用して下さい」


「さすがメイルね。貴重な護符を確保してくれるなんて」

ゼヌ小隊長が言う


Bランクモンスター相手にアイテムはケチれない

護符のおかげで生存率がかなり上がるだろう

予算と購入、経理の操る金の動きで小隊運営は成り立っている



「作戦本部の設営はワシがやるぞ」 「私も行きます」

シリントゥ整備長とエレンが手を上げる


事前に現地に行き、戦場となる現場の近くに作戦本部のテントを作る

テント内には、コンピューターやモニター、通信機気を設置し、ドローン等で情報を取る情報拠点する

オペレーターはエレンが担当し、ジードと連携して情報班として活動する予定だ


「私も事前に現地入りします…」

エマも手を挙げた


更に、応急用の医療機器を持ち込み、エマが待機して医療拠点も兼ねる

負傷者を連れて来られれば回復魔法での治療も見込める


「それなら俺達が装甲戦車で送って行こう。戦闘では力学バリアがあってダメージは稼げないが、いざとなれば気を引くことはできるし、作戦本部の防衛も出来る」

クルスとホンが手を上げる


装甲戦車の火力は高いが、遠距離攻撃を防がれる力学バリアの前ではあまり活躍が出来ない


これで戦闘準備は終わりだ



「よし、次は討伐方法を決めよう。エレン、モンスターの説明を」

デモトス先生がエレンを見る


「はい。キマイラは、機動力はそこまで高くありません。しかし、ライオンの口から吐く炎のブレス、山羊が唱える魔法からなる広範囲攻撃が驚異です」

エレンがキマイラの動画を再生しながら説明する


「更に尻尾の毒蛇も毒の牙で襲ってきます。これにも気をつける必要があります」


戦闘班の面々が口々に意見を出す


「キマイラは攻撃方法が三つあるということか。ライオンと山羊、蛇を集中攻撃して各個撃破していくべきだと思う」


「賛成です。各個撃破の難易度的に、毒蛇からやるべきかと」


「二番目は山羊かなぁ? 魔法攻撃は厄介だもんねぇ」


「各個撃破のために、動きを封じる手段が欲しいよね! ライオン、山羊、蛇が揃った状態だと攻撃が激しそうだし」


どんどん意見が出て来る

強敵に対する緊張感…、皆が必死に考えているのが分かる

敗北=殉職なんだから当たり前だ


だが、俺は緊張感の他にもう一つ感じていることがある

それは()()()

強敵に挑むことは怖い、それなのに同時にワクワクしてしまっている


命をかけた戦友

泥にまみれ、そして一緒に立ち上がって来た仲間

この仲間となら何とかなる、そんな気がするんだ



…今、改めて気が付いた


これは信頼感だ

俺には、こんなに信頼できる仲間がいる


俺が精一杯戦ってきて、一緒に努力して、そして受け入れて貰った仲間

これは、B()()()()()()()()()()


今まで、Bランクの戦闘力だけに拘っていた

でも、拘る必要なんかなかった


信頼感と連携力

Bランクに匹敵する力を、俺はもう持っていたんだから




・・・・・・




「Bランクモンスター!? 闘氣(オーラ)も無いのに大丈夫なの?」


「ま、何とかするさ。フィーナはキマイラと戦ったことはあるのか?」


「うん、三回くらいかな。私は単独でも倒したことあるよ?」


…そうですかー!

やっぱり、Bランクの騎士は凄いな


だが、比べたって仕方がない

俺には最高の仲間がいる、今の俺達の力を思いっきりぶつけてやるだけだ


…うん、なんか、急にBランクへの劣等感が吹っ切れた気がする


「気をつけてね?」

フィーナが心配そうに言ってくる


「もちろん」

俺は頷く


もうBランクのフィーナに劣等感を感じる必要がない


戦闘力の差はある

だが、それを僻んでしまうから劣等感を感じてしまうんだ

自分の持ってるもの、自分の出来ることをちゃんと理解すれば僻む必用はない


小さな気付きだと思ってたのに、いろいろな見方が変わった気がする

…今までの俺って、本当に小さかったんだな


仲間がいる

それだけのことに気が付いただけで、変な拘りが消えてしまった



戦闘力なんか関係ない

今なら、フィーナのことをちゃんと考えられる


「ん?」

フィーナと目が合う


「いや…」

俺はなぜか恥ずかしくなり、すぐに目を逸らす


…フィーナとのことは、無事に帰れてから考えようかな




評価300いきました…、感謝!

友達(ブクマ)百人出来るかな…!?


評価、ブクマ、本当にありがとうございます

次話から五章最後、強敵との戦いです

読んでいただけたら嬉しいです

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