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ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
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164話 新武器の設計図 ver.1

用語説明w

ヴァヴェル:魔属性装備である外骨格型ウェアラブルアーマー。身体の状態チェックと内部触手による接骨機能、聖・風属性軽減効果、魔属性による認識阻害効果を持つ


フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している

スサノヲ:見た目は赤ずきんをかぶった女の子。正体は、怪力の腕利き鍛冶職人でジャンク屋


眼球破裂という重症を負ったため、念のため休みを貰った

眼科に行き、目の検査を一通りやって特に異常は無し


普通なら失明確実なのだろうが、再生医療のお陰で欠損した部位の再生も可能となっている

ありがたいことだ


ちなみに、俺の両目は青色なのだが左右で微妙に色が違う

左目が少し濃い青色で、この色の目は「竜眼」と呼ばれている

…別に特殊能力があるわけではなく、ちょっと珍しい色ってだけだ


ちなみに、セフィ姉の目も青色で、右目が少し濃くなっている

セフィ姉の濃い青色は俺とは少し色が違い、こちらは「龍眼」と呼ばれている




「え!? 大丈夫だったの?」

フィーナがビックリして目を除き込んできた


いや、距離近いから!


「うん、再生医療も上手くいって、視力も問題なかったよ」


左腕が暴発した件をフィーナに話したら、案の定心配されたのだ


「銃って危ないんだね。体に武器を仕込むなんて大丈夫なの?」


「うん、気を付けながら試してみるつもりだよ」


「…チャクラ封印練が終わったら銃なんか必要なくなるのに、そんなことをする必要あるの?」

フィーナが首を傾げる


あと数年で俺のチャクラ封印練の期間が終わる

そうしたら、昔のように魔法や特技(スキル)が使えるようになるので銃は必要なくなるという意味だろう


だが、俺の考えは違う

()()()()

魔法や特技(スキル)とは違う強さを持っている


それを検証、証明するためにも、早くナノマシンシステム2.1を完成させたいもんだ




・・・・・・




今日は、フィーナを連れてスサノヲの店に行く


セフィ姉からも、属性装備のヴァヴェルを作ったスサノヲを紹介してと頼まれていた

また、武器防具を作る鍛冶職人業界でブラックリストに登録されているスサノヲに龍神皇国から仕事が舞い込む可能性もある


双方にメリットがあると思ったので、フィーナとスサノヲを紹介しようと思ったのだ



いつものようにジャンク屋に入る

この店の一階は魔界を詰め込んだような商店になっている

フィーナ、ビックリしないかな?


「うわっ、これマンドラゴラ! こっちは大冬虫夏草に嘆きの種! 何でこんな貴重な素材が売られているの!?」

フィーナが棚を嬉嬉として見ている


あれ、予想と違うな…

棚に並んだ気持ちの悪い素材は、フィーナから見ると貴重な物だったらしい


店番の婆さんに挨拶して、フィーナを地下に連れて行く



工房にはスサノヲが待っていた


「おう、来たか」


「スサノヲ、お待たせ」


俺はフィーナとスサノヲ紹介する


「こっちがフィーナで、龍神皇国騎士団に所属している。こっちはスサノヲ、腕はいいが業界のブラックリストに登録されている困ったちゃんだ」


「「よろしくお願いします」」


お互いに丁寧に挨拶

女子って、挨拶はしっかりするよなー

スサノヲにはジロッと睨まれたけど



二人は連絡先を交換し、スサノヲは工房内の作品をフィーナに説明する

これで龍神皇国とのパイプが出来れば仕事も増えるなかな


でも、そうしたら俺の武器とか作る暇が無くなりそうだな

それはちょっと寂しい気も…


「おいっ!」


「うわっ!?」


突然スサノヲに声をかけられる

ビックリした…!


「脅かすな!」


「お前がボーッとしてるからだろ」

そう言って、スサノヲが俺とフィーナにお茶を入れてくれる


「もう挨拶はいいのか?」


「私はスサノヲさんの作った属性装備をもう見ているからね。実力は分かってるよ」

フィーナがお茶をいただく


そうか、俺のヴァヴェルをセフィ姉もフィーナも直接見ているからな

スサノヲの作品を改めてチェックする必要はないか


スサノヲもテーブルについてお茶を飲む


「ラーズの属性装備が完成してからいい流れが来ているよ。デモトス先生の紹介で1991小隊からの発注が来ているし、今日は龍神皇国の騎士団との繋がりが持てたし。フィーナさん、改めて宜しくね」


女子二人がキャイキャイ話している

女子って複数集まるとすぐ会話が弾むよな

男の会話と何が違うんだろうか?


だが、実力のあるスサノヲに仕事が行くことは、客にとっても良いことだろう

…って、1991小隊でスサノヲに発注かけたのって誰なんだ?



小一時間、女子二人がおしゃべりに華を咲かせた後にようやくこっちを向いた


「…せっかくフィーナを紹介したんだから、俺に何かサービスしてくれよ」


「分かってるって。さ、仕事の話だ」


スサノヲはモニターに何かの設計図を表示した


「これは?」


「ラーズに言われた新しい武器の設計図だよ。一応、お前の要望を詰め込んだつもりだから確認してくれ」


「考えてくれていたのか?」



以前、風の道化師に襲われた際、俺は奴にダメージを与えられなかった

そこで、火力武器をスサノヲに考えて貰っていたのだ

他にも、対大型モンスター戦で防御にも使える大型武器を要望したり、パイルバンカーなどの武器を頼んだ

果たしてどんな武器を考えてくれたのだろうか



俺は設計図を見た

形は少し変わっているが、どうやら大剣のようだ

変形機構が付いているらしい


大剣の先端が、膨らんだ槍の穂先のようになっており、その下が二股に別れている

一方は片刃になって柄まで伸びており、もう一方は一本の棒となっていて、持ち手として使えるようになっている

俺が言った、敵の攻撃を受け止めやすい形状をこの持ち手で実現したのだろう


「この変形機構は何ができるんだ?」


この大剣は、刃体と芯材が組み合わされて出来ている

穂先と片刃からなる刃体部分が、芯材の柄部分に回転軸と共に接続されているのだ


変形機構は、この刃体部分が可動式になっているようだ

接続部分を中心に、刃体が芯材から30度ほど()()()()にせり出すようになっている



「この刃体を動かす機構がこの武器の目玉なんだ。なんと、パイルバンカーの機構をそのまま流用して刃体を射出するんだぜ!」


「パ、パイルバンカーを?」


パイルバンカーは、杭を火薬の力で打ち出す

同様に、この大剣は火薬の力で刃体を射出して対象に叩きつけるという構造らしい


「大剣で対象を斬る。そのインパクトの瞬間に刃体を射出すれば、大剣の斬擊にパイルバンカーの威力を上乗せ出来るってわけだ」


パイルバンカーの機構を使って、火薬の力で刃体の射出すれば、30度とはいえかなりの威力になるはずだ

しかも、硬質の刃体は弾丸と違って再利用が出来る


「…なるほど、凄いな」


俺は使い分けるつもりで、攻撃を受け止めやすい形状の大型武器やパイルバンカー、火力武器を要望したのだが、これらを一つの武器にしてしまったのか…!



「なあ、この大剣、槍も意識した作りにもできないかな。突きを意識すればリーチをもっと生かせると思うんだ」

俺も思いついた意見を言ってみる


俺はドラグネル流の剣術と槍術をセフィ姉から習っていた

剣と槍の特徴があれば応用が効くはずだ


「大剣と槍のハイブリッドか…、難しいな」


「この刃体の射出方向なんだけど、切る方向だけじゃなく突く方向にも射出できないか? リーチも生かせるしさ」


「突く方向? うーん…、難しいが考えてみるよ」

スサノヲは頭を捻りながらも考えてくれる



「へー、面白い武器ね」


フィーナも興味津々だ

やっぱり同業種だからな


「大剣の長さがあるから、この穂先の部分の真ん中に魔玉を埋め込めば杖としての機能もつけられるんじゃない?」

フィーナが穂先の部分を指す


「ラーズは魔法が使えないんだろ?」

スサノヲが聞いてくる


「うん、今は使えない。けど、モ魔の威力をあげられるなら杖機能があるのはいいと思うな」


「なるほどね」

そう言って、スサノヲは設計図に魔玉とメモを書き足す



魔導師の杖は術者の魔法を強化する

通常、魔法は発動時に必ず威力が減衰しているのだが、正確にはこの減衰量を軽減する効果がある


魔導師の杖には、魔玉と()()()()()()()()()の部分が必要で、魔石の魔法を発動するだけの場合は柄は必要ない

よって、魔法をメインに使わない兵士は長くてかさばる杖は持たず、魔法を強化する機能のない小型杖のみを携行するのだ


大剣は元から長さがある武器なので杖の柄の長さを確保でき、魔玉だけつければ魔導師の杖としての機能を持たせることが出来る

実際、槍や大型の斧に魔玉を仕込み、魔導師の杖の機能を持たせた武器などがあった



「問題はコストなんだ。まだ計算してないんだが、かなりの高額になっちまいそうなんだよな…」

スサノヲが困った顔をする


「この武器の芯材には、かなりの硬度が必要になりそうだよね。芯材の素材だけでもかなりの値段になりそうだよね」

フィーナが軽く計算する


「刃体の素材もだな。刃体の硬度で破壊力が決まってくるから、ここをケチるとこの武器の意味が無くなるからな…」


大剣としての強さを決める芯材は、パイルバンカーで射出された刃体を受け止める衝撃に耐える強靭さが必要だ

当然、いい素材が必要となる


「ま、一度設計し直して、杖や槍の機能と刃体の射出方向を考えてみる。明日また来いよ」


「明日!? 設計し直すの早くないか!」


「職人にとって、設計は趣味みたいなもんだぞ?」

スサノヲは何でもないように言いう


職人って凄いな…


早くもぶつぶつと職人モードに入ったスサノヲに挨拶をして、俺達は店を出るのだった





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