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ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
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157話 調査報告会 三回目

用語説明w

バックアップ組織:各地のテロ組織に、資金、技術、人材を提供し、その活動をバックアップする謎の組織


ジード:情報担当の魔族の男性隊員、補助魔法が得意

デモトス先生:ゼヌ小隊長が紹介した元暗殺者で、ラーズの戦闘術の指導者。哲学と兵法を好む

オズマ:警察庁公安部特捜第四課の捜査官。ゼヌ小隊長と密約を交わし、1991小隊と「バックアップ組織」の情報を共有している


帰って、フィーナと夕食だ

今日は気合いを入れて、手巻き寿司セットをテイクアウト

自宅で月を見ながら食べるのだ


「たまにはこういうご飯もいいね」


「黒竜の人生の区切りに、月でも見ながら酒でも飲もうと思ったんだ」


「…なんか詩人みたいだね。どうしたの?」


「あれだけ孤独に頑張っていた黒竜が、誰にも知られることなく死んでいったのが寂しいんだよ。俺だけでも、黒竜を思い出してやりたいと思ってさ」


フィーナとゆっくり酒を飲みながら月を見る

なんか、静かな会話に癒されるな


最近は、俺の頼みで小隊を動かしてしまい、セフィ姉やフィーナにまでお願いをしてしまった

黒竜討伐を水面下で行うための企画や調整という慣れない仕事をしたのだが、失敗するといろいろと迷惑をかけるというプレッシャーもあって疲れてしまった


分かっていなかったけど、責任を伴うゼヌ小隊長の仕事も大変だ

俺なんか、身内の調整だけで疲れちゃうんだから



「本当は、私も羽衣で活躍したかったのに…。セフィ姉が頑張り過ぎちゃうからー…」


フィーナが酔っぱらって来たようだ

家飲みって、なぜか酔っ払うんだよな…


正直、突然Bランクとの戦闘になるとは思っていなかった

セフィ姉とフィーナがいなければどうなっていたことか


対Bランク戦闘、俺に出来るものなのかな…




・・・・・・




隊舎に出勤すると、ゼヌ小隊長に呼ばれた

俺は小隊長室に向かう


…部屋の中から複数の気配を感じる


良くない感じがするな

だが、上司に呼ばれている、逃げるわけにはいかない


何か方法はないか…?


「ラーズ、早く入りたまえ」


「うぐっ! はい、入ります!」

中からデモトス先生に呼ばれ、仕方なく中に入った


ゼヌ小隊長、ジード、デモトス先生

…そしてオズマがいる


この面子はまずい

そもそもオズマの存在がまずい

こいつがいると、今のところ100%ろくなことになっていない


「…何だ。人の顔をじろじろ見て」


「…いえ、オズマがここにいる理由を考えていたんですよ」


「聞いていないのか? 調査報告だ」


やっぱりだよ!

報告って、報告で終わったことなんかないじゃん!


「ラーズ、とりあえず座って?」

ゼヌ小隊長に促されて、渋々座る


オズマが立ち上がった


「では、捜査状況から話します。分かってると思いますが、いろいろお願いしますよ」

そう言って、オズマは話始めた


お前、警察の情報を垂れ流すのに抵抗なくなってきてないか?


「マフィアやテロリストからの情報を精査しているのですが、必ず企業や会社に行きつくことが分かりました。ただ、捜査線上に上ってくる企業や会社は五十を越えており、一回しか関わっていないという会社も多いです」


金の流れ、人の流れ、各種履歴、それを捜査していくと、必ず法人にたどり着く

ただ、その法人が複数に及んでおり、業種もバラバラなのだ


「各企業については捜査を続けて行きます。ただ、気になる情報が出てきておりまして…」


オズマが報告した()()()()()()


それは、「環境破壊」と呼ばれる組織の名前だ

この組織の詳細は一切が不明

ただ、金や人の流れを追っていくと、たまに名前が上がって来るらしい


「もしかすると、バックアップ組織の母体の可能性も…、と考えていますが、まだなんとも言えない状況です」


オズマが報告を終えて座る



「次はラーズ、風の道化師との会話を報告してくれ」


「あ、はい!」

ジードに言われて、焦って立ち上がる


毎回だけど、事前に言ってよ!

いや、バックアップ組織関連だから報告は当たり前か…



俺は、黒竜の洞窟近くで交わした風の道化師との会話を報告する



「最初に言われたことは、トウク大港近くの路地裏で会ったことでした。私が会った女は風の道化師の可能性が高いですね」


しかも、風の道化師は俺の名前を調べていた

またどこかで会うのかな…、嫌だな


「他には…」


俺は風の道化師との会話を思い出す


・風の道化師が防衛軍の情報を調べられること

・バンパイアを黒竜に仕向けたのは風の道化師の可能性が高いこと

・バンパイアは、()()()()()()()()()に頼まれて仕向けたこと


「私がした会話は以上です」

俺の報告が終わると、オズマが難しい顔をしていた


「神らしきものの教団とはなんだ?」


いや、俺も知らねーよ

すると、デモトス先生が答えてくれた


「神らしきものを復活させるべき、という教義を持つ宗教だね。シグノイアでは珍しいが、ギアに本拠地があり、大きいとは言えないがそれなりの規模を持っている。だが…、」

デモトス先生は、一度話を区切る


「…この教団の実態は傭兵集団だ。各地のテロ組織に無作為に力を貸し、見返りに金と信者を得る。シグノイアに進出して来ているならテロ組織の助長になるのは間違いないだろうね」



神らしきものの教団とは、現在の世界は神らしきものに滅ぼされるべきとの教義を持つ

すなわち、現在の全ての国や政府、体制を批判しているのだ


この教団がバックアップ組織の実態なのか、それとも共闘しているのか、現在はまだ不明だ

環境破壊という組織との関係もまだ不明


だが、情報は増えてきている



「もっと情報が欲しいですね。よし、警察でも神らしきものの教団について調べてみたいと思います」

オズマが立ち上がった


調査報告会は終わりだな

いい情報が集まってきたし、オズマとの()()はいい方向に進んでいるのではないだろうか


それに、今回は危険なお仕事もなさそうだ

ホッと、心の中で胸を撫で下ろす



「オズマ君、まぁ待ちたまえ。ラーズ、風の道化師は今回どうなったのかね?」

デモトス先生がオズマを引き止め、俺に聞いてきた


「え? 風の道化師は、姉さ…、いや、謎のBランク戦闘員と戦闘になっていて、負傷して逃走しました」


「道化師の怪我はどうだった?」


「腹部を切られていて重症だと思います」


デモトス先生が頷く


「つまり、道化師は現在、傷を癒すために隠れていると考えられる」


うん、確かにそうだ

闘氣(オーラ)の傷は、闘氣(オーラ)の減少を引き起こし、しばらくは療養が必要になるのだ


「では、ジード君、話してくれるかね?」

デモトス先生がジードに話を振った


ジードがモニターに地図を表示させた

そこは、トウク大港近くの路地裏、俺が風の道化師と接触した場所から近い、海沿いの倉庫のようだった


「ここは風の道化師のアジトの一つと思われる。デモトスさんとオズマの調査により間違いはない。ラーズ、どう思う?」


「え!?」


どう思うって…どういうこと?


「風の道化師が療養中の可能性が高く、風の道化師のアジトに間違いない場所が特定されている。この状況をどう思うかと聞いているんだよ」

デモトス先生が微笑む


デモトス先生は神族のはずだ

だが、その微笑みは悪魔のものだ

生まれ方を間違えていませんか?


「…理由を見つけて警察でカチ込むということですね! その場合、1991小隊()()()バックアップに回るべきだと…」


「ここで得られる情報は超重要情報だ。バックアップ組織が警察や防衛軍の中にも力を持っていることは分かっているだろう? 正規に手に入れるわけにはいかない。隠滅される可能性がある」

ジードが首を振る


「…では、小隊の総力を上げて、秘密裏に襲撃を行うわけですね?」


「小隊規模で動くのに、秘密裏にというのは無理よ。襲撃目標が町中だと、黒竜の時みたいに理由をでっち上げて出動するのも無理があるわ」

ゼヌ小隊長が残念そうに首を振る


「…いや、でも…ど、どうすれば…」


まさか…?

いや、ここまで来れば俺にも流れが掴めた…


「ラーズ、今回の訓練内容は()()だよ。いい訓練になると思うんだ」

デモトス先生に死の宣告をされる


結局、俺の単独襲撃かよ…!

なんなんだよ、毎回毎回!


だが、切り替えろ、情報を集めないと()()()死ぬ


「…地図、把握事項、見取り図、情報を全て下さい」


やらされる姿勢が一番危ない

自分で全ての情報を精査する、なぜなら襲撃するのは俺だから


「うん、いい知識欲だね」

そう言って、デモトス先生が見取り図を表示して説明の準備を始めた


やっぱり最初から俺の単独襲撃は決まっていたんですね?


珍しく、オズマが黙って俺の顔を見ている


「…何ですか?」


「いや、なんか、かわいそうになってきてな」


同情するなら代われや!

いい加減にしろ!


心の中でオズマに八つ当たりしてやった



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