表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
171/396

154話 黒竜討伐3

用語説明w

サイモン分隊長:MEB随伴分隊の分隊長。巨人族の血を低く巨漢で丸坊主。蒼い強化紋章を使う(固有特性)

カヤノ:MEB随伴分隊の女性隊員。思念誘導弾を使い、飛行ユニットによる空中戦が得意なサイキッカー(固有特性)

セフィリア:龍神皇国騎士団に所属、B+の戦闘力を持つ。ラーズの遠い親戚で、五歳年上の憧れの竜人女性

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している



ズゥゥン…



黒竜は静かに倒れた


成長したフォウルのサンダーブレスは黒竜の喉を直撃し、穴を穿った

更に、体内の侵入したサンダーブレスが黒竜の全身を駆け巡り、一瞬で衰弱した黒竜の命を焼き切ったのだ



「…」



しばしの無言


人知れず黒竜の命が終わった、ただそれだけだ

だが、その生きざまを知った俺には哀しさが残っていた



ピー! ピー! ピー!


突然、その静寂を電子音が破った

ジードのインカムらしい


「はい、ジードです」


これは、地上のゼヌ小隊長からの緊急連絡だ

黒竜の洞窟は地下なので電波が届かないため、ジードが中継アンテナを設置していたのだ


「…何ですって!? 風の道化師が! すぐに向かいます」


ジードが通話を急いで終えると俺達の方を向く


「地上の調査部隊が一人の敵に襲われている。風貌や戦闘スタイルから風の道化師の可能性が高い、苦戦しているらしいので応援に行く!」


「か、風の道化師!? 了解です!」


「私達も助太刀するわ」 「うん」

セフィ姉とフィーナも頷いてくれた



俺達は黒竜の亡骸に黙礼する

思うところがあるのか、大きくなったフォウルとリィがじっと黒竜を見ていたので、そのまま黒竜の亡骸の見張りに残す


俺達は地上に急いで戻った




・・・・・・




地上には、サイモン分隊長とカヤノが風の道化師と向かい合っていた

風の道化師は、大鎌を肩に担ぎ左腕の先には爪の付いた手甲、顔にはピエロの仮面を被っていた

顔は見えないが、体のラインが見えるボディスーツが体の膨らみを隠していないため女ということは分かる



「サイモン分隊長、カヤノ!」


俺はサイモン分隊長とカヤノと合流する


「…っ!」


よく見ると、サイモン分隊長とカヤノはかなりの負傷をしていた


「ラーズ、気をつけて! 風の道化師は闘氣(オーラ)を使うわ、Bランクよ!」


「なっ…、Bランク!?」


闘氣(オーラ)で防御されれば、こっちの攻撃はダメージが通らない

逆に、闘氣(オーラ)を纏った武器は、サイモン分隊長の盾を切り裂くだろう

サイモン分隊長とカヤノの負傷も納得だ



ゴゥッ!


突然風が吹き、道化師が高速でサイモン分隊長に突っ込む



ギャギャギィッ!


サイモン分隊長のギガントシールドに大鎌による切り傷が刻まれる

だが、切断されないように盾の角度を変えて斬撃をいなしたサイモン分隊長はさすがだ


俺も陸戦銃を取り出し参戦だ


ボッ!


ホバーブーツのエアジェットで飛び込み、射線がサイモン分隊長に重ならないように横に出る



ガガガガガッ


バシバシバシッ!



風の道化師が、左手に装備した爪の着いた手甲で顔をガードする

アサルトライフルの弾丸は、全て風の道化師の表面で止められた

止められて変形した弾丸が地面にポロポロと落ちる


くそっ、闘氣(オーラ)の防御力を突破するには火力が足りない!



バリバリバリバリ!



カヤノがサイモン分隊長の後方から雷属性範囲魔法を放つ

だが、やはりダメージは少ない


逆に、風の道化師の風属性竜巻魔法でサイモン分隊長ごとカヤノを吹き飛ばした



俺は、取り出したイズミFに疑似アダマンタイト芯の徹甲弾を装填、サードハンドで背中にロケットハンマーを保持する


「データ、ハンドグレネードを出してくれ」


データに倉デバイス制御を任せて準備完了だ



「…また会ったわね?」


「…えっ!?」



突っ込もうとした矢先、風の道化師が話しかけてきた

びっくりして動きを止めちまったじゃねーか!


「トウク大港近くの路地裏で会ったことを覚えているでしょう? 道化竜ラーズ」


風の道化師が可笑しそうに笑う

路地裏で会ったあの女に間違いない、本当に風の道化師本人だったのか


「…名前は名乗ってなかったよな?」


「ちょっと調べれば出てきたわよ? いろいろ活躍してたみたいだし」


事も無げに道化師は言った

簡単に防衛軍の情報を調べるんじゃねーよ!


「で、風の道化師さんが何で俺達を襲ってくるんだ? 今度こそ、防衛軍って分かってやってるんだよな」


答えてくれないかな? 無理だろうな…


「ここにいる黒竜に用があって来たのよ。知り合いのバンパイアがやられちゃったみたいでさ」

風の道化師は肩を竦める


答えてくれた!

…まさか、あのバンパイアに黒竜を襲わせたのは、本当に風の道化師なのか!?


「何でバンパイアを?」


「…さぁ? 神らしきものの教団がどうしてもって言うから。…って、あなたには関係なかったわ」


風の道化師が大鎌を構える


「あなたはちょっと気に入ってたのになー…、でも、残念だけどここで全員死んでもらうしかないか。姿を見られちゃったし」


「…っ!」


風が道化師に集まっていく

ヤバイ、決める気だ


ボッ!


俺はエアジェットで左にずれる

後ろのサイモン分隊長とカヤノに攻撃が行かないようにしないと


覚悟を決めろ、後手に回ったら攻撃を受けきれない

そもそもの火力が違うんだ


俺はイズミFを構える

射撃をフェイントに突っ込み、接近してロケットハンマーに持ち替えて一発、追撃で疑似アダマンタイト芯の徹甲弾を一発

俺の最高火力二連発だ


これで闘氣(オーラ)の防御力を突破出来なかったら…、どうしよう?


ええい、不安になるな!

行くしかないんだ、黒竜の装備ヴァヴェルの防御力を信じろ!


風の道化師が竜巻魔法を発動、竜巻がゆっくりとこっちに移動してくる


俺は身を屈めてホバーブーツで飛び出…




ドッパァァァァン!


「え?」




飛び出そうとした時、後方から閃光が走り、竜巻魔法を貫通して風の道化師を吹っ飛ばした


「ラーズ、大丈夫?」


「ゼヌ小隊長さんから許可を貰ったよ。私達が相手をするね」


セフィ姉とフィーナだった

相手がBランクということで、特別にゼヌ小隊長がセフィ姉達に助力をお願いしたらしい


「フィーナ、私一人でいいわ。たまにはラーズにいいところを見せたいから」

セフィ姉は微笑んで言った


セフィ姉は、両腕に半透明の鳥の翼のようなものを出現させている

あれが何なのか、それさえ俺には分からない


「え? う、うん、分かった…」


フィーナはそう言って、俺に小声で言う


「…セフィ姉の本気が少し見えるかも。Bランクのあのピエロがラーズ達を襲ったことを怒ってるから」


「…ゴクリ」

俺は唾を飲み込む


セフィ姉は、強者が弱者を叩き潰すことを許さない

特に、Bランク以上の者が闘氣(オーラ)を使ってCランク以下を攻撃することを許さないのだ



「ぐっ…、な、何者だ?」



ドッパァン!



無言で、腕の翼の羽根を射出するセフィ姉

羽根は閃光となって風の道化師を貫いた


「がはっ…、くっ!」


吐血しながらも風の道化師が広範囲風属性魔法を展開、それに対して、セフィ姉は再度羽根を閃光のように射出する



ゴッガァン!


風の道化師が左手の爪の手甲で防ぐが、左腕の前腕が手甲ごと粉砕される

だが、風の道化師の魔法展開が終わったようだ



ゴゴゴォォォォォン!



上空から強烈な突風、いや空気の固まりが落ちてくる

ダウンバーストだ


これに対して、セフィ姉が対魔法防御を展開する

純白の双剣の一本を頭上に構える



バチバチ…!



風魔法によるダウンバーストを、セフィ姉の魔法防御による障壁が無効化する


その瞬間、道化師は大鎌を構えて突っ込んで…



ザシュッ…!


「かはっ…」



俺は見た

セフィ姉は重心を落としながら、その勢いを足を出す力に使った


大鎌をギリギリで避けながら、もう一本の純白の双剣を閃かせたのだ



横腹から大出血する道化師

闘氣(オーラ)の攻撃は、闘氣(オーラ)の防御を容易く切り裂く


だが、風の道化師が意地を見せた

出血しながらも俺とフィーナの方に風の力で突進し、圧縮空気を地面に放つ



ドッゴォォォン!



土煙が上がり、防御をしてくれたフィーナと俺の視界が遮られてしまった



………



……





…土煙が消えると、風の道化師が姿を消していた



「…逃げられたわね。ごめんなさい、まだ動けるとは思わなかったの」

セフィ姉が申し訳なさそうに謝る


「いやいや、セフィ姉が助けてくれなかったら俺達の小隊は殺られてたよ! 充分だって」


俺も、風の道化師が左腕粉砕と脇腹に斬撃を受けてまだ動けるとは思わなかったし


何はともあれ、Bランクによる第1991小隊の壊滅は何とか免れたのだった





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ