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ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
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151話 サイボーグ兵士のアドバイス

用語説明w

魔石装填型小型杖:使いきり魔石の魔法を発動できる


データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI。戦闘用端末である外部稼働ユニットのデータ2と並行稼働している

リィ:東洋型ドラゴンの式神で、勾玉型ネックレスに封印されている

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している


もう一匹のタルラノレックスは銃弾で満身創痍ながら空中のリィを狙う

リィは上手く避けながら、空中からタルラノレックスの注意を引き付けている


更に、データ2が足元から何かの魔法弾を撃っている


「ご主人! 混乱の魔法弾を当てているよ! まもなく効果が出るはずだから準備して!」


データからの報告で、俺は倉デバイスからロケットランチャーを取り出す

混乱の効果でタルラノレックスが暴れ出す可能性がある

できれば遠距離から仕留めたい



「ウゴゴッ…グル…ウゥ…」



突然、タルラノレックスが地面に伏せて震え始めた

何かに怯えているようだ


「少しだけかわいいわね」

ヘザーがそれを見て言う


確かに、震えながら伏せるタルラノレックスはちょっとかわいい


「かわいいのは混乱している間だけですけどね」

俺はロケットランチャーを構える



二体同時という危機は去った

タルラノレックスはあと一匹、しかも混乱効果が出て怯えている


俺達は落ち着いて、とどめを刺しに向かった




・・・・・・




応援を呼び、タルラノレックスの解体を任せた

地元の解体と搬送の業者が来てくれたので、俺達は休憩させてもらっている



「リィ、データ、よくやったな。お前達が一体を仕留めたようなものだぞ」

俺は、データとリィを褒める


俺は指揮官としては全然ダメだった

気がついたら、データとリィが連携してもう一体を混乱状態にしてくれていた


「手負いのモンスターは暴れると危険よ。あんなスマートに無力化してくれるなんてね」

ヘザーもデータとリィを誉めてくれた


追い詰められた手負いのモンスターは危険だ

命を賭けて特攻するからだ

だが、状態異常になれば最後の攻撃を安全に封じることができる


今回はモンスターの数を見誤ったが、その割りに被害が少なく討伐を終えることができた



「ヘザーは大型モンスターの討伐に慣れてますね。重機関銃と大剣の物理特化で安定感ありました」


「私は生身の部分が少なくて魔法が使えないから。それならモ魔や魔石用の杖も諦めて、銃と大剣に特化しようと思ったのよ」


生体部分が少ないと、霊体質量も比例して少なくなる

霊体に依存する霊力や魔力も少なくなるのだ


だが、そのデメリットを帳消しに出来るほどヘザーの大剣の腕は凄かった

大剣でモンスターを切る、実はこれはかなり難しい

普通は重さで叩き潰してしまうからだ



「火力を出すなら斧の方がいいんじゃないですか?」

俺は、妖精使いのハイファが大型の斧を使っていたことを思い出す


「私は別に火力至上主義じゃないわ。斧より剣の方が取り回しもいいし、攻撃も受け止められるからね」


斧は、剣よりも一撃の威力が高い

これは斧の重心が先端にあるためだが、取り回しが難しくなるというデメリットでもある


「私にとって大剣は、大型モンスターに対する攻撃と防御を兼ねた道具なの。斧だと火力は上がるけど攻撃を受け止めるのは難かしいから」


ヘザーの大剣は刃の中央部が持ち手になっており、明らかに盾としての使い方を意識した作りだ

大型モンスターは攻撃範囲が広く、避けきれない場合が出てくる

大剣の面積で、攻撃を防ぐ手段に使えるのは心強いのかもしれない


「大剣いいですね。ヘザーの戦い方を見て大型武器の認識を改めましたよ」


ヘザーは、大型モンスターからの防御と攻撃を両立するために大剣に持ち手を付けたのだ

どちらかというと、防御重視の運用なのだろう


帰省した際に()()()()()ターレスは、大剣での攻撃特化型だ

大型モンスターの攻撃を受け止め、フェイントなど考えずに強烈な一撃を入れて倒す

闘氣(オーラ)という強力な防御力があれば、大型モンスターを狩るのにあれほど適したスタイルはないだろう


だが、闘氣(オーラ)がない一般兵の俺達には、ヘザーのような防御方法が必要になってくる



「重量級のモンスターの攻撃は、腕に固定された盾なんかじゃ受け止められないでしょ? 大盾や大剣みたいなサイズの大きい物を使って、両手でしっかり受け止めないとね」

ヘザーが俺のラウンドシールドを見て言う


「確かにそうですね。タイミング良く大剣が一本手に入ったので、ヘザーみたいに持ち手を付けてもらおうかな」


大剣星砕きは、ターレスと同じ使い方は俺には無理だ

ヘザーを真似て対大型モンスター用にカスタマイズしていくのもいいな



「ラーズ、私のようなサイボーグが一番気を使うことは何か分かる?」

突然、ヘザーが聞いてくる


「え? 何だろう…、銃と大剣の使い分けとかですか?」


「うーん、半分正解かな」

ヘザーは立ち上がりながら続けた


「私は継戦能力に気を使っているわ。要はスタミナね」


「スタミナですか…」


サイボーグはバッテリーで動いており、疲れにくいと思っていたのでちょっと意外だ


「重い大剣を振り回し続けると、私のボディバッテリーがどんどん消費されていくわ。その点、銃は引き金を引くだけで火薬のエネルギーを使ってくれる。バッテリーの節約にはもってこいでしょ?」


「確かにそうですね」


大型武器は()()

ヘザーはボディの高性能人工筋肉の動力で、俺はナノマシンシステム2.0で筋力を物理的に強化して大剣を振ることはできる


だが、重いだけあってエネルギー消費が激しい

つまり、スタミナが持たないのだ


「ラーズは私の大型武器の大剣を褒めてくれたけど、私の生命線はどちらかというと()()()。今回はあまり活躍できなかったけどね」

ヘザーは壊された重機関銃を見た


「弾があればスタミナ消費を抑えながら火力が出せる。弾が尽きても撤退する余力が残っている。大剣を振り回し続けたらそうもいかないし、下手すると戦闘中にボディが活動停止になる危険性があるから」


「武器の使い所の見極めですね。ヘザーの重機関銃からの大剣移行は勉強になりました。お、そろそろ解体が終わったみたいですね」


こうして、ヘザーと帰る準備を始める


恒例の通り名交換

ヘザーはアイアンヴァルキリーという通り名だった

今までで一番かっこいい気がするぞ!



…そういえば、今日は俺の鎧のデビュー戦だったのだが…

自分の体の一部のような感覚になっていて存在を忘れていた

スサノヲの調整はやっぱり凄いってことだな



帰り際に、


「ねぇ、あなたの小隊にいい男いないの?」

と、ヘザーに言われた


ヘザーはサイボーグだが、除隊する時は義体を売って生体を再生し、生身に戻るらしい


「顔は美人に出来るわよ? 合コン形式でもいいわ、女友達も紹介出来るし」


と、言われたが…、本気なのかどうなのかわからない




・・・・・・




「…それでどうするの? 合コン行くわけ?」


帰ってフィーナにギロリンチョされる

明日はセフィ姉が朝一でシグノイアに入国、午前中には黒竜の洞窟へ行く

防衛軍の組織を含め、全てが秘密の作戦となるので俺は休み扱いとなる

念のため、明日は隊舎にもよらずに現場に向かうことになった


メンバーは、俺、セフィ姉、フィーナで黒竜の洞窟に…


「いや、待て! 何でフィーナが一緒に行くんだよ!?」


「え? セフィ姉のお供だよ。セフィ姉クラスの幹部を、お忍びとはいえ一人で行かせるわけないでしょ?」


「お、おかしくない? いや、確かに…、って、なんでフィーナなんだ?」


「落ち着いてよ。黒竜の件については完全に秘密なんでしょ? 龍神皇国側も知る人が少ない方がいいんだし、だから私なんだよ」


「…」


何か上手く言いくるめられた気がする


「それより、合コンはどうするの?」


「だーっ! まだ何も決まってないわ! 黒竜と合コンって同時に話す内容じゃねーだろ!」


緊張感無くなる!

明日はいよいよ黒竜との再会、…そして別れの予定なんだ


黒竜、待っていてくれ




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