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ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
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150話 サイボーグ兵士

用語説明w

ナノマシン集積統合システム:人体内でナノマシン群を運用・活用するシステム。身体能力の強化も可能となった固有特性

倉デバイス:仮想空間魔術を封入し、体積を無視して一定質量を収納できる

ロケットハンマー:ハンマーの打突部にロケットの噴射口あり、ジェット噴射の勢いで対象を粉砕する

ホバーブーツ:圧縮空気を放出して高速移動ができるブーツ


データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI。戦闘用端末である外部稼働ユニットのデータ2と並行稼働している

リィ:東洋型ドラゴンの式神で、勾玉型ネックレスに封印されている


黒竜の洞窟に行く前に、特別クエストを処理しなければならない

モンスターから、国民の生命と財団を守ることが防衛軍の仕事だ


「黒竜の件で忙しいのにごめんね」

ゼヌ小隊長が謝ってくるが、別に誰のせいでもない


黒竜討伐作戦の決行日は明後日だ

セフィ姉には連絡済み、後はこの特別クエストを終わらせるだけだ


それに今回は属性装備のデビュー戦だ

ワクワクするぜ



特別クエスト


タルラノレックスの討伐

タルラノレックス Dランク

ドラゴンの一種で、全長十メートルほどの肉食恐竜のような特徴を持つ

二足歩行の獣竜種で、ブレスは吐かないため能力ランクは牙竜

獰猛で食欲旺盛、牙による噛みつきは危険

クエスト情報

市街地に近い草原と森のエリアで住人が何度も姿を目撃している

被害が出る前に討伐されたし


待ち合わせ場所に行くと、一人の女性が立っていた

頭は坊主頭だが整った顔立ちをしている


「始めまして、ヘザーよ。あなたがラーズ?」


「はい、ラーズです。ヘザー、よろしくお願いします」


ヘザーはサイボーグの兵士らしい

だが、外見上は生身にしか見えない


「あなたは強化手術受けているのよね?」


「はい、ナノマシン集積統合システムの手術を受けてます。持続時間は短いですが、身体能力の強化機能もあります」


「私もサイバネ手術を受けていて、この体は脳と脊髄の一部以外は義体よ。内部的には通信接続機能を導入しているけど、他は装甲と身体強化能力だけで機能的には人体と変わらないわ」


そう言って、ヘザーが左腕の手首から有線接続用の端子を引き出して見せてくれた


前に、マフィアの事務所で戦った賞金首のサイボーグは、左腕に大ばさみを仕込んでいた

ヘザーは全身が義体だが、変形したり武器が仕込まれたりはしないってことだな


俺は、データ2とリィをヘザーに紹介する


「よろしくね!」 「ヒャン!」


「よろしく。ラーズは二体も仲間がいるのね」


俺達はさっそく現場に向かった




・・・・・・




作戦は、見通しのいい草原に迎撃拠点を作り、タルラノレックスを林から誘き出して討伐する


ヘザーが設置型重機関銃を倉デバイスから取り出した


「索敵と誘き出しをお願いできる?」


「了解です」


俺が出発しようとすると、ヘザーが大剣を倉デバイスから更に取り出した


「ヘザーは機関銃に加え、大剣まで使うんですか? 火力特化ですね」


「タルラノレックスは突進力も凄いから、()()も想定しておかないとね。私の倉デバイスは、重機関銃と大剣、弾薬で収納質量を使いきっちゃってるから補助はお願いね」


「分かりました」



林に入り俺は索敵に出発した

リィが上空から、データ2と俺が地上から探す


すぐに、木々が折れ、何者かが通った跡を見つけた


「ヒャンっ」


リィが鳴く、警戒の鳴き声だ


「ご主人! 大きな個体が接近中だよ!」

データ2が集音センサーでタルラノレックスであろう接近を感知する


「熱源確認、大きさからタルラノレックスの可能性が大きいよ!」

データのアバターのセンサーも感知した


こんなにすぐに発見できるなんてラッキーだ

データとデータ2にそれぞれセンサーを持たせたいんだが、結構高いんだよな…


「ヘザー、タルラノレックスと思わしき個体発見、誘導を開始する。リィ、データ2は誘導に参加するな、タルラノレックスの後ろから追跡しろ」


「了解」

ヘザーが答える


「了解だよ!」 「ヒャン!」

続いてデータ2とリィも返事をする


ホバーブーツは早すぎて、リィとデータ2を振りきってしまうのが難点だ

事前の作戦が重要になる



よし、誘導を開始する

ホバーブーツの早さを見せてやる


俺はハンドグレネードを取り出した


俺の存在は多分臭いでバレている

だが、今回俺は獲物だ

タルラノレックスが俺を追ってきてくれるなら好都合だ



「ゴフッ ゴフッ…」


タルラノレックスの息づかいが聞こえてきた

逃走経路の確認はOKだ、途中まではタルラノレックス自身が作った道があるので、林の中でも障害物に邪魔されずに抜けられるだろう



接近に会わせて足元にハンドグレネードを転がす



ドッゴォォォン!


「ガアァァァッ!」



足元で爆発し、タルラノレックスが怒り狂う

足を傷つけられたかもしれない


よし、逃走開始だ

一旦姿を隠して鬼ごっこの用意だ


魔属性装備は認識阻害効果があるため、うまく誘導しないと振り切ってしまうかもしれない



「ヒャンッヒャン!」


逃走を開始する直前、上空からリィが吠えた

警戒の様子から何かを発見したようだ



「ゴガァァァッ!」 「…ァァッ」

タルラノレックスが吠える


…怒ったのだろうが、何か声がおかしくなかったか?



「グガァァァッ!」 「…ァァァァァァッ」


ほら! やっぱり、咆哮が変に遅れて聞こえてくるぞ?

まさか…?



「ご主人! もう一体タルラノレックスを発見!」


やっぱりか!

やっちまった、完全に間違えていた!


一体いつから、何度も目撃されたタルラノレックス全てが同一個体だと錯覚していた?

完全に思い込みじゃねーか!


「ヘザー、まずい! タルラノレックスは二体だ!」


「…それは想定外ね。固定式の重機関銃持ってきたのは失敗かも」


あんたもかい!

当たり前の話だが、固定式装備は複数方向からの攻撃に弱い


だが、どちらにしろ林の中では木が邪魔でホバーブーツの性能が生かせない

草原に誘きだすしかない



「ガアァァァッ!」 「ゴガァァァッ!」


姿を見せたタルラノレックス二匹が、大口を開けて追いかけてくる


「ヘザー、誘導を開始する! 二体まとめて追いかけてくるぅぅうわああぁぁぁぁぁぁっ!」


大型モンスター二匹は無理だ! しかも走るのクソ早いぞ!

だが一体はハンドグレネードで足を負傷したらしく、少し足を引きずって見える


「分離は無理かしら?」

ヘザーの落ち着いた声が聞こえる


「む、無理! こいつら早い上に互いに距離をとって追いかけて来やがる! 危ねっ!」


噛みつきを避けながら、ホバーブーツで全力で走る

予想外の早さで追いかけられている

体がでかい分一歩がでかいんだよ!


やっとのことで林から出る

草原に出ると、二匹は左右から俺を挟もうとしながら追いかけてくる

連携するんじゃねーよ!


「ラーズ、こっちだ。一体に重機関銃をできるだけぶち込む、もう一体は…頑張ろう」

ヘザーが落ち着いて指示をする


ヘザーが悪いわけではないが、全力で追われてる俺との温度差にイラッとするな


「どっち! 狙う! こいつら早い! 気を付けろ!」


ヘザーが見えた!

直線ならさすがに負けねーぞ!


「ラーズから見て左を狙う! 右に曲がってそっちの相手をしてくれ!」


俺は体を傾けて、言われた通り右に旋回する

俺の左側を走っていたタルラノレックスが、俺を追ってヘザーに側面を向ける


「よし、後は任せろ!」


ヘザーが重機関銃を構える



バララララララララッ!


秒間十発近い銃弾がタルラノレックスを襲う

狙い通り、側面という広い的を向けたタルラノレックスは、首から腹を抉りかなりの弾を体で受け止めた



バシィィッ!


「ぐっ! ヘザー、無理だ! 逃げろ!」



だが俺はというと、右側にいたタルラノレックスを止めようとしたが尻尾で吹っ飛ばされてしまう

あの質量の突進は俺じゃ止められない!


別の角度から、タルラノレックスがヘザーを襲った



ドゴォッ


「ガッフッ!」



重機関銃に体当たりをし、その勢いのままヘザーを噛み砕きにいく



ズガッガガッ!


「ガアッ!」



だが、ヘザーは大剣を縦に構えてタルラノレックスの下顎を受け止める

ヘザーの大剣は刃の中央部が凹んでおり、持ち手がついて盾のように使えるようになっていた


タルラノレックスとヘザーの力が拮抗し、押し合いの状態だ

崩れた方が追撃を食らう!


俺は慌てて倉デバイスからロケットハンマーを取り出す

倉デバイスが起動し、ロケットハンマーをロードする


早く! 早く!

先に取り出して置くべきだった!


その間にタルラノレックスに小型杖を振る

拘束の魔石を装填してある


ヒュン ヒュン ヒュン!


三発の拘束魔法弾を当てて倉デバイス確認すると、ロケットハンマーのロードが終わっていた


すぐにロケットハンマーを引き出して、タルラノレックスに向かう


「ヘザー!」


俺は後ろからタルラノレックスに近づきナノマシンシステム2.0を発動、右膝目掛けてロケットハンマーを振るう



ボウッ ドゴォッ!


「ガァァァァッ…!」



打突部のジェットで加速されたハンマーが、タルラノレックスの膝を打ち砕く

サイモン分隊長に最初に習ったことは、「大型モンスターは最初に足を狙え」だったな…、ふと思い出してしまった



ザクッ ザクッ ズドォォン!



振り向くと、ヘザーが大剣をタルラノレックスの後頭部や首に叩きつけてとどめを刺していた


サイボーグのパワーは凄いな



「ヒャンッ ヒャン!」


後ろからリィが吠える


重機関銃を受けたタルラノレックスが、起き上がっていた

まだ息があったようだ


さ、仕上げだ




皆様のおかげで百五十話です

ブクマ、評価ありがとうございます

読んでもらえて嬉しいです

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