表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
163/396

146話 帰省1

用語説明w

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している

セフィリア:龍神皇国騎士団に所属、B+の戦闘力を持つ。ラーズの遠い親戚で、五歳年上の憧れの竜人女性


出国許可が出て、俺とフィーナは帰省した


フィーナはシグノイアに住みながら龍神皇国で働いているため、毎日のようにこの駅を通って入出国をしているので手慣れたものだ


シグノイアと龍神皇国の国境駅はマチデニ駅という

ここでシグノイアの出国手続きと龍神皇国の入国手続きが同時に行われるのだ


「こっちに自動ゲートがあるからパスポート用意しておいて」


「さすが、毎日出入国してるだけあるな」


フィーナの案内で駅の中にある入国審査のためのエリアを進み、ファブル地区行きの特急に乗り換えた


俺達の実家があるファブル地区は龍神皇国の北方に位置し、クレハナと接するのどかな場所だ


南ファブル駅で降りて午前中はセフィ姉と代理戦争を見学

その後、ファブル地区の中ほど、実家があるミドリ町に特急で向かった


「駅弁食べると、帰省って感じがしてくるよな」


「そうだね。ラーズなんてかなり久しぶりじゃないの?」


俺が実家に帰ったのは防衛軍に入る前だ

俺が大学二年生の終わり頃に始まったシグノイアとハカルの戦争のおかげで、出国条件がどんどん厳しくなった

特に、防衛軍等の公務員に対してはなかなか許可が下りないのだ


だから、セフィ姉の顔を見たのも久しぶりだ

今回の帰省でセフィ姉に会えるとは思ってなかったのでラッキーだったな


セフィ姉は龍神皇国の中枢、中央地区にある騎士団本部で働いているのだが、明日は休みを取って俺の実家に顔を出してくれるらしい


セフィ姉は相変わらず綺麗だった

昔から変わらないな…、俺にBランクの才能があれば一緒に働くことも出来たのかな?


だが、忘れちゃいけない


俺が実家に帰ってきたのは、感傷のためじゃない

フォウルという俺が飼っている子竜を連れに来たのだ

黒竜を殺して()()()、そのために



午後三時頃に実家についた

実家の屋根には、肩に乗れる小さいサイズの竜が眠っている


「おーい、フォウル! ただいま!」


ピクッ…


俺が声をかけると、フォウルが反応して顔を上げた


「ガウ」


フォウルが飛んで俺の所に来る


「久しぶりだな。元気だったか?」


「グルルル…」


フォウルは相変わらずだ

喉をならしたり、吠えたりしか出来ないのだが、こいつは俺の言葉を完全に理解しているのだ


ボリュガ・バウド騎士学園時代、俺の相棒として何度もダンジョンに潜った

ある時、五匹のモンスターの内三匹だけブレスで仕留めろと言ったら、しっかり理解して実行しやがった

数の概念を持っている、竜の知能は侮れない



「な、フォウル。俺と一緒にシグノイアに来てくれないか? お前のブレスの力が必要なんだよ」


「ガウ…」

フォウルが頷く


了解早いな!

いいのかよ!


「良かったね」

フィーナが笑う


「ああ、一瞬で用事が済んじゃったな」


俺は勾玉取り出す


「ヒャン!」


リィを呼び出してフォウルを紹介する


「はい、こっちがフォウル、こっちがリィだ。仲良くしてくれよ」


「ガウ」 「ヒャン!」

二匹はお互いに匂いを嗅いでいる


「二人で遊んでていいぞ。飽きたら家に入って来いよ」

俺とフィーナは、遊び始めた二匹を置いて実家に入った



実家に入ると、両親が待っていてくれた


「フィーナはよく帰って来てくれるけど、ラーズは全然帰って来ないわねー」

母さんが苦言っぽく言ってくる


「え? フィーナは帰ってるの?」


「私はたまに帰ってるよ。龍神皇国で働いてるんだから、特急乗ればすぐだし」


「そ、そうだったのか…」


「ラーズ、仕事が忙しいとは思うが、もう少し顔出せ。じいちゃんやばあちゃんも心配してたぞ?」

今度は父さんにも言われる


「本当よ。ただでさえ、兵隊なんて危ない仕事をしているんだから」


「いや、別に帰らない訳じゃなくて、許可がなかなか出ないんだよ。だから、簡単に帰るってわけにもいかないんだって」



父さん パニン・オーティル 竜人 ジャーナリスト

母さん ディード・オーティル ハーフエルフ 教師

うちは、この両親と俺、養子のフィーナの四人家族だ



「やっぱり男の子は家に寄り付かなくなるものなのね…。フィーナがいてくれて良かったわ」


「うんうん。フィーナは気軽に帰ってきてくれるからな」


「ラーズは両親のありがたみが分かってないんだよ」


三人共が俺を責めてくる

違うんだ、戦争のせいで出国できないだけなんだ!



フィーナは父子家庭だった

愛情はあれど束縛が強い父と、幼い頃に出ていった()()()

そして、周りにいる人間は、敵か父の権力を狙った大人ばかりという環境


ボリュガ・バウド騎士学園に一緒に入学して寮生活となったが、毎年の長期休みは、学生は実家に帰るのが原則だった

だが、フィーナの実父は権力争いで忙しく、フィーナもそんなクレハナの家になんか帰りたくない

だから、毎年俺の実家に一緒に帰っていた


卒業後にフィーナがうちの両親の養子となったのだが、フィーナの言う「両親のありがたみ」とはその経験から言っているのだろう

養子になる前に比べたら、今は楽しそうで何よりだ



「ねえ、ラーズとフィーナ?」

母親が口を開いた


「ん?」 「え?」

スープを飲みながら同時に顔を上げる俺とフィーナ


「戸籍上は兄妹だけど、別に血は繋がってないんだから二人で結婚してもいいんだからね?」



ブゥーーーーー! × 2



「お、それはいいな! お前達も就職したんだし、そろそろ結婚を考えてもいい年齢だぞ」

父親も同調しやがる


だが、豪快に吹き出してしまった俺達はそれどころじゃない

真っ赤になりながら慌てて拭くのだった


両親からこういう話はダメだろ!



「おー、そうだ! 忘れるところだった。ラーズに渡すものだあるんだった」


「え、何?」


「これだよ」

父さんが、棚から一本のナイフを持ってきて渡す


「これは?」


「きれいなナイフ…」

フィーナが思わず目を奪われる


このナイフは木目のような美しい紋様の刃をしていた

ダマスカスというやつだろう


「このナイフは我が家に代々伝わるわる由緒正しきナイフでな…」


「そんな代々伝わってる物なんかあったの?」

母さんが話に入ってきた


「ああ、そのナイフはラーズのひい祖父さんが…」


「代々って、たった三代前じゃねーか」


「うっさい、黙って聞けー!」

父さんが怒ってしまった


このダマスカスナイフは、龍神皇国の官僚だったひい祖父さんが作らせた物らしい

目標にしていたポストを得て記念に作らせたとか

しかも、一度暴漢に襲われたときに、このナイフで切り抜けたという逸話もあるらしい


そして、じいちゃんに譲られ、その後父さんに贈られたらしい



「なんか、就職祝いで息子に贈る感じになってるから贈るよ。大事にしろよ?」


「結構テキトーだな!」


「じいちゃんは農業で、父さんはジャーナリストだろ? ナイフを使う機会ってあんまり無かったんだよ」

そう言いながら、父さんが俺にダマスカスナイフを渡してきた


刃体を見てみると、手入れがされていて美しい紋様が耀いている

このダマスカスナイフはいいものな気がする

せっかくだから大事にしよう



ちなみに、俺のひい祖父さんはもう亡くなっている

俺が産まれて両親で挨拶にいき、俺を抱っこしてくれたらしい

だが、その一ヶ月後にひい祖父さんは亡くなってしまったらしい


前から体調が悪かったらしいのだが、俺を抱っこするまでは死なん! と頑張っていたんだって

子供ながらに、この話を聞いてちょっと嬉しかった覚えがあるな



「ひいお祖父さんが官僚、お祖父さんが農業、お義父さんがジャーナリスト、ラーズが兵士…、ラーズの男家系って脈絡無いよね」

フィーナが笑った


「自由な家風なんだろうなー…」



こうして、俺達は久しぶりの実家を楽しんだのだった




・・・・・・




実家に一泊して、次の朝

約束通りセフィ姉が来てくれた


母さんがお茶を入れてくれる


「ありがとうございます」

セフィ姉は優雅にお茶を飲む


俺はセフィ姉に黒竜のいきさつを話した

不可逆の竜呪のことを聞いて見たかったのだ


「ふーん、黒竜か…。それでフォウルを連れていくのね」


「そうなんだよ」


フォウルは、まだ俺のベッドでリィと丸くなっている


「セフィ姉、不可逆の竜呪って何なの?」

フィーナが聞く


「私も聞いたことがある程度なんだけどね。本来は不可逆であるはずの成長を逆転させる竜の呪いだって聞いたことがあるわ」



不可逆の竜呪


成長とは、子供から大人へと進み戻ることはない

これは不可逆の変化だ

この不可逆性をねじ曲げ、子供に戻す竜の呪いらしい



「でも、この呪いを使えるのは、成長度に関係なく能力ランクが竜王以上の竜だと思うわよ?」


「あの黒竜、そんなに凄い竜なのか…!」



能力ランク 竜王


6ランク中、上から3番目ランクで、ここまで能力が上がる竜は稀だ

一部の竜を除いて、竜は個体ごとに単独で活動することが多いのだが、能力ランクが上がると他のモンスターや他の竜を手下として使う、()()()を使うランクだ

竜は強力な個体が多く、竜王ランクは下手な魔王よりも驚異となることが多い



「ねえ、そう考えると、フォウルって本当は大きな竜だったってこと?」

フィーナが言う


「うーん、ただ、不可逆の竜呪がそもそもよく分かってないものだからね。黒竜かその呪いに何か出来るかは、フォウルを会わせてみないとなんとも言えないわね」

セフィ姉が困ったように言った



やっぱり、フォウルと直接会わせるしかないようだ



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ