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ですペア ~平凡な一般兵の苦悩~ 魔法、実弾兵器、スキル、ブレス、オーラ、召喚…即死級攻撃が多すぎる!  作者: ロロア
五章 戦闘スタイルと武器? どっちも完成させるに決まってるだろ
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143話 新隊舎

用語説明w

ハルバート:穂先に斧が付いた槍。アンデッドから入手した物で霊的構造を持つ


ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

メイル:1991小隊の経理と庶務担当、獣人の女性隊員

デモトス先生:ゼヌ小隊長が紹介した元暗殺者で、ラーズの戦闘術の指導者。哲学と兵法を好む


やっとのことで新隊舎への引っ越しが終わった


旧隊舎は二階建てだった

二階は小隊長室と経理室、会議室、一階が食堂と医療室、地下が倉庫になっていた


それが、新隊舎は三階建てに拡張されたのだ

三階に会議室兼講堂、二階に小隊長室、経理室、隊員の待機事務室、そして宿直室、一階が食堂と医療室、簡単な待合室と受付、地下に倉庫という作りになっている


今までは隊員の待機室がなく、会議室に情報端末を置いて過ごしていた

今後は隊員個人の机が用意されたので過ごしやすくなるし、事務処理もやり易くなる

整備班の机や冒険者ギルド用の端末も置かれたので、整備班の隊員とのコミュニケーションも増えるだろう



「いやー、ラーズ様々だよね、新隊舎」

メイルが感慨深そうに言う


「え? 何で私なんですか」


「忘れたのか? お前が強盗被害に遭った報復でゼヌ小隊長が恫喝して、新隊舎の工事を勝ち取ったんじゃないかよ」

サイモン分隊長が言う


恫喝…、言葉は悪いが、そういえばそうだった

俺は同じ防衛軍の隊員から強盗被害に遭ったのだが、その件をゼヌ小隊長厳しくなって糾弾して隊舎改築となったらしい


「きっかけが私だっただけじゃないですか。でも、キレイになって広くなって、仕事もしやすくなって最高ですよね」


「経理室もきれいになって良かったわ!」


「ああ、地下の倉庫に個人用の棚とロッカーを置いてくれたのも使いやすくなったしな」



「…恫喝じゃなくて交渉よ? 私は隊員が被害に遭ったから賠償を求めただけなんだからね」


ゼヌ小隊長が、人聞きが悪い…、と言いながらやって来た


「あ、ゼヌ小隊長、お疲れ様です」


「ラーズ、小隊長室に来てくれる?」


そう言われたので、俺はゼヌ小隊長についていった




小隊長室には、ジードとデモトス先生がいた


「では、今回の調査結果を報告します」

ジードが話始めた


「今回は、防衛軍のデータベースで()()()のキーワードを検索した隊員を調べました。検索期間は、ラーズが風の道化師と名乗る女と接触した日からです」


「ふむ、結果はどうだったのだね?」

デモトス先生が聞く


俺は、風の道化師と名乗る女と接触した

情報収集の目的を隠すため、俺の通り名である()()()の名前をとっさに出してしまったのだ


俺は完全に忘れていたのだが、ジードが調査をしてくれていたらしい

申し訳ないっす…


「結論として、昨日までに三百二十七件の検索がありました。検索を実施したユーザー数もほぼ同じなので、繰り返し検索している者はいなさそうですね」


「さ、三百って多すぎ!?」

何で俺なんかの通り名がそんなに検索されているんだ!?


「あら、ラーズも有名人になったものね。黒竜の件でかしらね」

ゼヌ小隊長が笑いながら言う


「特別クエストでも、ラーズは話題になるクエストを受けているからね。皆の関心を集めたのかもしれないな」

デモトス先生も頷いた


「ですが、今回はそれがマイナスに働きましたね。風の道化師が防衛軍の道化竜と聞いたら調べないわけがない。だが、これだけ多いと、風の道化師と繋がっている隊員の特定は不可能ですね」

ジードが残念そうに言う


「うーん、残念だけどしばらくは様子見るしかないわね。今のところはすぐに襲われるということはなさそうだけど、ラーズは一応用心してね」


「うん、オズマ君の調査結果を待とうじゃないか。例の海の音の原因もまだ不明のようだ」


デモトス先生がそう言って、今回の報告会が終わった




・・・・・・




昼過ぎに、スサノヲから電話があった


「おいっ、これ…◯×■見た△…逆鱗じゃ◆+☆かーーー!」


「…っ! うるせっ、電話で怒鳴るなよ、何だって?」


ツーツー…

電話は切れていた


「どうしたんだね?」

デモトス先生が尋ねるが、俺にもさっぱり分からない


「いや、スサノヲが何かをわめいて電話が切れまして…」


「ふむ、作業に集中しているのだろう、放っておきなさい」


俺は頷く

今日は、久しぶりにデモトス先生の訓練を受ける

余計なことを気にする余裕など無い


「うむ、訓練は続けていたみたいだね」


「…はっ、はい…、訓練しない…と…不安になり…まして…」


膝を曲げて水の入った壺を持ち、姿勢を維持する訓練だ

デモトス先生がいると緊張感が違う



……





「さ、久しぶりの実戦訓練といこうか」


「は、はい…!」


久々だ、集中しろ!

なんか、バンパイアより緊張している気がするぞ?


「今日は、私はナイフしか使わない。ラーズはナイフ二本とハルバートを使ってくれたまえ」


「ハルバートもですか?」


デモトス先生が頷く

「私も見たいのだよ、ラーズの編み出したサードハンドを」


「分かりました」


俺はナイフ二本を腰に差し、ハルバートを構える

いきなりサードハンドは見せない、与える情報は少ないほどいい



「ふっ!」


ヒュッ!



距離を生かして突き、引きながら柄を回転させて石突を叩きつける


と、思ったらしゃがまれて躱される!

詰められたら長物は不利だ


ハルバートを手放し、腰のナイフで対応



ガキガキッ!



前蹴りに繋げ、距離を取らせろ!



パシッ…



デモトス先生が足を捌きながら、一歩下がる


来たーー!

ここだ!


俺はナイフを手放し、背中側にサードハンドで保持していたハルバートを上段で握り、斧を振り下ろす



ドスゥッ!



だが、振り下ろす斧を僅かに横に動くだけで避けられる


マジかよ!?


だが、ここからだ

俺は、ハルバートを手放し、サードハンドで浮かしていた()()()ナイフを握って切りかかる



ヒュン


ズパッ!


「がっ!?」



だが、捌かれながらカウンターで切りかかられる

肩口を刃がかすった


「ラーズのテレキネシスは、一つの対象しか持てないみたいだね」


「うぐっ、その通りです…」


そう、俺のサードハンドは一つしか対象を持てない

二つの対象を持ち上げることができないのだ



「一つ注意点がありそうだね?」


デモトス先生がナイフを繰り出す


「え? うわっ!?」


ナイフを捌くが、服を捕まれて体を入れかえられる

裏拳から…



バキッ!


「うあっ!」



右目の辺りを殴られた

デモトス先生が殴ったのは、()()ハルバート柄でだった

テレキネシスで浮かせていたハルバートをデモトス先生に奪われてしまったのだ


「サードハンドで浮遊させている対象は、捕まれると奪われるな。乱戦では特に気を付けなければいけないな」


「は、はい…」


俺のサードハンドは、下から重力に逆らって対象に力を与えているだけだ

まだ、固定するという力の使い方ができないので、掴まれたら持っていかれてしまうのだ

これは確かに弱点だな


などと考えていると…



ヒュヒュンッ!


「うわっ!」



デモトス先生ナイフが襲ってくる

ヤバい、右目が見えないからうまく捌けない


ザクッ


スパッ


シュッ


ナイフにどんどん被弾していく

片目が開かないだけでこんなに捌けなくなるとは

しかも、目が痛すぎて集中できない!



「ラーズ、落ち着きたまえ。視界の情報を()()()してみなさい」


不意にデモトス先生が口を開いた

珍しいな、実戦訓練中にアドバイスなんて


視界を半分? どういう意味だ?


その後も何度かデモトス先生切り合う



………



……





不思議だ、分かる

視界以外の情報が理解できる


一番大きい情報は音だ

布の擦れる音や微かな呼吸音


次は大地の振動だ

デモトス先生が視界から消えても、足で感じる振動でどこにいるか分かる…気がする



「うむ、いいね。視覚以外で情報を得る感覚、うまく身に付けているね」


「え!?」


「鎧をつけてしまうと肌の露出が減り、触覚での知覚力が身に付かないのだよ。耳、鼻、温度、振動、空気の流れ、殺気、情報は溢れている。あとは、感じるだけだ」


「そ、それが鎧を着けなかった理由ですか?」


「うむ、うまく知覚力は上がっているよ。戦場の極限環境では集中力があがり、自然に体の()()()情報を取ろうとする。その成果だよ」


「…はい」



その後、ニッコリ笑ったデモトス先生に散々切り刻まれた


今日の怪我は久々に酷かった…

そんなすぐに目に頼らないなんてできるか!






五章開始です

読んで頂けたら嬉しいです


ブクマありがとうございます!

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