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128話 金属性魔導師のアドバイス

用語説明w

シグノイア純正陸戦銃:アサルトライフルと砲の二連装銃

魔石装填型小型杖:使いきり魔石の魔法を発動できる

超振動ブレード:根本の超振動モーターで刃の先端部分の極細の帯状の刃を振動させ、凄まじい切れ味を実現したブレード

ハルバート:穂先に斧が付いた槍。アンデッドから入手した物で霊的構造を持つ

ロケットハンマー:ハンマーの打突部にロケットの噴射口あり、ジェット噴射の勢いで対象を粉砕する武器


「ラーズ、スフィンクスは魔法を使ってくるから気をつけて下さい」


「了解です。ホバーブーツで前衛やりますんで、狙われないように下がっていて下さい」


「分かりました!」


「リィ、行くぞ!」


「ヒャンッ!」


俺はリィと坂を上がっていく

坂の中腹でスフィンクスと向かい合った

お互いに視線と間合いで牽制する


リィが上空からスフィンクスに接近、スフィンクスが視線をリィ似合わせる

リィを狙われると危ない、俺はホバーブーツで左回りに間合いを詰めて気を引く



ドガガガガガガッ!



まずはアサルトライフル

痛みに牙をむき出し、襲いかかってくるスフィンクス


エアジェットで右に跳ぶ



ボッ!


ゴガァッ!



エアジェットを噴射した直後に、スフィンクスのライオンパンチが地面を凹ませた

俺は左回りにスフィンクスを誘導し、反対の右方向に跳んだ


スフィンクスの左側面を取れた

隙有りだ



ガシュッ!


「グギャアァァァァ!」



左後足に散弾をぶち込む


「ヒャンッ!」


痛がったスフィンクスの首に後ろからリィが噛みつく



ガガガガ!



暴れるスフィンクスの足と腹を狙い、上空のリィに射線が重ならないようにアサルトライフルを撃つ


その時、俺の足元に魔法陣が浮かぶ



「…っ!」


ボッ!



跳び退いた直後、


ボボォォゥ!


火属性範囲魔法(小)が発動し、火柱が上がる

スフィンクスは転がってリィを剥がし、俺に向かってライオンパンチを連続で繰り出す



ドゴン! ドゴォッ! ゴガァッ!



叩きつけられる前足をなんとか避ける


ラ、ライオンパンチ強ぇ! しかも早い!

武器を取り出す暇さえ無い

だが、武器がなきゃ話にならない…!


「データ! 倉デバイスの操作権限を渡すから超振動ブレードを出してくれ!」


後ろ足を壊したのにこのスピード、恐らく翼の推進力だ

直線的な動きだが、体がでかすぎて避けきれない

翼を何とかしないと…!


「了解だよ!」


データに倉デバイスを任せて、俺は避けることに専念する

倉デバイスが動き出すと同時に、俺は小型杖で土壁の魔法弾を撃つ

地面に土壁を作って一回動きを止める!



ドゴォッ!


「うそっ!?」



だが、ライオンパンチ一発で土壁が粉砕されてしまう

くそっ! 次の魔石は何を装填していたっけ!?

俺は逃げながら横目で杖を確認すると…、力学属性引き寄せの魔石だ


「ラーズ、私の金属性の鉄壁なら攻撃を受け止められます! 距離を取って下さい!」

シオンからのインカム


よし、ちょうどいい

俺は小型杖を振り、引き寄せの魔法弾をシオンの方向に撃つ



ビョオオオオン!



着弾した大地に引っ張られ、高速移動を行う


「シオン、壁お願いします!」


「はい!」


シオンが溜めていた魔力で魔法を発動

鉄の壁を作り出す


「魔力を強く込めましたのでしばらくはもつと思います!」


俺は、倉デバイスから取り出してくれていた超振動ブレードを引き出して準備をする


「シオン、下がれ! データ、ロケットランチャーを取り出してくれ!」


スフィンクスが俺達に一直線で向かってくる

ライオンパンチを振り上げて叩きつける



ガアァァン…!



鉄壁が歪み、その音が微かに反響した

だが、土壁と違って砕けない



ボゥッ!


「しゃぁっ!」



俺はホバーブーツで鉄壁足場にして跳ぶ

そのまま翼に超振動ブレードを一閃する



ズパッッ!


「ギャアァァァァァァッ!」



左の翼の骨の切断に成功した

まだ翼を構成する羽でぶら下がっているが、もう羽ばたくのは無理だろう


俺は倉デバイスの空間魔法の入り口から飛び出していたロケットランチャーを引っ張り出す


思い付きでやっただけだが、データに倉デバイスを操作してもらい、武器を取り出してもらえるのは地味に便利だ!


倉デバイスは、空間魔法で決まった質量分の物資を封印できる

だが、封印の一種なので少し取り出しに時間がかかる

時間といっても十秒ほどだが、戦闘中に十秒確保するのは至難の技なのだ



ボゥッ ボゥッ!


スフィンクスが火属性の投射魔法で火の玉を放つ

俺は一度鉄壁の後ろに隠れてロケットランチャーを担ぐ


よし、翼を切って、機動力は殺した

あの連続ライオンパンチと直線高速移動は封じただろう

後は仕留めるだけだ



ボゥッ ボボゥッ!


鉄壁で火の玉を防ぐ

どうやら、二発連続で放つのが奴の特性らしい


「シオン、もう少しダメージを与えたら機動力を奪えると思います。範囲魔法の準備をお願いします」


「はい!」


これだけ機動力があるモンスターだとシオンを守りきれない

だが、機動力さえ奪えればシオンの高火力でとどめを刺せるはずだ



ボゥボゥッ!


再度火の玉を鉄壁で防ぎ…



「…ぐああっ! アッツッッッ!!」


鉄壁がとんでもない熱を放ち、不用意にさわった左の手の平が貼り付いた

慌てて引き剥がすが、手の平の皮膚が鉄壁に持っていかれる


「…ぐぁっ!」


慌ててカプセルワームを手の平に貼り付けナノマシン群で治癒する



「ラーズ、金属性は衝撃に強いけど熱伝導性が!」


俺はシオンに頷く

たった今身を持って思い出しましたよ…



俺は鉄壁から飛び出してロケットランチャーを撃ち込む



ボシューーーーー!


ボゥッ ボゥッ!



カウンターで火の玉が二発飛んでくるが、エアジェットで回避


「データ、ハルバートを!」


データのアバターが一瞬震える

了解の意味だろう



ドッゴォォォン!



後ろ足辺りにロケット弾が着弾

スフィンクスが倒れる


俺はすぐに小型杖に魔石を装填

拘束の魔法弾を当てる


ギュィィィン…


更にナノマシンシステム2.0を発動

倉デバイスから飛び出た柄を引き出してハルバートを構える


「オラァッ!」


気合いと共にハルバートを投擲



ドスッ!


「ガアァッ!」



スフィンクスの肩辺りに刺さった


「データ、ロケットハンマーを」


俺は陸戦銃を構えて、アサルトライフルを構える

機動力奪った、後は仕留めるだけだ


ようやくスフィンクスが起き上がりこっちに顔を向ける


また魔法か? 俺が警戒すると、


「魔法で拘束します! 仕留めて下さい!」

シオンがインカムで叫んだ



俺は陸戦銃を下ろし、ロケットハンマーを引き出して構える


「グルルル…!」

スフィンクスが牙を剥き出して威嚇をする


人の顔で獣みたいな表情を作られるとキモい

そう思った瞬間、スフィンクスの下で一瞬魔法陣が光る



ザシュザシュッ!


「ギャアァァッ」



三本の鉄の棘が地面から突き出し、スフィンクスを串刺しにする

スフィンクスが身をよじるが、鉄の棘は動かない

どうやら地面に刺さっているようだ


俺はスフィンクスに突っ込みながらロケットハンマーを顔に叩きつける


ゴガァッ!


ナノマシンシステム2.0の強化打撃、続けてロケットハンマーのスイッチを入れる


ボゥッ ドゴォン!


ロケットの噴射を利用し、体を一回転させてもう一度



ボゥッ ゴガァッ!



脳髄を飛び散らせて、スフィンクスの前頭部を粉砕

スフィンクスは地面に崩れ落ちた




・・・・・・




俺は回復薬を飲みながら座り込む

さすがに疲れた

だが、データの倉デバイス管理が思いの外便利で手応えを感じている

もっと早く気がつけば良かったな


「ラーズ、ごめんなさい。私の鉄壁だと熱は防げなくて…」

シオンが落ち込んで言う


「あの強靭な鉄壁でスフィンクスを止めてもらえたから勝てたんですよ。熱は近付かなければ問題有りませんし、火傷は私のミスですよ」


「前のクエストでは敵の雷属性が伝導しちゃってダメージ受けちゃったし、使い勝手が悪いんですよ」


「でも、鉄の棘をモンスターに刺した状態ならこっちの、熱や雷属性を体内に流せますよね? むしろ伝導性って利点じゃないですか」


「うーん…、良くも悪くもですかね…」


「そういえば、あの範囲魔法の棘ってどうやってスフィンクスを拘束してたんですか?」


「あれは、魔法陣から()()()鉄の棘が突き出るんです。地面にも刺さるので、これがスパイクになって拘束できるんです」


「いや、金属性魔法凄いですよ。そんなの土属性じゃ崩れるか折れて終わりですもんね」


そもそも、剣が石ではなく金属である理由は、加工のしやすさとこの靭性だ



俺達は、疲れた体に鞭を打って立ち上がる


「シオン、ありがとうございました。帰りましょうか」


「そうですね。こちらこそありがとうございました」


「シオンは通り名ってあるんですか?」


「…ありますけど」

シオンが目を逸らす


「…あまり気に入ってない感じですか?」


シオンは頷く

だが、結局教えてくれた


「…アイアンウーマンです」


「…そのまんまですね」


俺も自分の通り名を教え、俺達は帰路につくのだった


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