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124話 妖精使い

用語説明w

魔石装填型小型杖:使いきり魔石の魔法を発動できる


ロゼッタ:MEB随伴分隊の女性隊員。片手剣使いで高い身体能力を持つ(固有特性)

データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI。明るい性格?

リィ:東洋型ドラゴンの式神で、勾玉型ネックレスに封印されている


風水師のアミラから連絡が来た

前の特別クエストの時に1991小隊に遊びに来たいと言っていた件だ


「ロゼッタ、明日の待機の時は大丈夫ですか?」


「うん、いいよぉ」


軽い返事をもらったのでアミラに返信する

俺も、明日は隊舎での待機任務にしておいてもらおう



そういう俺は、今日も特別クエストに向かっている



特別クエスト

ゴーレム工場跡の破壊

ホスト・ゴーレム Dランク、土人形を作り出すゴーレム

別のゴーレムを作り出す能力を持つゴーレムををホスト・ゴーレムと呼称する

今回のホスト・ゴーレムは土木作業用兼農地開墾用なので力が強くDランクの戦闘力を持っている


土人形 Eランク、土からできたゴーレムの一種

動きは緩慢で、与えられた作業をひたすら行う

クエスト情報

農地を開墾した頃に使われ、過去に稼働停止となっているゴーレム工場が稼働していたことが判明した

ホスト・ゴーレムが何らかの要因で再起動、土人形を作り出している


規定数の土人形を作り終わった後に、用法通りに周囲の開墾を始めると思われ、その場合、集落、里山、農地に被害が出ると思われる

開墾作業が始まる前に至急破壊せよ


ゴーレム工場は、イマル・バディナリア・ゴーレム株式会社所有

過失を認め、防衛軍に破壊要請を出している

ホスト・ゴーレムの起動原因を調べるため、核を壊さずに取り出して欲しいとのことで、追加報酬として設定済み



農地を越えて、今回のクエスト現場に到着した

大きい岩の横に老朽化した仮設小屋が建てられている

その周囲に土人形が静かに立ち並んでいる状況で、数は五十体くらいだ


先着していた車が一台あり、その横に身長の低い女性隊員がいた

軽装甲アーマーで、傍らにデカいバトルアックスを持っている


「あなたが道化竜ラーズ?」


「はい、ラーズです。ハイファですよね? マッスルフェアリーの…」


「通り名はやめて。嫌いなの」


「え…」


「女子の通り名にマッスルって可愛くないし、おかしいと思わない?」

ハイファは不服そうに言う


「そ、そうですかね…」


ハイファの肩には光るちいさな生き物が座っている

光る体、小さな昆虫のような羽、中性的な顔立ちの小人のような外見…、妖精だ

ハイファは妖精使いなのだ


「私の相棒、フェアリーのピーターよ」

妖精のピーターは、優雅にお辞儀をする


「式神のリィです」

俺もリィを紹介する


ドワーフの女性で、鍛え上げられた肉体でバトルアックスを繰り出す重近接タイプらしい

サイモン分隊長の防御特化とは真逆の攻撃特化スタイルだ


「先に取り巻きの土人形の数を減らしてから、私が近接でホスト・ゴーレムを削っていくわ。バックアップをお願いできる?」


「了解しました。よろしくお願いします」


俺達は、早速作業を始める




土人形は待機モードになっているが、自己防衛プログラムをインストールされており、ホスト・ゴーレムから自己防衛機能を解除しない限り攻撃に対して反撃をしてくる


攻撃は殴ってくるだけだが、ゴーレムの一種だけありパワーはそれなりにある



「はぁっ!」


ザシュッ



俺は練習を兼ねてハルバートを使って土人形を壊していく

体の中心に魔力制御用の魔法陣が構築されており、そこを物理的に破壊すれば元の土に戻る


サイモン分隊長から借りたラウンドシールドで反撃を防御しながら土人形を破壊していく

慣れない武器で隙ができても、盾の防御方法があると安定感が違う


「ラーズはハルバートを使っていたの? 突きは様になってるわね」


「前回の特クエで手に入った物なんです。槍は習ったことがあるんですがハルバートは使い始めたばかりですね」


セフィ姉にドラグネル流の剣術と槍術を習ったことがある

だが、ハルバートは槍だけでなく斧も付いており、この斧の使い方がしっくりこないのだ


「斧は高威力だけど、重い分攻撃終わりに隙ができるわ。仲間が攻撃終わりの隙をフォローできない場合は、斧を手放すのも手よ」


「なるほど…」


俺はハルバートをかまえる



「はっ!」


ドスッ!



ハルバートを突く

引き抜きながら穂先を高く掲げ、斧を叩き落とす



ズガッ!



土人形の体が真っ二つになる

普通の斧と違って柄が長い分、遠心力と斧の重さが働いて威力は高い


「くっ…」

だが、その分斧が地面にめり込んでしまい、隙ができるのだ


だが、そこでハルバートを一度手放し、盾の防御や別の武器に切り替えれば隙は無くなる

ハルバートを失う可能性はあるが、一番いい使い方な気がする


ふと、ハイファの方を見ると…



ブンッ ザシュッ ズガッ!



…ハルバートより重そうなバトルアックスで連撃を叩き込んでいた

俺のナノマシンシステム2.0でもあんなの無理じゃね?


ただハイファが上手いのは、地面に叩きつけるような動きは敵が周囲にいない場合のみ、それもとどめの一撃の場合だけに限定していることだ

動きが止まらないように、常に次の動きに連動している


鍛え上げられた身体から繰り出される斧の連撃と妖精、まさにマッスルフェアリーだ…




・・・・・・




リィも何体か破壊してくれ、短時間でほとんどの土人形が土に戻った


「それじゃ、次はメインデッィシュね。コアを破壊しちゃわないように気をつけて」


「了解です」


俺達は土木農耕タイプのホスト・ゴーレムの破壊に移行する

壊すだけならロケットランチャーをぶちこめば終わるのだろうが、核を取り出すならそうはいかない


「ピーター、お願い」


「…!」


ハイファの言葉に、妖精のピーターが口をパクパクさせる

何かしゃべっているようだが、声は全く聞こえない


ポワァッ…ポアァ…ホワァッ…


だが、体が光り、ハイファと俺に魔法が発動する


「これは…、防御魔法と硬化魔法と身体強化魔法ですか!?」


「そうよ。妖精は補助魔法のエキスパートなのよ」


体に力がみなぎり、見えない壁が体を包んだ


ホスト・ゴーレムは、地面に腕を突っ込んで周囲に土人形を作っている

小さな溜め池に水が溜まっており、水と土を混ぜ合わせて土人形の体を作っているようだ


だが、一体作るのに一時間ほどかかるみたいなので、戦闘中に敵が増えることはないだろう


ホスト・ゴーレムの後ろには用途不明の機械や片輪が外れたブルドーザーが置かれている



「先に私が弱体化させます」


俺は携帯用小型杖に、拘束と軟化の魔石を装填する



ハイファが頷きバトルアックスを構える



ヒュン ヒュンッ


ポワァッ…



ホスト・ゴーレムに魔法弾が当たる

動かないデカいゴーレムは的だ


だが、ホスト・ゴーレムが魔法弾とハイファの接近に反応し攻撃体勢を取る

拳を握ってハイファに殴りかかった



「ハイファ!」


ズガッ!



ハイファを石の拳が襲う

だが、ハイファは巨大なバトルアックスの刃で攻撃を受け止める


拳に軟化の効果が出ていたようで、拳の中程までバトルアックスの刃がめり込んだ

さらに、力学属性の拘束魔法弾がホスト・ゴーレムの動きを阻害し動きも遅い



ドガッ!


ドゴォッ!


ガゴッ!



ハイファがバトルアックスで攻撃し、更に防御と同時にホスト・ゴーレムの攻撃を刃が受け止める

あっという間にゴーレムの両足と右腕を破壊、左腕の拳を砕いてしまった


ハイファは素の身体能力でバトルアックスを振り回すのだが、それを身体強化の魔法で強化しているので、凄まじい攻撃速度を出している


飛んで来る石の欠片も、数発なら銃弾さえ止める防御魔法でガードし、重近接スタイルにしては防御力の弱い軽装甲の弱点を補強している


更に硬化魔法だ

本来は盾やアーマーを硬化させて防御力を上げる

だがハイファはバトルアックスを硬化させて防御力を上げ、同時に武器の攻撃力を上げているのだ

銃にはできない、近接ならではの闘い方だ


近接戦闘に特化したハイファと妖精ピーターの補助魔法は相性がいい



「…ご主人、熱源が! 攻撃が来るよ!」

俺が感心していると、データが叫んだ



見ると、奥にある大型の機械が起動している


「ハイファ! 奥の機械から攻撃がっ!」


「…っ!?」


機械の砲身のような部品の先に付いたレンズが光を放つ



バシュッ!



突然、大型機械から熱線が放たれた




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