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120話 精霊使い

用語説明w

シグノイア純正陸戦銃:アサルトライフルと砲の二連装銃

霊札:霊力を込めた徐霊用の札


データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI。明るい性格?

リィ:東洋型ドラゴンの式神で、勾玉型ネックレスに封印されている


弓使いのアナとの戦果は大きく評価された…らしい

一小隊規模で失敗したクエストをたった二人で成功させたのだから当然と言えば当然だ


だが、俺は二匹のトロルの相手をしていただけだ

その間に、逃げ始めていた他のトロルをアナが狙撃していった


遠距離から放つ範囲攻撃、弓ならではの銃にはできない芸当だ

火属性だったらロケットランチャーを乱射してるようなものだろうか?


評価されたらしいと言うのは、俺が結果を聞いてないからだ

なぜなら次の特別クエストが入ったからだ

多すぎるだろ、さすがに過労死するぞ?




・・・・・・




相方はターバンを巻いた、魚人の男性隊員だ


「よろしくっす! アフマドって言います。精霊使いで火属性の精霊魔法が使えるっす」


「ラーズです。ホバーブーツの高機動戦闘が出来ます。よろしくお願いします」


握手して挨拶、さっそく出発だ


今回の特別クエストは詳細が不明だ

防衛作戦に従事中の隊員がモンスターの集団に襲撃を受けて負傷、至急調査を行う必要があるため特別クエストとなったのだ



「精霊使いって、普通の精霊魔法とは違うんですか? 精霊魔法なら何度か見たことはありますけど」


しかし魚人で火属性って違和感あるな

魚人なら水属性ってイメージだけど

ま、人種なんて耳や角くらいしか違いないし、泳げない魚人もいるし、偏見はよくないか


「精霊使いっていうのは、精霊と契約した精霊魔法の使い手のことっすね」



精霊魔法


この星のどこの地域でも基本的には魔力が存在し、環境によってその属性が決まっている

この地域は火属性50%、風属性30%、土属性20%といった具合だ

そして、その魔力に宿る存在が精霊だ


近代魔法と違い、精霊魔法はその精霊から力を借りる

その地で力を持っている精霊から力を借りれば、より強力な精霊魔法が発動するのだ


だが、精霊魔法は難しく使い手自体が少ない

理由は、属性魔法と共に霊属性をも使う複合魔法だからだ

精霊などの霊的な存在の力を借りる場合は霊属性が必要となるため、難易度が上がり使い手が少ないのだ



「精霊と…契約? 特定の精霊と契約したということですか?」


精霊魔法はその土地の精霊の力を借りるので、精霊に嫌われるという例外がなければ契約がなくても発動するはずだ


「そっすよ。フオファ!」


アフマドが呼び掛けると、目の前の空間に炎が灯る

炎はアフマドを回りをくるくると回る

顔は確認できないが、なんか楽しげに見える


「オレはこの火の精霊と契約してるんすよ。だから、火属性に関しては環境に左右されずにある程度威力を出せるっす。もちろん、火属性が強い場所ならめっちゃ強くなるっすよ」



精霊契約


精霊魔法を使う者の中に、稀に精霊に愛される者がいる

その場合は、その精霊と契約することができ、その精霊の魔法を強化することが出来るのだ


もちろん、契約した精霊以外の、その地に精霊の力も使うこともできるが、その場合は強化されない

精霊の嫉妬もされるので難しいらしい



「私も式神がいるんですよ。リィ、出ておいで」


「ヒャンッ」


俺はリィを出して、アフマドと精霊フオファに見せる


「お、式神っすか! よろしくっす、リィ」


どんなモンスターがいるかもわからない、混戦になったときのための顔合わせだ



進んでいる道は、もはや獣道となっていた

すでに、隊員が襲われたエリアに入っている



ガサガサッ…



遠くで枝葉を擦らす音が聞こえる


俺は手でアフマドを制して陸戦銃を構える


「ご主人、体温が低すぎる! 霊体構造も確認できる、アンデッドだよ!」

データが赤外線と霊視カメラでの観測結果を報告


「アンデッドか…」

俺は霊札を取り出せるように準備する


「一匹だよな?」


「一匹だよ! 他に敵は確認できないよ!」


よし、とりあえず倒してみてるしかない


「一匹なので、とりあえず私が倒します」

俺はアフマドに声をかける


木々の間をゆっくり抜ける

音を少しでも出さないように


木々の隙間から様子を見ると、二足歩行の影が見える

ゆっくりとこちらに歩いてくる

目的を持った歩き方ではない、恐らく徘徊だろう


俺は陸戦銃を構えて待つ

木の隙間にアンデッドの姿が見えた瞬間…



ダダダダダッ



アサルトライフルを連射する

アンデッドが仰け反って仰向けに倒れたので、俺は素早く接近する


アンデッドはまだ動いていたので、脳天に弾を撃ち込み脳ミソを破壊して動きを止めた


俺は倒したアンデッドをまじまじと見る


「オークか?」


顔が腐っているが、猪のような牙と鼻を持ち、二足歩行という特徴を持っていた


「うん! オークと特徴が一致しているよ!」


モンスターが何らかに理由でアンデッド化することは珍しくない

モンスター同士でも生存競争はあるし、事故死だってする

これに条件が揃えばアンデッドの出来上がりだ


「うーん、オークのアンデッドだけじゃ判断つかないっすよね。もう少し進んでみましょうか」


「そうですね」


隊員が襲われたのは、モンスターの()()

アンデッドの可能性はあるが、単体ではない



俺達は先に進む


更に三十分ほど歩いただろうか

森が終わり、木々が低くなり周囲が岩山となってきた


「アフマド、あそこ…」


「なんか、いっぱいいるじゃないっすか!」


岩山の中腹に洞窟があり、その周囲に小屋がいくつか建っている

そして、モンスターと思わしきものが集まっているのだ


「データ、ドローンで確認を」


「ご主人! 了解だよ!」


データがモンスターの情報を集めてる間に、俺も双眼鏡で確認する


「オークのゾンビに、犬か狼のゾンビもいるな。なんか鎧みたいのも見える」


「オークの集落だったんすかね? オークのゾンビが多いっすよ」


「とりあえず、隊員を襲ったていう集団はあれでよさそうですね。でも、何でアンデッドがあんなに集まってるんですかね?」


アンデッドの集団は、オークっぽいのが二十匹ほど、他に犬っぽいのや鎧っぽいのが数匹だ


「ご主人! アンデッドはほとんどがオークのゾンビだよ! 他にリビングメイルやデュラハンと特徴が一致する個体がいるよ! 近くに魔属性の精霊石か魔晶石がある可能性があるよ!」



魔晶石と精霊石


魔晶石は魔力の結晶、精霊石は霊力の結晶だ

どちらも属性を帯びることがあり、魔属性を帯びた場合は周囲の死体をアンデッド化する場合がある


更に、この次元と半分重なっている幽界と呼ばれる次元から、精霊やアンデッド、霊体などを呼び出すこともあるのだ

あのリビングメイルやデュラハンと呼ばれるアンデッドは、幽界から呼び出されたのだろう


「そして、危険な兆候! デュラハンがいる周囲にアンデッドが集まっている場合、スタンピートの兆候である可能性があるって情報があるよ!」


「す、スタンピート!?」


スタンピートとは、モンスターの集団が何らかの理由で暴走状態になることだ

デュラハンが煽動するってことなのか?


「データ、中隊本部に連絡してくれ。あと、応援要請だな。魔晶石や精霊石を探すのは俺達だけじゃ無理だ」


「ご主人、了解だよ!」



敵はだいたい三十匹か


「どうしますかね? スタンピートを起こす可能性があるらしいんですけど」


「あんまり二人でやりたくはないっすけど、あの集団だけ殲滅出来たら安心っすよね?」


「でも、きつくないですか?」


「時間稼いでもらえたら、強い精霊魔法を撃てるんすけど」


アフマドは、火属性の上位精霊を呼び出せるらしい

呼び出せれば周囲を炎で殲滅できるらしいのだが、呼び出しに時間がかかる


スタンピートは危険なので止められるなら止めたいが…

アフマドの精霊魔法の威力は分からないが、二人で無理するのも危ない気がするしなぁ


「ご主人! 応援部隊が至急向かうって!」


応援が来るなら、それまで耐えればいいだけだから大丈夫か?

足止めメインでやってみるか


「了解。じゃあ、応援部隊が来るまでやってみますか」


「了解っす! 凄いの撃つんで期待してくれていいっすよ!」


アフマドの周囲を火の精霊フオファがビュンビュン飛び回っている

気合いが入っているらしい


「分かりました。リィ、アフマドの護衛を頼む」


「ヒャンッ!」


俺達はオークの集落へ向かって行った



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