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118話 弓使い

用語説明w

輪力:霊力と氣力の合力で特技スキルの源の力、チャクラの別名


シグノイア純正陸戦銃:アサルトライフルと砲の二連装銃

魔石装填型小型杖:使いきり魔石の魔法を発動できる

ホバーブーツ:圧縮空気を放出して高速移動ができるブーツ

ロケットハンマー:ハンマーの打突部にロケットの噴射口あり、ジェット噴射の勢いで対象を粉砕する武器

イズミF:ボトルアクション式のスナイパーライフル。命中率が高く多くの弾種に対応している


「ラーズ、顔が疲れてるよ。大丈夫?」


「ああ、なんとかね。行ってくるわ」


フィーナに見送られて出勤

今日も特別クエストだ


特クエ担当になって分かったが、処理待ちのクエストというものは多い

1991小隊では各自がどんどん処理していくから、何週間も何ヵ月も放置されてるクエストなんか無かった

やっぱり1991小隊って優秀だし恵まれてるってことなんだな


連日のクエストでさすがに疲れが溜まってきた気がする

だが、防衛作戦を免除されているので、その分は頑張らないと


それに稼ぎもいいので助かっている


今までの貯金が二百七十万ゴルド

裏仕事が四百七十万ゴルド

合計七百四十万ゴルド


そして外部稼働ユニットが六百万ゴルド

引くと百四十万ゴルド

一千万ゴルドまであと八百六十万ゴルド…

また稼ぎ直しだな




・・・・・・




特別クエスト

トロルの集落の壊滅


トロル Dランク、毛むくじゃらの巨体を持つモンスター

妖精族の血を引くことから自然との相性がよく環境によって能力が変化する

怪力と高い治癒力が特徴


クエスト情報


集落規模は三十匹前後と推定

集落を攻めた部隊が撤退をしている

スナイパーを三人用意して臨んだが、何らかの遠距離攻撃でスナイパーが全員戦闘不能となった

正体不明の遠距離攻撃に注意されたし



「ラーズです。よろしくお願いします」


「よろしく。私はアナよ」

アナは獣人の女性だ


お互い、挨拶もそこそこに出発する

理由は簡単、小隊がクエストに失敗したからだ

トロルが防衛軍を退けた勢いで攻め込んでくる可能性がある


人間の集落が近くにあるため、早急に対処する必要があるのだ

最優先は足止めと情報収集、可能なら殲滅だ


「ラーズは高機動戦闘ができるのね。陽動をお願いできる?」


「分かりました。アナは弓使い…遠距離からの狙撃ですか?」


「ええ、森に隠れて狙撃していくわ。土属性の付加が出来るから火力は任せてくれて大丈夫よ」


「でも、撤退した小隊はスナイパーが全員、遠距離攻撃でやられたみたいですよ。 危なくないですか?」


「そこは銃と弓の違いがあるから大丈夫」

アナは自信ありげに言い切る


そこまで言うなら任せよう

でも、銃と弓の違いって何だろう?



トロルの集落に向かいながら、俺はリィを呼び出し随伴させる

アナへの顔見せだ


「アナ。リィは私の式神なので射らないで下さいね」


「へー、式神なんて珍しいわね。分かったわ」


「ヒャンッ!」


リィも鳴き声でアピール

間違えて射られたら危ないからな


低山を三時間ほど歩くと、山の中腹に森が開けた場所が見えた

小屋も見えるしトロルも見える


あれが集落か…


「私は集落よりも高い位置から狙撃していくわ。あなたの陽動が始まったら始めるわね」


「分かりました」


ここからは俺一人で集落へ向かう

しかし、人間の集落から歩いて三時間の場所にトロルの集落があるって近すぎるな

確かに、放置してたら危ない



森の中を十分ほど進むとトロルの集落の近くに出た

集落内に数匹のトロルが見える


「ここからなら狙えるな。データ、頼む」


「ご主人、任せて!」


ドローンを飛ばし索敵を任せる


さあ、始めよう

俺はスナイパーライフルのイズミFを構える


「アナ、始めます。囲まれそうになったらホバーブーツで逃げますのでお願いします」


「分かったわ。始めましょう!」


俺は槍を持ったトロルにスコープを合わせて引き金を引く



ガァンッ!



頭に命中、すぐに次の弾をリロードする

そして、一発、更に一発


「ウガアァァッ!」


トロルが、雄叫びをあげながらこっちに向かってくる



ガァンッ ガウンッ…



続けて撃っていくが、頭に当たらないと一発で倒せない

しかも、どんどん集まって来て手数が足りない



俺は陸戦銃に持ち替えてグレネードを発射

更にアサルトライフルで追撃していく



ドゴォォン! ガガがガガッ!



だが、トロルの巨体を止めるには火力が足りない


「ダメだ、詰められる…!」


その時、上から何かが降ってきた



ヒュゥゥゥ… ドッガァァァァァン!



突然尖った岩が炸裂、こっちに向かっていたトロル四匹がズタズタに裂かれた


「なっ…!?」


「ラーズ、私の土属性付加の曲射よ! 可能な限り敵を集めて!」


「わ、分かりました!」


すげぇ!

魔法を付加した弓ってあんな威力になるのか


俺は、この隙にホバーブーツでトロルの集落に侵入する



ヒュゥゥゥ… ズガガァァ!


ヒュゥゥゥ… ドガァッ!



俺が進んでいくと、トロルの小屋がアナによってどんどん破壊されていく


「ご主人、前の小屋の後ろにトロルが二匹!」


「了解!」


俺はロケットランチャーを取り出し、目の前小屋に撃ち込む



ボシューーー!


「え!?」



ロケットランチャーがぶつかると思った瞬間、小屋の向こうから何かが発射された



ドッガァァァァァァン!



ロケットランチャーを破壊し、何かが飛んでいった


「…な、何だ!? データ、分かるか?」


「ご主人、この映像を見て!」


データが俺の仮想モニターに再生した映像は、ドローンからの空撮映像を拡大したもの

画質は悪いが、そこにはトロルが石を放って、もう一匹のトロルがそれをこん棒で打ち出す場面が映っていた


ま、まさかこれがスナイパーを潰した遠距離攻撃か!?

こんな原始的な方法で?


だがおそらく、モンスターがよく使う輪力での筋力強化を使っている

トロルの豪腕を更に強化して打ち出しているのだ、威力は凄そうだ


「アナ、敵の遠距離攻撃が分かった! データ、アナに映像を送ってくれ」


「了解だよ!」


俺は陸戦銃を構え、背中にロケットハンマー背負う

更に、魔石装填型小型杖を腰から引き抜く


「ラーズ、多分その二匹がその集落のエースだわ。そいつらを倒せば勝ったも同然よ」


「了解、交戦します!」


「狙撃行くわ!」


ホバーブーツのエアジェットで接近

グレネードを足元に発射する



ドガァァン!


「グガァ!」



二匹のトロルの足が止まる



ヒュゥゥゥ… ズガァン!



上空から石の槍が三本降ってきてトロルを削る


これが曲射か

上空から落ちるように射ってるので、狙撃場所がばれない

銃にはできない撃ち方だ



ヒュンッ



俺は小型杖を振り、混乱の魔法弾を撃つ

動きを止めればアナが勝手に倒してくれるはずだ


「ご主人! トロルの背中に何かいる!」

データの声で、俺は飛び込もうとした足を止める


トロルの背中から光る小さな生物が出てくる


「データ、何だあれは!?」


「…サンダーラットと思われる特徴が確認できるよ!」

データがデータベースと照合


「雷属性の小型モンスターだろ? なんでそんなもんが…」


混乱の魔法弾は効かなかったらしい

トロルはサンダーラットを持つと、大きく振りかぶった

まるでピッチャーのように


「ご主人! サンダーラットは強い衝撃で大電流を放電するって! 避けて!」


「なっ…、うおぉぉぉぉぉっ!」


データの言葉に危険性に気が付く

俺はホバーブーツのエアジェットで跳びながら、左腕に着けた小型杖を振って引き寄せの魔法弾を撃つ



バリバリバリバリバリ…!


「ぐあぁぁぁぁっ!」



い、痛ぇ…、若干感電してしまった

めちゃくちゃ放電範囲が広い! 危なかった…


「ラーズ、大丈夫!?」


「アナ、あいつらサンダーラットを投げるぞ! 広範囲を攻撃するスナイパー殺しだ! 狙撃方向がバレただけでやられるぞ!」


「なるほど…! それで、スナイパーを…」


スナイパーを倒すには、広範囲攻撃で巻き込むのがセオリーだ

たまたまだろうが、まさかそのセオリーをモンスターが使うとは


「他のトロルをもう少しで殲滅出来るの! あと少し頑張れる?」


「遠距離は危ないので接近する。攻撃するとき言って下さい!」


石やサンダーラットを投げつけられないように、俺はホバーブーツでジグザグに近づいて行く


陸戦銃に散弾を装填する


「リィ、出てこい」


「ヒャンッ!」


リィと一緒にトロルを睨む

さあ、第2ラウンドだ




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