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117話 風の道化師

用語説明w

ジード:情報担当の魔族の男性隊員、補助魔法が得意

デモトス先生:ゼヌ小隊長が紹介した元暗殺者で、ラーズの戦闘術の指導者。哲学と兵法を好む

データ:戦闘補助をこなすラーズの個人用AI。明るい性格?

スサノヲ:見た目は赤ずきんをかぶった女の子。正体は、怪力の腕利き鍛冶職人でジャンク屋


不用意に大男にぶん殴られてしまい、口から出血してしまった

血が床に飛んでしまったので俺のDNAが採集されてしまう


俺は、ドアのところで倒れている男を引きずってくる

足から出血しているのでちょうどいい

ちょっと広めに引きずり、この男の血で塗りつぶしてしまおう


この男とデスクの男の懐を確認すると、懐に銃を持っていた

このままにしておけば警察が発見するだろう


デスクの周囲を見ると紙幣が散乱していた

デスクの男が金勘定でもしていたのか?


隣の部屋には金庫があった

金庫のドアは開いており、現金やヤミ金の証文が入れられていた

マフィアの事務所に泥棒が入ることを想定していなかったらしい


ラッキー、ありがたく現金をいただく

札束を袋に入れる

証文は床に撒いておいた

ヤミ金の証拠になるし、オズマがうまくやるだろう


「ご主人! 警察が呼ばれたよ!」

オズマからの連絡受けてデータが報告してくる


「了解」

俺は事務所を出た



しばらくすると、パトカーや救急車が何台も来てビルに規制線が張られた

俺達は現場を離れデモトス先生と合流する


「よくやった、ラーズ」

デモトス先生が笑顔で言う


「派手にやったな」

ジードも笑う


ビルから突然大男が落ちてきて、ビルの周囲は騒然となっていた

すぐに警察に通報が行き、警察が事務所に入ると中が荒らされて人が倒れていた


倒れていた男達は懐に銃を所持しており、更にヤミ金の書類まで発見

すぐさま銃刀法や貸金業法違反で逮捕されたが、負傷していたため病院に搬送された


落ちてきた大男も違法サイボーグ手術を受けたと思われる体をしており、サイボーグ手術規制法違反で逮捕、病院に送られた


「手強い敵に対して戦い方を変えたのは良かったね。いい臨機応変だったよ」

デモトス先生が誉めてくれた


「あの大男は強かったですよ。危なかったです」


「あの大男はシザーハンドという二百万の賞金首だからな。あのボトルリッパーで人の手足を切断し、車でさえ解体したらしいぞ」

ジードが、PITに表示した賞金首リストを見せながら言う


「…もしかして、あの大男が賞金首だって知ってたんですか?」


「敵を調べるのは当たり前だろう。正体不明の強盗犯人じゃ賞金はもらえないが、その分金庫の金が手に入ったから良しとしよう」


ジードとデモトス先生がさも当然のように頷く


「な、な、何で言ってくれないんですか!? 俺は危なく…!」


「訓練を兼ねているのに難易度を下げても意味がないからね。それにラーズも聞かなかっただろう? 必要な情報は自分で集めるべきだよ」

デモトス先生がニッコリと笑う


「うがぁぁぁぁ! もう嫌だ! もう嫌だぁぁぁ!」


こっちはサイボーグとタイマンはらされたんだぞ!

負けたら殺されるか拉致られる、または警察に逮捕されてたんだ!

こんなの訓練じゃねーよ! 頭おかしいよ!


「落ち着けラーズ。確認もしなかったお前も悪いだろう。それより早く金を数えろ」


「だって、危なく…!」


「制圧の実技と判断は合格点点だよ。後は事前の情報収集にも意識を向けるべきだね」


「…!」


よく考えたら、この人達は確信犯だ

分かってやってる人に何を言っても無駄だった…


俺は渋々鞄から現金を取り出す

数えたら、手に入れた現金は四七〇万ゴルドだった


…まともに働くのバカらしくなるな

だが、諸々の危険や金が置いてない可能性も考えると、二度とやりたくない


まぁ、こいつらのおかげで何人も泣かされている

それを思えば堂々と奪っても心は痛まない

むしろ、マフィア君ザマァ! って感じだな



「現金をすぐに使うのは危険だ。メイルに預けて足がつかないようにしてもらおう」


「分かりました」


いや、うちの経理ってそんなことまでできるの!?


「よし、ラーズ。スサノヲの所に寄って行こうじゃないか」


「はい、分かりました」




・・・・・・




ジャンク屋に入る

単に中古品を扱っている店という意味のジャンク屋かと思ったら、ここの店名がそのままジャンク屋という店だった



「相変わらず店内の雰囲気がすごいな…」

俺はスサノヲの入れてくれたお茶を飲む


「ああ、上の婆さんか? 十年前のハカルとの戦争で家族や子供、自分の体の大半を失っちまってな。脳も半分吹っ飛ばされていて、電脳で補助しているんだ」


「…」


重すぎる話だった

俺は話を変えるべく、工房の奥に置かれた、人が入れそうな細長い壺を見る


「あれは? 前は無かったよな?」


「ああ、お前のフェムトゥが入ってるんだよ。魔属性を均一に浸透させなきゃいけないから、ああやって魔属性を封印して浸けているんだ。後は魔属性オーブ待ちだな」


金が用意できていないのに、スサノヲは属性装備の準備をしてくれていたようだった


「それで、魔属性オーブと外部稼働ユニットはどっちを優先するんだ?」


「うーん、悩んだんだけど、せっかく臨時収入があって一括で買えそうだから外部稼働ユニット買っちゃおうかなって思ってるんだ。また、魔属性オーブが遠退いちゃうからスサノヲには申し訳ないんだけど」


「あたしは構わないぜ。装備が整えば仕事も受けられるし収入だって上がる。資材への投資はどんな仕事だって必要なことさ」


「じゃあ、注文頼んでいいか?」


「おう、金の用意だけしといてくれ。入金日が決まったら連絡するよ」


「わかった。お買得を見つけてもらって助かったよ。データもよかったな」

俺はデータのアバターを持ち上げる


「うん! ありがとう!」


「AIっていうより、ペットと話してるみてーだな。人間がAIのお願い聞いてやるなんて、普通逆じゃないか?」

そう言ってスサノヲが笑った


「よし、話がまとまったみたいだ。そろそろ隊舎に戻ろう。ゼヌが待ってるだろうからね」

デモトス先生が湯飲みを置いて立ち上がった


「分かりました」


「では、スサノヲ。よろしく頼んだよ」


「はい! 任せて下さい!」


スサノヲがとびっきりの笑顔で答える

いや、お前どっちが素なんだよ


「…何見てんだ? 用が済んだらさっさと帰って金稼ぎに行ってこいや」


「この態度の差は何なんだ…!」





隊舎に戻り、デモトス先生と小隊長室に行く


「お疲れ様、ラーズ。デモトス先生もありがとうございました」


「問題ないさ。可愛い教え子の訓練のためだ。こういう実戦の機会はどんどん提供してくれたまえ」


「…」

もう、どうとでもしてくれ…


「それで、オズマがマフィアの取り調べの状況を教えてくれたんですけど…」


「何かいい情報はあったのかね?」


「風の道化師がトウク大港付近の町でいろいろ動いているとの情報がありました。あそこの近辺のマフィアやテロリストに金をばらまいて何かをやっていると」


「ほぉ、それはいい情報だね。そっちは私が調査してみよう」


「先生、頼りになりますわ」



風の道化師


バックアップ組織の一員と目されている女で、風魔法を使い爪や大鎌で武装しているらしい

闇に紛れる黒い服を着て、ピエロの仮面を被っている正体不明の女だ

俺が派遣された、占拠された村で召喚の魔法陣が作られていた事件でもその姿が確認されていた


「ラーズ、私はしばらく帰れない。特別クエストで大変だとは思うが、訓練を怠らないようにな」


「はい」


「ナノマシンシステムの2.0は発動した。今後はサイキックの能力訓練に比重を移してもいいかもしれないね。ただ、身体能力と体の使い方は一朝一夕では身に付かない、最低限は続けるようにな」


「分かりました」


確かに、最近サイキックの能力が伸びていない

未だに軽いものを弾けるくらいだ


サイキック訓練に重点を置いてみるか





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