表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/396

110話 特別クエストと中毒休み

用語説明w

ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

デモトス先生:ゼヌ小隊長が紹介した元暗殺者で、ラーズの戦闘術の指導者。哲学と兵法を好む

フィーナ:二歳下でラーズの戸籍上の妹、龍神皇国のBランク騎士として就職している


スサノヲの店から出たあと隊舎に戻ったらいいことがあった

なんと、魔竜の情報を持ち帰った功績により二百万ゴルドの報酬が軍の本部から出たのだ

魔竜の件は中隊規模の扱いを越えて、大隊本部の扱いとなったらしい


魔竜の危険度は防衛軍のトップである大隊本部が知ることとなり、重要度が認められたということで報酬もおいしかった

取り分は、俺が百万ゴルド、デモトス先生とエマが三十万ゴルド、隊が四十万ゴルドとのこと


直接情報を得たのは俺だが、俺だけの力ではないため大変申し訳ない

式神のリィを買った際の借金四十万ゴルドを差し引いて六十万ゴルドを振り込んでもらった


ありがたやー


だが、借金を返してまた借金だ

鍛冶職人のスサノヲに属性装備の依頼をしたことで、一千万ゴルドの借金を背負ってしまった

あと九百四十万ゴルド、金が足りねー…



更に、ゼヌ小隊長から今後の話された

「ラーズ、あなたにはこれからどんどん経験を積んでもらいたいの。そのためには、強い隊員と組んでもらうのが一番経験になると思うわ」


「うちの隊も固有特性持ちでCランクばかりですし、強い隊員ばかりじないですか?」


「確かにそうなんだけど、やってもらいたいのは()()()()な隊員と組んでもらいたいってこと。慣れた仲間と連携が取れることは素晴らしいけど、それだけじゃ足りないでしょ?」


「はい、分かりました。どうすればいいですか?」


「あなたには、特別クエストに参加してもらいます」


「特別クエスト…って何ですか?」



特別クエスト


緊急クエストより緊急性は低いが、緊急クエストが発令されていなければ最優先で実行されるべきクエストだ

緊急性もあることから、戦闘ランクがC、Dランクの隊員が担当する


普通は、各小隊で特別クエストを優先で受ける隊員を決めているのだが、うちの隊は人数が少ない分、サイモン分隊長やロゼッタ、カヤノ、リロ、ジードが交代で行くという形だった


だが、出せる戦力が毎回違うと、組める人員を決めにくいので固定して欲しいとの要望を受けていた

遠・近・魔法・補助など、役割やモンスターによって組める人員が変わってくるからだ



「あなたならどんなタイプとでも組めるでしょうし、いい機会だから特別クエスト担当になってもらおうかと思うの。忙しくはなるけど、その分報酬はいいからお金は貯まるわよ?」


「私が言った、金を稼ぐ方法というのがこれだよ。更に、通常クエストも受けていけば借金の返済なんてすぐ終わるだろう」

デモトス先生も補足した


「でも、私で大丈夫ですか?」


「特別クエストは他の小隊の特別クエスト担当と組んでやるの。一人でやるわけじゃないから心配はいらないわ。ナノマシンシステムの2.0が使えるラーズなら安心して任せられるわ」

ゼヌ小隊長は笑顔で言う


確かに、他の隊の凄い隊員と戦えるのは経験になるし、報酬もいいなら大変ありがたい


「分かりました、よろしくお願いします」


話が終わると、デモトス先生がゼヌ小隊長に俺を訓練のため防具無しで出動させることを話し、にこやかに了承された

うん、この人達が怖い




・・・・・・




本来今日は勤務だったのだが、退院したばかりなので大事を取って休みをもらってしまった

なんか負傷する度に休みを貰っていて申し訳ない


せっかくなので休みだったフィーナと買い物に出掛けている



「また借金したの!? しかも、今度は一千万ゴルドって大丈夫なの?」

フィーナに借金のことを話したら驚かれた


まあ、借金を繰り返した上に一気に借金額が上がったからな

普通に考えたら自転車操業にしか見えないよな


「いや、俺のフェムトゥが汚染で使えなくなっちゃってさ。鍛冶職人に見てもらったら一千万ゴルドで属性装備にしてくれるっていうから…」


「ぞ、属性装備! それで一千万って安すぎない!?」


また驚かれてしまった

やっぱり、破格なんだな…


「いろいろあってその値段になったんだけど、一千万はキツいんだよな」


「貸してあげようか?」


「…毎回、金に困ったらそれ言ってくれるけど、さすがに一千万は無理だろ」


「私も訓練期間終わって、Bランクの騎士としてモンスター討伐に出てるからね。一千万ゴルドくらいなら出せるよ」


「な、何だと!?」



Bランクの戦闘員


龍神皇国でもシグノイアでも仕事は変わらない

Bランク以上のモンスターの討伐だ


Bランクモンスターは総じて強く、脅威だ

だが、その素材は利用価値が高く、高額な金に変わる

それが討伐者にも還元されるため、Bランク戦闘員はそれだけ金を稼ぐことが可能だ


しかも、龍神皇国の騎士団は装備品にも補助が出て支給品も多い

防衛軍とは待遇が全然違うのだ



「お、お前、今貯金いくらあるわけ?」


「えー? 二千万には全然足りないくらいかな」


「…」


ショックだ

フィーナとは就職時期は同じ

それなのに、フィーナの訓練期間が終わって実戦に出た途端、ここまで収入に差があるとは


「ど、どうしたの?」

フィーナが、ポカンとした俺に驚いている


「…今日」


「今日?」


「今日、看病のお礼に飯奢ってやろうと思ったけど止めた! お前が奢れ!」


「な、何で怒ってるの? でも、女の子は男の子に奢ってもらいたいものだからね、残念だけど却下だよ…」


「何だそれ!? おかしいだろ!」


ギャーギャー言ったが結局俺の奢りになってしまった

冷静になったら俺が心配かけたんだから仕方ないか




何度か来ている「ゴシップ」という店に来た

結局、食べて飲む


「え!? これ以上借金重ねるって、大丈夫なの?」


データの外部稼働ユニットを買おうか悩んでいることをフィーナに話したら案の定、また心配された

金の心配ばかりされてて辛いよ


「いや、まだ決めたわけじゃないんだけど、データの外部稼働ユニットも考えなきゃと思ってさ。そっちの騎士団はそういうの使わないのか?」


「うーん…、使わないかな。騎士団はBランク以上のモンスター討伐とか、自然発生したダンジョンの封印が任務だから」



Bランク以上の戦闘員は、格下のモンスター以外はBランク同士でパーティを組む

そして、目標のモンスターがいる場所で討伐に専念する

索敵は本職の斥候がやるし、知覚魔法もある


完全に分業されているので、戦闘職には偵察行為自体が必要ない

だから、外部稼働ユニットのようなロボットを用意する必要はないのだ



「確かに、AIの外部稼働ユニットって、パーティとかを組めない俺達が頭数増やすために使うんだもんな。Bランク以上と俺達って、常識から戦い方、敵の構成まで全然違うんだな。当たり前だけど」


「まあまあ、なんか今日は愚痴多いよ? せっかくの退院祝いなんだから仕事から離れようよ」


フィーナは、美味しそうにワインを飲んでいる

俺は、ちょっとトイレに立った



なんかモヤモヤする

実力以外に、金の面でも差をつけられてしまった

全然、フィーナに相応しい人間になんかなれてないな…


トイレから戻ると、フィーナが酔っぱらいの若い男に話しかけられていた


「どうした?」


「あ、ラーズ! この人が、連れがいるって言ってるのに全然信じてくれなくて…」


俺がその男を睨む

俺はちょっとへこんでるんだ、今なら喧嘩できるぞ?


「な、何だよ、本当に連れがいたのかよ…」

男は気まずそうに、そそくさと自分の席に戻った


「ありがとう、ラーズ。お店の中で騒ぐのも嫌だったし、戻って来てくれて良かったー」


「結局何もしてないけどな…」


モヤモヤしてるくせに、フィーナに声かけた野郎に本気でイラッとしてしまった

なんなんだ、俺はいったいどうしたいんだ…



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ