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92話 ローン手続き

用語説明w

ナノマシン集積統合システム:人体内でナノマシンを運用・活用するシステム。ラーズの固有特性となった


ゼヌ小隊長:1991小隊の小隊長

メイル:1991小隊の経理と庶務担当、獣人の女性隊員

エマ:医療担当隊員。回復魔法を使える(固有特性)

シリントゥ整備長:整備班の整備長。ドワーフのおっさん

デモトス先生:ゼヌ小隊長が紹介した元暗殺者で、ラーズの戦闘術の指導者。哲学と兵法を好む


ゼヌ小隊長とデモトス先生が話している

いつも思うが、この二人ってどんな関係なんだ


ゼヌ小隊長も実は元暗殺者だったり?

いや、さすがにそれはないか


「おはようございます」


俺は朝の挨拶をして、早速ローンを組んで式神を購入したいことを説明する


「へー、式神ね。ほんとうに買えるなら、固有特性として登録出来るんじゃないかしら」


「確かに珍しいな。式神なら、私生活でも一緒にいるのだからテロリストに襲われた場合にもよさそうだ」


二人の反応は良好だ

そうか、式神を持てれば固有特性としても登録出来るんだ


「許可は出すから、ローンの報告書をメイルに貰って出してね」


「分かりました」


あっさりとゼヌ小隊長に了解を得られた

よし、ヒコザエモンさんに連絡して式神を買うぜ!


「ラーズ、休日は楽しめたかね?」


「はい、デモトス先生。町でジャンクな食べ物をたくさん食べてしまいました」


「うん、いいね。たまに好きなものを食べ、体に刺激を与える。これはチートデイといって、代謝を落とさずに維持する効果があるんだ」


「こ、今回の休日も訓練だったんですか!?」


「訓練に終わりがあるわけないだろう? ただ、心身をリフレッシュするのも訓練だということだ」


当然のように、本日の訓練を言い渡されてしまった




・・・・・・




メイルを探していると、ハンガー内でシリントゥ整備長を見つけた


「シリントゥ整備長、お早うございます」


「おう、ラーズ。訓練中はゾンビみたいな顔してたけどよ、もう大丈夫なのか?」


「なんとか大丈夫です。ま、今日からまた訓練なんですけどね…。それより聞いてください!」


俺は、シリントゥ整備長にも式神の件を話す


「式神なんて珍しいな、防衛軍でも式神使いなんてそんなにいないんじゃねえのか?」


「やっぱり珍しいですよね」


「ネクロマンサーがゴーストを使役したり、シャーマン系統が霊獣を使ったりは見たことあるけどな。使役できる対象なんて、普通は特殊な技能がないと手に入らないからラッキーだぞ」


「やっぱりそう思いますよね!」


「使役対象は霊体がメインだろ? 普段は術者の体に封印できるはずだから、持ち運びに便利でいいんだよな。モンスター使いやロボット系は連れて歩くのがなかなか大変で…」


等とシリントゥ整備長と話していると、ちょうどメイルが歩いてきた


「あ、メイル! ローンの報告書が欲しいんですけど」


「ローン? 何に使うの!? ギャンブルじゃないでしょうね?」

ギロリ…メイルはローンの単語を聞くと目付きを変える


「え!? いや、違いますよ!」


俺は、三回目の式神説明をする


「ふーん、なるほどね。分かったわ、経理室に来て」


「分かりましたけど、ローン組むってあんまりよろしくないんですか? メイルの目があまりに怖かったんですけど…」


「何人もの隊員がお金で失敗してるからね。ラーズもお金で失敗した馬鹿に襲われたでしょ?」


「…そうでしたね」


あの強盗野郎は今はどうしただろう?

刑務所に入ったのかな


「…そういう隊員を出さないように、早めに気付いてあげるのも経理の仕事なのよ。防衛軍は見習いが終わったらローンを組むことが出来るようになるけど、調子にのって返済できなくなり、バレたくなくて…の王道パターンって多いんだから」


経理も気苦労が多そうで大変だ

メイルは責任感が強いから尚更なんだろうな


また入力のバイトをしてあげよう




・・・・・・




医療室に来て、ナノマシン群の素材溶液をもらう


「はい…」


「エマ、ありがとう」


エマは、ついでに恒例の毒ジュースをくれる


「そう言えば、ナノマシンシステムって2.0より先があるの? デモトス先生に言われたんだけど」


「ええ…。先というか…拡張というか…?」


「拡張って2.0の拡張ってこと? そもそも、2.0の発動って何で判断できるんだろう?」


「それはね…」


エマが説明してくれた

エマは語尾が小さくなる癖はあるが、説明は分かりやすい


ナノマシン集積統合システム

普通は治癒力がアップするだけの人体強化手術だ


だが、これが2.0になると体内のナノマシン群の含有量が増え、身体能力の向上が見られる

これの発動の判断はスイッチだ


普段は通常の身体能力だが、スイッチを入れるように任意に身体能力を変化させられる

ただし、維持にはナノマシン群のエネルギーを使ってしまうので、発動時間には制限がある


そして、この2.0がもう一歩進んだ状態が、2.1だ

肉体の一部を変形、もしくは特異な機能の発現が可能になる


身体能力の向上自体が、変形や特異機能と言えなくもないことから、その変化を一歩進めた状態

すなわち、2.0→2.1と表現している


具体的には、俺が戦ったナノマシン群の前の宿主みたいな片腕の肥大で、あれは暴走の結果だがれっきとした肉体変形の発現だ


他にも、腕を刃物にしたり、全身の高質化、高熱部位や超音波発生機能の生成など多岐に渡る


「どんな能力が欲しいのか…、2.1に向けてのイメージは必要かも…」


「イメージか、どんな能力がいいかな…、考えてみるよ」


ナノマシン集積統合システム2.1か、概要は分かった

これが発現が出来たら名実共に強化人間だな

今の治癒力アップってだけじゃ、強化手術だけじゃ地味すぎるんだよな


「あ、そう言えばずっと聞こうと思っていたんだけど」


「え…何…?」


「エマもサイキッカーって本当なの?」


「ええ…一応…」


「あまりない能力って聞いたんだけど、どんな能力か聞いてもいい?」

ずっと聞こうと思っていたのだが、きっかけが無くて聞けなかったんだ


「わ、私の能力は…凄く弱くて…」

そう言って、エマは教えてくれた


エマのサイキックは、心の曲と呼ばれている


テレキネシスは力を対象に収束することによって、動かしたり弾いたり出来る

しかし、力の収束が苦手だったエマは、発想を変えてその力を拡散させることにした


周囲の大気にテレキネシスの力を拡散させ、振動させる

空気の振動、つまり音を出せるのだ

更に、この音にテレパスでイメージを乗せて飛ばすことで、人の感情に働きかける心の曲となるのだ


激しいテンポの曲を奏で、これにテレパスで戦いのイメージを乗せれば、聞いた者を鼓舞する戦いの曲

寂しい静かな曲に、悲しみのイメージを乗せれば失意の曲


だが、この能力には欠点があった


「敵味方関係なく、曲を聞いた人全員に影響を与えちゃうの…」


「あー…、曲だとそこにいる全員に聞こえちゃうもんね…」


だが、参考になった

サイキックも、いろいろな能力に育てられる


ナノマシン集積統合システム2.1とサイキック、そろそろイメージを決めていかなければならない



「まずい、時間だ!」

気がつくと、まもなく訓練の時間になっていた


今日はいつものトレーニング、そして実戦訓練

これに加え、今日はブービートラップの作成訓練が加わった


「トラップ作りは反復練習あるのみだ。今日は百回ほど作ってみよう」


「三種類で百回って、合計三百回ってことで…、はい、やります!」


「明日はクエストに行くからね。今日中に身に付けたまえ」


「クエストですか!?」


デモトス先生の訓練で、イメージを作るどころじゃなくなってしまったのは言うまでもなかった


今日は泉竜神社へ行きたかったのだが、無理だ…

ヒコザエモンさんに、メッセージだけ送っておこう




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