勧誘
前回の赤点取った人の答えが出てきます!
「・・・まぁ・・・赤点一人だけは良かったかな・・・」
テスト期間が終わり部活も解禁されたが
未だにサッカー部は部員が一人足りない状況だった
・・・いや・・・正確には二人足りない状況になってしまった
「すいません・・・一応ぶっ続けで教えてはいたんですがテスト本番に
どうやら限界がきたらしく気絶するように寝てしまったらしいです・・・」
宗孝の話では赤点を取ってしまった錦次はテスト中に寝てしまったらしい
「いや・・・別に責めてるわけじゃなから・・・錦次以外」
純也も勉強を教えていた宗孝や真樹を責めているわけではなく
むしろ赤点を取ってしまった錦次の方に対して怒っていた
「それよりも今日はどうしますか?雨が降ってるし
グラウンドは使えないですよ?・・・一部を除いて・・・」
瑛は今日のメニューはどうすればいいのかを確認する
テストが終わりいよいよ部活開始と思われたのに
今日は生憎の雨模様だったのだ
ちなみに瑛が言っている例外は
今現在グラウンドで走り込んでいる匠真に対してだった
「そうだな・・・さすがにあのバカを見習うわけにもいかないし
今日は部員の勧誘をすることにするか!」
まともに部活ができないと思った純也は部員の勧誘をすることにした
「来てくれましかね?」
桃は部員勧誘のプリントを作りながら
本当に部員が入ってくれるか不安に思っていた
「それでも勧誘しないと廃部になっちまうからな〜
ダメで元々ってやつだよ」
「・・・って感じで頑張ってはみたんだけどな・・・」
そんな期待は儚くやはり部員は一人も入ってはこなかった
「どうします?このままだとマジで廃部ですよ?」
真樹はこのままだと廃部になってしまうと告げる
「そうだな〜いざとなったら喜乃夢に人肌脱いでもらおう!」
純也は最終的に桃の色仕掛けで部員を確保しようと言う
何か血迷った考えを持っていた
「あははは・・・」
肝心の桃はそれを聞いて乾いた笑いしか出なかった
するとその前を本を読みながら歩いている蓮が横切る
「歩きながら本を読んでたら危ないよ?」
桃はわざわざ蓮の目の前に行き危ないと忠告した
「うぉ?!」
いきなり目の前に出てこられた蓮は思わず驚いて本を落としてしまう
「ごめんごめん!今拾うね!」
桃はさすがに悪戯が過ぎたと思い落とした本を拾う
「はい!」
拾った本を桃は蓮に手渡す
「全く・・・廊下では別にいいが階段でやってくるなよ?」
蓮はメガネを上げ本をもらいながらそう告げると
「失礼だな!私だってちゃんとそれくらいわかってるよ!!」
さすがの桃もそれくらいはわかっていると頬を膨らませて怒っていた
「ふっ・・・それで?そっちは何してるんだ?」
蓮はその表情に思わず笑ってしまい誤魔化すように何をしているのか聞く
「あはは・・・実は・・・」
「なるほどな・・・まだ部員が集まってなかったのか・・・」
蓮はまだ部員が集まっていないことに驚いていた
「うん・・・やっぱり人気がないのかなぁ〜・・・」
桃は今の状況を見てやはり人気がないのかと思っていた
「まぁ・・・ここにそんな体育会系の奴なんていないだろうな・・・」
蓮もこの学校にそんなスポーツができる生徒がいるとは思っていなかった
「やっぱり私は蓮くんのプレイが見てみたかったな〜・・・」
すると桃はいつの間にか蓮のプレイを間近で見てみたいと呟いてしまっていた
「・・・前にも言ったろ・・・俺にそんな時間はない・・・」
しまったと思っていた桃だったが蓮がそれに対して素直に答えてくれた
「そうだよね・・・ごめんね無茶言って・・・」
桃はさすがに無茶を言ってしまったと反省していた
「いや・・・でも・・・」
しかし蓮は気にすることはなく桃の持っていた勧誘の紙を手に取った
「勧誘の手伝いくらいはしてやるよ」
そう言われて桃は思わず頬を緩ませ
「うん!」
笑顔でそう返した
「それにしても・・・予想以上だったな・・・」
蓮は勧誘を手伝って思い知らされた
予想以上に生徒がサッカーに興味を持っていないと言うことに・・・
「はい・・・私達もあれから頑張ってはいるんだけど
やっぱり興味は持ってくれなくて・・・何か方法ないかな?」
桃もこの現状はさすがにまずいと思っており
どうにかする方法がないか考えていた
「・・・だったら手取り早くサッカーがどんなものなのか見せてみたらどうだ?」
蓮はそれならばサッカーがどんなものなのか見せてみればいいのではと告げる
「それって練習試合をウチでしてサッカーを見せるってこと?」
つまりは目の前でサッカーの試合を見せてサッカーに興味を持ってもらおうと
考えているのだと桃は思っていたが
「そう簡単にうまくいくかな〜?」
桃はそう簡単にうまくいくはずがないと思っていると
「喜乃夢〜!」
そこに先ほど分かれて勧誘しに行った純也が歩いてきた
「どうしたんですか?」
桃はそんなに慌ててどうしたのか聞く
「いや・・・実はまた練習試合をすることになったんだよね・・・」
「「・・・ウソォ・・・」」
「まっまぁなんにしても都合いいんじゃないか?
この練習試合を見てもらえれば部員も入ってくれるだろ?」
蓮はあまりの展開に思わず驚いてしまうがそこは冷静を装い
桃に良かったなと告げる
「何の話だ?」
話を聞いていなかった純也は一体何の話なのか疑問に思う
「えっと・・・実は・・・」
「なるほどな・・・練習試合の見学か・・・確かにいいな!」
純也は今回の提案を聞いて目を輝かせる
「でも結局部員少ないから試合できないんじゃ?」
すると一緒に勧誘していた瑛がどのみち人数が少ないので
試合ができないと告げる
「ああ・・・そういえばそうだった・・・」
純也も根本的な理由を思い出し再び項垂れる
「・・・試合の日によっては出てもいいですよ・・・」
すると蓮がその試合に出てもいいと言ってきた
あまりのことに三人は驚いて目を見開くが
「ありがとう!蓮くん!」
すぐに桃が嬉しそうに笑顔で感謝する
「まぁ・・・元々俺が提案したことだからな・・・これくらいはしてやる」
蓮は恥かしそうにしながらそう言っていた
「ありがとう!行町!!本当にありがとう!!」
すると涙を流しながら純也が手を取って感謝してきた
「ちょっ?!色々付いちゃうんで!いますぐ離してください!!」
なんとか純也を離して落ち着かせる
「いやぁ悪かったな・・・何せかなり切羽詰まってたんで・・・」
さすがの純也もあまりに気が動転してしまい
取り返しがつかないことをしてしまったと後悔していた
「いや・・・別にいいんですけど・・・俺も身に染みてわかりましたし・・・」
蓮も先ほどの勧誘でどれだけ追い込まれているのかわかったので
さすがに責める気はなかった
「そうか・・・それと試合の日は悪いんだがまだ決まってなくてな・・・
後で連絡するってことでいいか?」
純也は試合の日は後で連絡すると言って帰って行った
「・・・つう訳で次の練習試合は重岡工業に決まった
この試合には行町が参加してくれることになりました!!」
純也は早速部室に戻り今回の件をみんなに教える
「なるほど・・・サッカー観戦でアピールか・・・
それは思いつかなかったな・・・」
庄司はそんな手があったとはと驚いていた
「いやまぁ・・・俺じゃなくて思い付いたのは喜乃夢と行町なんだけどな・・・」
純也は別に自分が言ったわけではなく桃と蓮の提案だったので
なぜか肩身が狭い感じになっていた
「つまりはこの試合で勝てば部員が入ってくるわけだな!!」
理解力の乏しい匠真はとりあえずわかったところだけを勝手に解釈していた
「いや・・・別にだからといって部員が入ってくれるわけじゃないんだが・・・」
純也はそんなに簡単にいくわけではないと思っているのだが
肝心の本人はやる気に満ち溢れており全く聞く耳を持っていなかった
「重岡工業・・・うちがまともにやり合える高校の一つでしたね」
宗孝は相手校である重岡工業について考えていた
「ああ・・・多分今年のキャプテンはあいつなんだろうな・・・」
純也は去年の重岡工業のことを思い出し今年のキャプテンが誰なのか想像して
なにやらやる気をなくしていた
「えっと・・・何かあったんですか?」
去年のことを知らない桃は一体なにがあったのか聞く
「そうだな・・・会ってみればわかるんじゃないか?・・・」
しかし誰に聞いても教えてはくれず当日までの楽しみとなってしまった
「とにかく次の練習試合はウチの廃部を賭けた戦いになる!
各々覚悟を持って戦うように!!解散!!」
「「「「はい!!」」」」
「それにしても蓮が試合に参加するなんてな・・・
どうやって誘惑したの?喜乃夢さん」
解散の後大翔は桃にどうやって誘ったのか聞く
「別に誘惑してないよ!変な誤解生まないで!
それに蓮くんが参加してくれたのは・・・
サッカー部の現在を知ったからであって・・・」
桃はなんで蓮が参加してくれるのか説明していると
(あれ?言われてみればなんで試合に参加してくれるのかな?)
桃自身も蓮が試合に参加してくれる理由を何も知らないことに気がついた
「・・・まぁいいか!また蓮くんのサッカーが見れるんだし!」
「・・・はぁ・・・何であんなこと言っちまったんだろうな・・・」
肝心の蓮は家に帰ってきてベッドで後悔していた
というのも先ほど言ってしまった試合に参加することについてだった
(確かに提案したのは俺だし手伝う必要があると思ってはいたけど・・・
何で試合にまで参加することにしちまったんだろう・・・)
蓮自身も何であんなことを言ってしまったのか考えていた
すると前に大翔に言われたことを思い出していた
『俺も本当はもっとお前とサッカーやりたかったけど
今日の試合ができただけでも嬉しいよ!』
そう言われたことがおそらく蓮にとってうれしいことだったのだろう
そして先ほど桃に言われたあの言葉・・・
『やっぱり私は蓮くんのプレイが見てみたかったな〜・・・』
蓮にとって誰かに自分のプレーを
もう一度見てみたいと言われたことはなかった
おそらくこの二つが蓮が試合をしてもいいと思ってしまった原因なんだろう
「まぁいいか・・・とにかく俺は試合に参加するだけだ・・・」
こうして各々の気持ちを胸に時は過ぎていく・・・
次の練習試合の相手は重岡工業!