秀扇VS桐山 練習試合
いよいよ試合です!!
そして時間は流れいよいよ桐山高校との練習試合の日になった
「うぉぉぉぉぉ!!今日は勝つぞぉぉぉぉぉ!!」
匠真が相手校の中で叫び声を上げる中冷静な純也は今回の試合について考えていた
「なぁ白石・・・お前は今回の練習試合にレギュラーが出てくると思うか?」
宗孝はそれに対して即答する
「それはないですね・・・
それならわざわざ自分達の学校に来させるなんてしませんし
第一ウチは一、二回戦で消える弱小校・・・
そんなことをすれば試合にすらならないと考えているはずですよ?
向こうの監督は・・・」
宗孝の言う通りレギュラー陣が出てくるのなら
わざわざ自分達の高校に来いとは言わないし
何よりこんな弱小校を指名したりなどしないだろう
(まぁ・・・『普通』ならだが・・・)
しかし秀扇には相手がレギュラー陣を出してでも見たいと思っている人材がいる
純也はもしかしたらとその可能性を考えてみたがそれでも
全国のチームと戦う方が得が多いはずなのでそれはないと切り捨てた
「・・・てか案内の人が来てくれるとか言ってけど全然来ないっすね?」
実は先ほどから純也達が移動しないのは案内しれくれるはずの人が来ないからであった
「おまけに助っ人をお願いした先輩も来てないですしね・・・」
さらに言えば今日助っ人をしてくれるはずのもう一人の先輩もまだ来ていなかった
「・・・これ・・・ちゃんと練習試合できるんですかね?」
大翔は今の現状を見て本当に練習試合ができるのか心配になっていった
「まぁ・・・大丈夫だろ・・・多分・・・」
純也はそう言ってしばらく待っていることにすると
「悪い悪い!待たせちまったな!!」
ようやく待ち人の一人である助っ人の先輩が来てくれた
「いえこちらこそお忙しいところをお呼びして申し訳ありません先輩」
純也が頭を下げているのは去年までサッカー部にいた渡辺 重国だった
「別にいいよ!サッカー部のピンチは俺のピンチだしね
それに地区最強の桐山高校との練習試合と言われれば無理してでも参加するでしょ!」
重国も桐山高校には悔しい思いをさせられたのでリベンジしたくて仕方なったようだ
「それで?なんでお前達はここで一体何してるんだ?」
すると重国は門の前でずっと何をしているのか疑問に思ったらしく理由を尋ねる
「ああ・・・実は」
純也は今の経緯を先輩に説明すると
「マジか・・・俺その人より後に来てたらヤバかったのかよ・・・」
重国は案内の人より早めに来れたことに安心していた
それもそうだろう
自分がもし案内の人より遅れてしまっていたら試合が始まる所か
試合そのものをなかったことにされてしまっていたかもしれないのだから
「まぁ先輩は来てくれましたからね・・・あとは案内に人が来てくれれば・・・」
そう思って相手校のグラウンドを見ているとそこから誰かが走ってくるのが見えた
「秀扇高校の皆さん!お待たせして申し訳ございません!!」
そう言っていたのはジャージ姿にメガネをかけたどちらかというと
ウチにいそうな優等生のような生徒だった
「僕は桐山高校サッカー部マネージャーの小林と申します!
ではみなさん僕についてきてください!!」
そう言われて秀扇高校の皆はその小林という生徒について行った
(いよいよ桐山高校との練習試合か・・・緊張するな・・・)
高校初めての試合に大翔は大きな期待を胸にグラウンドへと向かうのだった
「・・・のはずなんですけど・・・」
「デカすぎません?!このグラウンド?!!」
大翔は真っ先に見て思ったのはグラウンドの広大な広さだった
「なんでもウチの校長がサッカー部と野球部が両立できるように
グラウンドを大きく改築したそうです!」
と小林さんが説明をしてくれたのだが
「いやいや・・・それでもこの設備の充実さに驚きしかないんだけど・・・」
純也もさすがにそんなものでは済まされない設備の充実さに驚いていた
「わぁ〜はっはっはっ!相手にとって不足はないな!」
能天気な匠真は戦い甲斐のある相手だと嬉しそうにしていた
「はぁ・・・あの能天気は別にいいとしてみんなは緊張してないか?」
純也はあいつは大丈夫だと判断し他の部員が
緊張しているんじゃないかと思って後ろを振り返ると
一人は普通に寝ており一人は他校の女子をナンパしておりと
まともに緊張しているのは一人くらいだった
(・・・まっまぁガチガチに緊張させるよりかはマシかな?)
純也はまぁこれはこれでマシだと思うことにし
そのままみんなと一緒に相手のチームの監督の元へと向かった
「よく来てくれた
私はこの桐山高校サッカー部の監督 大明寺 勝人だ」
向こうの監督は強面のいかにも強豪の監督と言った顔をしていた
「こちらこそサッカー部副キャプテンの伊藤 純也です
本日はお招きいただき感謝しています」
純也はそれに対してキャプテンに変わり社交辞令をこなす
「正直今回の練習試合に関してはあまり勝敗にはこだわらないつもりだ
それを踏まえてそちらの方もこの試合に臨んでほしいと思っている」
「・・・てな感じで言われたんだが・・・明らかに舐められてるよなこれ?」
純也は先ほど相手の監督に言われたことをみんなに話すと
すぐさまみんなはやる気に満ち溢れた目をし始めた
「それじゃあみんな・・・早速行こうか!」
一方その頃・・・
「・・・・・」
蓮は自宅で本を読んでいるとふと桃に渡された紙に目がいった
(・・・行かなかったら何言われるかわからないな・・・)
蓮は渡してきた桃の性格を考え行かなかったら
後々面倒くさいことになると思った
「はぁ・・・仕方ない・・・行くか・・・」
蓮は諦めて紙の地図を頼りに桐山高校へと向かうことにした
そして場所は戻り桐山高校グラウンド
「やはり相手はレギュラーを使わないみたいだな・・・」
相手の陣地を見ている純也は最初の考え通りになっていると思っていた
「そうでもないみたいですよ」
しかし横に来た宗孝がその通りでもなかったことに気づいていた
「確かにほとんどの奴が入学したばっかの一年生みたいですけど・・・
あいつがいます・・・五十嵐 仁が・・・」
宗孝の視線の先にはこの桐山高校のエースである五十嵐 仁の姿があった
「おいおい・・・エースが出るほどの相手か俺たち?
指導するにしても他に人がいるだろ・・・」
純也はまさかの誤算に思わず悪態をついてしまう
「でも問題はないでしょう・・・確かにあいつは脅威ですけど
他が一年生ならまだなんとかなります・・・」
確かに宗孝の言う通りどんなに一人が優れていてもサッカーは十一人でやるもの
ようはその一人にさえ気を付けていれば負けることはないのだ
「そうだな・・・様子を見つつゆっくりと攻めていくか」
純也はなるべく点を取られないようにゆっくりと攻めようと考えていると
「ぬるいわぁぁぁぁぁ!!」
「「ぬぉお?!!」」
「純也よ!いつからお前はそんな軟弱な男になった?!!」
いつの間にか二人の後ろにいた匠真が先ほどの話を聞いており
どうやら納得がいかないようで怒っていた
「そうは言うがな・・・相手にはまだ後ろにレギュラーがいるんだぞ?
そいつらが出てきたらそれこそ終わりってもんだろ・・・」
純也はもし自分たちが勝ち越すか有利な感じになってしまったら
間違いなくレギュラーが出てきてしまうと考えていた
もしそうなったら間違いなく敗北は確実だろう
「馬鹿者!むしろそうなってくれなくては困るだろうが!!
地区大会になったら嫌でもそのレギュラーと戦うことになるんだぞ?!」
しかし匠真の言う通り地区大会にはそのレギュラーが出てきてしまうのだ
今のこの状況でそんなレギュラーに怯えていては秀扇高校は廃部になってしまう
「・・・わかった・・・その代わり攻撃のタイミングは全部白石に任せるからな?」
純也もその事はよくわかっていたので攻撃は全てを白石に任せて
自分は点を取られないように慣れていないGKに専念することにした
「それでは皆さん試合を始めます!」
そして審判の人の声によりいよいよ桐山高校との練習試合が始まろうとしていた
相手校も守備位置に着き試合開始のホイッスルがなった
まずは桐山高校にボールが渡る
この高校の攻撃はもちろんエースであり司令塔でもある五十嵐から始まる
(まずはその司令塔からボールを奪い取らないとっすね!)
そう思って錦次は早速五十嵐のボールを奪いに行こうと近づいた瞬間
「悪いけど・・・それは僕にとって悪手だよ」
「?!!」
近付こうと開いた足の間にボールを通してパスしたのだ
「チィ!早速仕掛けてきやがったか!ディフェンス!」
パスが通ったことに気がついたDF陣は早速展開し守備を固める
(ウチは基本マンツーマンで守る方だからな・・・抜かれさえしなければいい!)
秀扇高校の守りは基本マンツーマンで行い相手の足が止まったところを
「しまった?!」
MFが取るという仕組みになっていた
「白石!」
相手からボールを取った周平は早速自分達の攻撃の起点である宗孝にパスをした
「ナイスです秋田谷先輩!」
ボールを受け取った宗孝は早速ドリブルで駆け上がりながら相手の守備を見る
(さすが強豪だな・・・一年生でも守備の技術はそれなりか・・・)
宗孝はその守備を見てさすがは強豪と称賛していた
「でも・・・それじゃあウチのストライカーは止められない!」
そう言って宗孝はボールを大きく蹴り上げた
大きく蹴り上げられたボールは誰もいない相手のゴール前へと飛んでいく
「馬鹿め!自らボールを手放しやがって!!」
相手側は全員このボールをパスミスだと思っていただろう
・・・次の瞬間までは
「おぉぉぉぉぉ!!」
「?!!」
なんとボールの着地点にはいないはずの匠真が待ち構えていた
「なんで?!DF!!」
相手のGKは急いでDFに守備を固めるように指示を出す
それにより匠真の周りに二人のDFが付いてしまう
「おぉぉぉぉぉ!!」
しかし匠真はそんな事お構いなしにジャンプし空中で相手のDFを吹き飛ばす
「オォォォラァ!!」
そして空中から放たれたヘディングシュートにGKは反応できず
「おっしゃぁぁぁぁぁ!!」
先制点は秀扇高校が取った
先制点は秀扇高校が決めるのだが・・・