秀扇高校 対 弦殿高校 1
第四回戦 開始!!
そのまま時が進みいよいよ四回戦目である
弦殿高校との試合の日となった
「・・・・・」
そして今回の大会で要となる宗孝は
今まで以上に緊張していた
「やるだけのことはやった・・・
失敗しても文句は言わん」
真樹は別に失敗しても文句は言わないと宗孝を励ます
「安心しろ・・・別に失敗するかどうかで悩んでるわけじゃない・・・
ただこの試合を勝てば残る試合は二つ・・・
全国が見えてきたと思ってしまっただけだ」
どうやら宗孝はこの後に待ち構えている全国への切符・・・
それを賭けた戦いが待っているのだと思って緊張していたのだ
「ああ・・・だからこそ負けられないな・・・」
真樹はならば今日は負けるわけにはいかないと
気持ちを切り替えていた
「どうしたどうした?そんなに緊張した顔しやがって!!」
するとそこへ空気の読め無い男が近づいてきた
「・・・錦次・・・お前はもう少し緊張感を持て・・・」
宗孝はその態度を見て先ほどまで自分が緊張していたのが
馬鹿らしいと思ってしまっていた
「何を言っているだ!俺はいつも女子が見てくれてるんじゃないかと思って
毎試合緊張してるに決まってるだろ!!」
錦次の緊張する理由を聞いて
宗孝と真樹はアホらしくなってきたとため息をついていた
「今回俺の出番はないのか・・・」
そしてこっちでもアホらしい理由で落ち込んでいる男がいた
「匠真よ・・・今回は相手のパワーが上なんだから
平面で戦うっていってただろ?」
どうやら匠真は今回の作戦について納得がいってないらしく
ずっといじけていた
それをなんとか純也が説得しているのだがうまくはいっていなかった
「それじゃあ今からあいつを超えてやる!うぉぉぉぉぉ!!」
すると匠真は筋トレを始めてしまった
「いや今から鍛えて超えれるわけがねぇからな?!」
純也はその行動に驚くと同時に意味がないと言って止める
「離せぇい!!俺は活躍したいんじゃぁぁぁぁぁ!!」
匠真は自分が活躍するのだと言ってなんとか純也を引き剥がそうとする
「・・・試合の前なのになぜ
ウチのメンバーはこうも落ち着きがないんだ・・・」
蓮はその様子を見てこれがウチのメンバーかと呆れていた
「でも楽しいからいいんじゃないの?」
大翔は楽しければそれでいいと考えていた
「だからと言って試合前に体力を無駄に使うのはどうかと思うぞ?」
もしこのまま騒ぎ続けたらまた力尽きるのではないかと思っていた
「・・・それは否定できないな・・・」
さすがの大翔も自身がそれをやった経験があるので
否定することができなかった
「とっとにかく今は試合に集中で!」
大翔は必死で話を逸らし試合に集中させることにした
「オ〜ッス・・・ってなんかまた混沌としてんな・・・」
ロッカールームに入ってきた相先もこの状況を見て
またかと思ってため息をついた
「まぁいいや・・・作戦は前に言った通りだ・・・
お前らならできるって信じてるからな?」
相先はメンバー全員を信じていると言ってメンバーを送り出す
みんなはその言葉を受けフィールドへと向かった
フィールドへと上がって行き挨拶を交わして
全員持ち場へと着く
みんなが今かと待っている中
試合開始のホイッスルが鳴った
最初のボールは秀扇高校でまずボールを持ったのは大翔だった
大翔はそのままボールを持って前線へと駆け足で上がっていく
「!」
その前に同じ俊足の持ち主である伊野道が立ち塞がった
大翔はなんとかスピードで翻弄し抜こうとするが
(こいつ・・・思った以上に早い!前の試合では手加減してたな?!)
どうやら伊野道は本気を出していなかったらしく
大翔のスピードにも難なく付いて来ていた
「帰家!無理するな!こっちに戻せ!!」
すると後ろから純也が来ており大翔はそっちにボールをパスした
「よし・・・?!」
純也はボールを受け取った瞬間に何かの気配を感じて
急いでボールを持って後ろを振り返る
「・・・よくわかったな・・・」
すると後ろには今回の要注意人物である影宮がいた
おそらくは試合開始した瞬間からマークしていたのだろうが
(気付かなかった・・・あの特訓がなかったら
普通に忘れてボールを取られるところだった・・・)
純也はあの特訓が役に立ったと思いながら
とにかくボールを取られないように立ち回る
だが・・・
(こいつ・・・うまい・・・!)
特訓の時とは裏腹に影宮は強く純也も善戦はしているが
ボールを死守するので精一杯だった
(くそっ!このままだと囲まれて取られる!)
さすがにこのままだとまずいと感じ
なんとかパスを出そうとフェイントをかけるが
「・・・それはダメだよ・・・」
そのフェイント使った一瞬の隙をついてボールを取られてしまった
ボールを奪い取った影宮は伊野道にボールを渡した
「おっと!そう簡単には行かせないよ?」
だが伊野道には大翔が徹底マークする構えであり
絶対に前には行かせないように立ち塞がった
「早いね・・・あんた・・・」
伊野道は素直に大翔の足を賞賛していた
「けど残念だったね・・・俺は止められてもいいんだよ!」
伊野道は抜けないと感じた瞬間にMFにボールを渡した
そして相手のMFはゴール目掛けて上がってくるが
「そう簡単に行かせるわけねぇだろうが!!」
純也が飛びだしてなんとかボールを奪い取る
(取ったのはいいが・・・誰に渡せばいいんだよ・・・!)
しかしボールを取っても宗孝には影宮が
大翔には伊野道が
そして匠真には金剛がついていた
この状況ではさすがにパスを出すわけにはいかないと思い
「周平!!」
純也は誰もマークしていない周平にパスを出した
(こうなるのはわかってたけど・・・やっぱり怖い!)
ボールを受け取った周平はそのままゴールへと上がっていくが
相手のディフェンスの壁が厚くすぐに囲まれてしまった
「こっちだ!」
すると一番背の高い庄司が近くまで来てくれた
「よっしゃぁ!!」
周平はそれを見て庄司にゆるく高いパスを上げた
庄司はそれを取ろうとジャンプした瞬間
「?!」
匠真についていたはずの金剛がそこにいた
「あいつ!匠真についてたはずじゃ?!」
いきなり現れた金剛に周平は驚きを隠せなかった
「グァ!」
庄司は金剛のパワーに吹き飛ばされそのままボールを奪われてしまう
そして金剛はその奪ったボールを大きく蹴り上げる
そのボールはぐんぐんと伸びて行きゴール前にいるFWに向かっていた
相手のFWはそのボールを受け取ろうとジャンプするが
「?!」
道成も一緒にジャンプしており金剛のようにパワーでクリアした
「はぁ・・・やっと一息かよ・・・」
お互いに一進一退を繰り返しており
息つく暇すら与えてはくれなかった
「大丈夫か?」
周平は倒れている庄司を起こしに向かった
「ああ・・・大丈夫だ・・・」
(・・・まずいな・・・)
相先は今の攻防を見て自分の測り間違いに気がついた
(前の試合で全力を出してないことはわかっていたが・・・
こんなにできるとは思ってなかった・・・
特に金剛・・・男虎をマークしてたかと思うと
ボールの動きを読んですぐに三宅へと向かった・・・
ボールへの嗅覚は一級品か・・・)
金剛の予想以上の能力に相先はどうすればいいのかを考える
(やはり高さでの勝負は不利・・・
そうなると伊野道を大翔が抜き
白石が影宮を攻略するしか方法はないか・・・)
相先は二人の選手が今回の鍵になると確信し
彼らがどうにかしてくれるのを祈ることにした
「何にしても・・・まずはこのピンチを防いだ後だな」
リスタートのホイッスルが鳴り相手選手はボールを投げ込む
それを受け取った相手選手はすぐにボールをゴール前に蹴り込んだ
「チィ!」
これには誰も追いつけず結果として相手のFWと蓮の一騎打ちとなった
FWはゴールの隅に向かってシュートを放つが
「!」
蓮はそれを難なくキャッチした
そして誰も近くにいないのを見て
「ハァ!!」
ゴールの前まで大きくボールを蹴りだした
「おっしゃぁ!!」
それをゴール前で待っていた大翔が受け取り
ゴールに向かって走っていくが
「行かせないよ」
伊野道がすぐに回り込んできた
「やっぱり早いですね・・・それじゃあこれはどうですか?!」
大翔はそう言ってフェイトをかけ相手を抜いた
「それくらいで俺が抜けると思っているのか?」
しかしそれは相手も読んでいたらしく
抜けても引き離すことはできなかった
「だったらこっちも本気で走るだけですよ!!」
そう言って大翔はさらに走る速度を上げてみせた
「!」
その速度にはさすがの伊野道も追いつくことができずに
どんどん差は開いていった
(こいつ・・・俺より早いだと?!)
伊野道は大翔との差が開いていくと
自身より早い存在がいるのだと思い驚いていた
「だが・・・俺はそれでも止めなくちゃいけないんだよ!!」
伊野道はそれでも負けるわけにはいかないと
反則ではあるが後ろからスライディングを仕掛けるが
「?!」
それは大翔に読まれており躱されてしまった
「オラァ!!」
そしてそのまま大翔はシュートを放ったが
残念ながらそのボールはバーに弾かれて
フィールドの外へと飛んで行ってしまった
「さすがに体勢を崩された状態じゃ入らないか・・・」
大翔はシュートを外したのは
伊野道の執念のスライディングがあったからだと言っていた
「さて・・・ここからが本番だな・・・」
そう思った矢先に前半終了のホイッスルがなった
「・・・締まらねぇ〜」
締まらない終わり方をした前半
果たして後半で鉄壁の三人から点を取れるのか?!




