重岡工業との練習試合前日
練習試合前日です!
みんながそれぞれの練習に励むようになり
いよいよ重岡工業との練習試合が明日になった
「さて・・・いよいよ明日が本番・・・重岡工業との練習試合だ・・・
準備はできてるか?」
純也は明日に控えている練習試合への準備は大丈夫か確認する
「もちろんっすよ!いつでもバッチコイっす!!」
その問いに対していち早く答えたのは錦次だった
しかしそれは明らかに部員を集めるためではなく
女子に褒められたいからのやる気なのであまり褒める気にはなれなかった
「まぁ・・・癪ですけどこいつの言う通り準備はできてますよ」
宗孝はそんな邪な考えの錦次とは一緒にして欲しくないが
それでも同じく準備はできていると答える
「ちょっと待て?!俺と一緒が嫌ってなんでだよ?!」
錦次は何で宗孝が自分と一緒にされるのは嫌なのかわかっていなかった
「そういえば当日はどれくらい集まりそうなんだ?」
そんな錦次は放っておいて真樹は当日に生徒がどのくらい集まるのかを聞く
「そうですね〜・・・ざっと五十人くらいは来ると思います!」
桃は事前の調査でそれくらいの数が来るはずだと言った
「五十人か・・・できればもう少しくらいは来てほしかったが・・・
まぁ来てくれるだけありがたいってやつか・・・」
純也はできればもう少し多くの人に集まってほしかったらしいが
それでも誰も来ないよりまだマシだと思っていた
「あとは当日にどれだけ心を動かせるか・・・だな」
しかしそれもただ見物されるだけではダメなのだ
試合を見て部員になってくれるようにやらなければこの試合の意味がない
「うぉぉぉぉぉ!!燃えてきたぁぁぁぁぁ!!」
「・・・頼むから試合の前に燃え尽きるなよ?」
あまりにもテンションが上がってしまっている匠真に
純也は頼むからそのまま試合前に潰れないように注意する
「さて・・・それじゃあ今日は軽くやって帰るぞ!」
純也は早速練習を開始し今日は軽くやって早めに終わらせることにした
「それにしても皆さんだいぶ良くなりましたね」
大翔はみんなの成長ぶりに驚いていた
「そうだな・・・でもまだまだだ・・・全国大会に行くにはな・・・」
しかし純也はこれでもまだ全国に行くにはまだ足りないと思っており
もっと練習する必要があると考えていた
「そうですね・・・その為にはやっぱり監督・・・ですか?」
それならやはり監督は必要不可欠だと大翔は思っていた
「ああ・・・どうにかして見つけないとな・・・」
純也もそれは強く思っておりどうすればいいか考えていた
「・・・そういえば行町はどうしてるんだ?」
純也は今回の試合の助っ人になってくれている蓮のことについて聞く
「えっ?どういうことですか?」
しかし大翔は一体何について聞いているのか理解できなかった
「いや・・・この前の桐山高校との試合で実力はわかってるんだけどさ・・・
やっぱり不安というか・・・ゴールを任せていいのかどうか・・・」
どうやら純也は蓮が本当に強いのかどうかを気にしていた
確かに一回だけならまぐれという可能性もあるが
「大丈夫ですよ・・・あいつはちゃんと努力をして
あれだけの強さを身につけたんですから・・・」
大翔は迷うことなく蓮なら大丈夫だと答えた
「それならいいだが・・・」
純也はその自信ありげな答えを聞いて大丈夫だと思っていた
(むしろちゃんとしないといけないのは俺達か・・・)
そして純也はむしろ頑張らなければいけないのは自分たちだと考えていた
(あいつのあのパス・・・受け取れるのは
現状あいつをよく知っている帰家だけだ・・・
俺達があのパスを受け取るためには技術で補うしかない・・・)
純也が考えていたのは蓮が桐山高校との練習試合最後で見せたあのパスの事だった
あんなにボールを蹴り飛ばせる選手はプロでもそうはいない
それに合わせたりするのはそれこそ至難の技だろう
よほどその人物について知っているか実力を上げて取るかの二択だ
大翔は前者であのパスを受け止めたが
純也達にとっては蓮はほとんど知らない人物なので
後者の実力でパスをもぎ取るしか方法がないのだ
「あれだけの実力・・・活かせる自信はねぇな・・・」
純也は先ほどの発言が自分達が蓮を活かせる自信がないから
出た言葉だったのだと気がついた
「落ち込んでいても仕方ないな!今は目の前に集中だ!」
純也は気を取り直して目の前に待っている練習試合に集中することにした
そして大翔は純也のその様子を見て嬉しそうにしていた
(やっぱりこのチームはいいな・・・
ここでなら蓮も楽しくサッカーができるはずだ・・・)
大翔はここでなら蓮がみんなと楽しくサッカーができるはずだと思っていたのだ
「・・・さて!俺も練習練習!」
「みんな本当に楽しそうだな〜・・・
明日はもっと人が来て欲しいんだけど・・・」
桃はみんなの練習風景を見ながら明日のことを考えていた
というのも実は明日の試合を見に来てもらう為に
桃はいろんなことをしてきたのだ
学校の掲示板にポスターを貼ったりクラスのみんなにお願いしたりと
しかしそれでも来てくれると言ってくれた人数は先ほど言っただけだった
そして純也の言った通りこれで観戦してくれただけではダメなのだ
なのでもっとたくさんの人を集める必要があった
「・・・やっぱりもうちょっとインパクトのあることをしたほうがいいかな?」
桃は今までのことではインパクトが足りないので何かないかと考える
「・・・あれ?あの子前にも・・・」
するとそこに前も練習風景を見ていた男子生徒が
遠くからまたみんなの事を見ていた
「あの!そこで見てないでもっと近くで見ないんですか?!」
桃は思い切ってその男子生徒に話しかける
「!」
しかし男子生徒は話しかけられた瞬間に凄まじい勢いで逃げて行ってしまった
「おっと・・・!」
そこには蓮も来ていてその逃げていた男子生徒とぶつかりそうになった
「あいつ・・・あの時の・・・」
顔を見た蓮はその生徒が昨日の夜に不良に絡まれていた人物だとわかった
「一体何だったんだ?」
蓮は何であんなに血相を変えて逃げていたのか
疑問に思いながらグラウンドに向かった
「あっ!蓮くん!練習見に来たの?」
蓮を見つけた桃は嬉しそうに近づいてそう聞く
「それもあるけど・・・明日の試合が何時からなのか聞き忘れてた」
蓮が来たのは明日の練習試合が何時からなのかを聞きそびれていたからだった
「そうなんだ!今みんな練習中だから少し待てね!」
今は練習中なので蓮は少しベンチで待つことにした
「・・・そういえばさっき血相変えて逃げていく奴がいたんだが?」
蓮は先ほどの逃げていた男子生徒のことを聞いてみることにした
「逃げていく?それってさっきの子かな・・・」
桃はその人物が先ほど自分が話しかけた人物だと思った
「何かしたのか?」
蓮は念のため何をしたのか確認する
「別に・・・ただ練習しているのを遠くから見てたから
近くで見ようって誘っただけなんだけどな〜」
それでなんで逃げられるんだろうと桃は考えていた
「なるほどな・・・多分そいつは練習を見ていたことをバレたくないんだろ」
蓮はそれを聞いて先ほどの男子生徒がなぜ逃げたのか理解した
「バレたくないって・・・私にはもう気付かれちゃってるよ?」
桃の言う通りすでにバレているのになぜ今も隠す必要があるのか
蓮はそれについて説明する
「バレたくないのは俺達じゃなくておそらく・・・親だろうな」
蓮はおそらく先ほどの男子生徒はサッカーをしたいが
親に止められているのだと思った
だからこそ遠くから大好きなサッカーを見ていたのだ
「そっか・・・私余計な事しちゃったね・・・」
桃はそれを聞いて自分が余計な事をしてしまったのだと後悔していた
「いや・・・あながち余計なお世話かどうかはわからないぞ?」
「えっと・・・どういう事?」
桃は一体何を言っているのか理解できていなかった
「それを決めるのは本人って事だ・・・練習終わったみたいだな」
蓮はそう言って練習が終わった純也の元へと向かった
「ごめんごめん時間を言うの忘れてたよ」
純也は蓮に試合の時間を言うのを完全に忘れていたらしい
「別に構いませんよ・・・それで何時からなんですか?」
蓮は別に大丈夫だと答え試合の時間が何時からなのか確認する
「時間は一時からだから十二時半には学校に来てくれ」
純也は念のために十二時半に学校に来るように言った
「一時・・・そりゃあ人は来ませんよね・・・」
試合の時間を聞いた蓮はその時間帯では人が来ないのは当然だなと思っていた
なぜならその時間帯はこの学校の人達にとっては塾などに行っている時間だ
そんな時間ならば来てくれる方がおかしいと言うものだろう
「まぁな・・・でも一人でも来てくれるならやる価値はある!」
純也はそれでも来てくれるのならどんな試合でもやると宣言した
「そうですね・・・この試合勝たないとですね・・・」
蓮はその表情を見て次の試合は何としても勝たなければならないと確信した
「ああ・・・その為にも明日はよろしく頼むぞ!」
そう言って純也は手を差し出して握手を求める
蓮はその握手に応じた
「よし!今日はこれまで!解散!!」
「それにしても意外だったな〜」
「・・・何がだ?」
蓮は珍しく一緒に帰っている大翔が何に対して珍しがっているのか聞く
「だって・・・蓮が誰かと握手するとか想像してなかったからさ」
どうやら大翔は先ほどの純也との握手に対して言っていたらしい
「・・・俺だって空気を読むことはある・・・」
蓮はそう言われて今更恥ずかしくなったのか顔を逸らす
「・・・そういえば!蓮は誰か監督になってくれそうな人知らない?」
大翔は話題を変えるべく純也と言っていた監督の話を持ち出した
「監督か・・・知っているには知っているな・・・」
すると蓮から意外な言葉が返ってきた
「嘘?!誰誰誰?!」
大翔は凄まじい勢いで蓮に詰め寄る
「忘れたのか?俺たちにサッカーを教えた人だよ・・・」
「・・・あの人か・・・でも居場所がわかんないしな〜・・・」
大翔もそれを聞いて納得していたが
居場所がわからないのでなんとも言えなかった
「だから言っただろ?まぁ運良く会えたら聞いてみろ」
そう言って蓮は家路に着いた
次回は名前の通りの人が出てきます!




