表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子少女でも恋がしたい  作者: 古河 聖
2030年6月24日(月)
86/318

第86話「断じてツンデレとかではありません」

 ハムって美味しいですよね。……なんですか、その「お前どえらい安直だな」みたいな目は。いいじゃないですか、ハム。用途も広いですし、非常に便利な食材ですよ。

 そもそも皆さんは、ハムというのがどういうものかきちんとご存じですか。例えばよく似た食材で、ベーコンとの違いを説明できますか。まずハムというのは、基本的には豚のもも肉から作られます。それを塩漬けにして熟成させたのちに燻製させ、仕上げに蒸したりボイルしたりしてハムが完成します。一方のベーコンは、同じ豚肉でもバラ肉を主に使用します。そしてハムと同じように塩漬けして熟成、燻製させ、その後ボイルなどの処理をしないものがベーコンになります。つまりハムとベーコンの違いは、使用する肉の部位と燻製後にさらに手を加えるかどうかの差でしかないんです。知ってましたか。知ってたからと言って別に自慢できるほどのことでもないような気はしますが、覚えておいて損はないでしょう。もう一つ役に立つ知識をお届けするなら、最終工程でボイル等を行うハムの方が、ベーコンに比べて塩分や脂肪分が低くなるんですよ。体重などを気にされる方は覚えておくと良いかもですね。

 そういった特徴もあってか、ハムというのはよくサラダやサンドイッチなどに使われる印象ですね。調味料を加えずとも程よい塩気を加えつつ塩分や脂肪分はしっかり抑えるという、いい仕事っぷりです。ダイエットしたいけどサラダはあんまり、なんて人は、是非ハムを使ってみるといいですよ。塩気を足して食べやすくするという意味もありますが、実はハムには糖質の代謝を促す成分が多く含まれてもいるため、身体の脂肪分や糖質を燃やす手助けをしてくれる効果もあります。中でも魚肉を混ぜて作られる混合ブレスハムというハムは、通常のハムより摂取カロリーも脂質も抑えられるため非常におすすめです。

 どうです。安直な割には結構ためになる情報だったでしょう。

 では、スタート。



 駅近くのエムドナルドまでやってきた南川様達は、早速店内に入って注文を待つ列に並びます。お昼時、かつ駅近という条件も重なって、店内には結構なお客さんがいます。とはいえテイクアウトするお客さんも多く、店内の飲食スペース全て埋まってしまうほどではないようです。今の空席状況とレジの込み具合を計算すると、お二人が座るスペースは問題なく確保できるでしょう。

「いやあ、なんだか久しぶりですね、エムド!」

「……エムド? エームじゃなくて?」

「なんですか先輩、その変な略し方。エムドですよ、エムド! 私の家ではずっとそうでした!」

「いやいや、そっちの方が耳なじみがないよ。僕だってちっちゃい頃からずっとエームだよ」

『あー……いわゆるエーム・エムド論争というやつですね』

 どちらもエムドナルドを指す略語ではあるのですが、どうやら地域によって差があるらしいですね。

「え、ユリちゃんなんですかそれ」

『エムドナルドの略称が、ざっくり関東圏と関西圏で異なるという問題です。関東圏の方ではエームという略称が優勢で、関西圏の方ではエムドという略称の方が浸透しているようです。で、どちらの方が正しい略称なのかということがしばしば議論になるんです。それがエーム・エムド論争ですね』

 ビッグエームやド級エームなど、正式な商品名に使われているのだからエームの方が正しいと関東圏の方々が主張すれば、関西圏の方々は『エムドはエムドやろがい』とか『エームだと紛らわしいやろ、エムドなら一発や』と主張し返し、未だにこの論争には終わりが見えません。

「へえ、そうなんですね! じゃあ私がエムドで馴染んでてエームに聞き覚えがないのは、石川出身だからってことなんですね!」

『いえ、全国的な調査の結果によると、石川県では基本的にエームという略称が使用されているはずです』

「あれ!?」

『……これは推測になりますが、先程貴女は『私の家では』と言いましたよね。つまり貴女の両親のどちらかかあるいは両方がエムドという愛称を使う関西圏の出身で、家族内ではエムドと呼ぶので貴女もすっかりそちらで馴染んでしまった、ということではないでしょうか』

 もちろん、調査結果が完全とは限りませんし、同じ県内や市内でも地区によって呼び方が異なる場合だって当然あるとは思いますが。

「確かに、私のお父さん大阪出身です! 凄いですねユリちゃん! こんなことまでわかっちゃうなんて!」

『……別に、大したことではありません』

 この程度の簡単な推測で褒められても別に嬉しくはありません。本当です。断じてツンデレとかではありません。

「まあ、その話の続きはお昼食べながらとかにしてさ。そろそろ順番回ってくるけど、町田さんはもう食べるもの決めた?」

「ドエムセット一択!」

「……前から思ってたけど。店の略称を言い争うよりもまずこの略称をどうにかした方がいいよね……」

 ド級エームという、ビッグエームよりも更に量とコスパを重視した学生御用達のバーガーに、フライドポテトと飲み物を付けたセットのことをド級エームセット、通称ドエムセットと言うわけですが。知らない人が聞けば誤解待ったなしのやばい略称ですよね。店員さんもその注文が入ると「ドエムワン入りまーす!」と厨房に向かって叫ぶわけで、それはもう一歩間違えば普通にいかがわしいお店です。商品名の変更を真面目に検討した方が良いでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ